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2023年おすすめ新譜アルバムVol. 20: Raheem DeVaughn, Vandell Andrew & The Colleagues「Love Euphoria」

新譜アルバム紹介Vol. 20です。

今回紹介するのは、DCのシンガーのRaheem DeVaughn、ルイジアナのサックス奏者のVandell Andrew、フロリダのプロデューサーのThe Colleaguesがリリースした「Love Euphoria」です。

Raheem DeVaughnはDC出身のシンガー、Vandell Andrewはルイジアナ出身のサックス奏者、The Colleaguesはフロリダを拠点に活動するプロデューサーのKarl Powellが中心となったプロジェクトです。

Raheem DeVaughnは2000年代前半、Vandell Andrewは2010年代半ば頃、The Colleaguesは2000年代後半に登場。Raheem DeVaughnとThe Colleaguesは、Raheem DeVaughnの2015年作「Love Sex Passion」収録の「Black Ice Cream」など4曲で組み、以降もお互いの作品でたびたび顔合わせしています。Vandell AndrewもRaheem DeVaughnの2019年作「The Love Reunion」収録の「Joyful Noise aka The Chill AF Mix」に参加。三組でのコラボ作の制作は今回が初となります。

Raheem DeVaughnはPrinceの影響下にあるスウィートでソウルフル、少しロックっぽいニュアンスも時折覗かせる歌声の持ち主です。ネオソウルを軸にしつつも、よりヒップホップ色の強いサウンドにも柔軟に乗ります。Vandell Andrewは基本的にはトラップなどの非ブーンバップ系ヒップホップの要素も取り入れた、スムースジャズ系のサックス奏者です。The Colleaguesはトラップやネオソウルなどを作るプロデューサーで、生演奏を落とし込むのを得意としています。

今作はRaheem DeVaughnが主役ではなく、歌とVandell Andrewのサックスが対等の関係にあるようなバランスの作品です。The Colleaguesのビートはトラップやスロウなハウス風味などもあり、上品でありつつネオソウルっぽく着地しないユニークな仕上がりになっています。ヒップホップでもあり、ソウルでもあり、ジャズでもある好作。


1. Love around the clock (feat. Goapele)

今作の中では比較的ネオソウル寄りの曲。

GoapeleとRaheem DeVaughnの美しい歌声の絡みをメインに、Vandell Andrewは控えめにプレイしています。優しいメロウな曲ですが、時折ヘヴィに聴かせるベースの鳴りに微かな毒気も。


2. Euphoria (Raheem DeVaughn remix)

原曲も後半に収録。

「Raheem DeVaughn remix」というタイトル通り、ここでは歌モノ成分が強めになっています。トラップビートを紳士的に染め上げた良曲。


3. Overthinking

Raheem DeVaughnはコーラスのみでの参加。

ふうわりとしたシンセに手数の多い808が絡む、トラップ路線の曲です。Vandell Andrewのサックスがメロディックラップのように乗っています。


4. Cupid's Arrows

細かく刻むハイハットが印象的なスムースジャズ。

ヴァースはVandell Andrewが担当し、Raheem DeVaughnがワクワクするような声でフックを歌い上げる佳曲です。全員の持ち味が見事に噛み合っています。


5. Can't call it

「Cupid's Arrows」と同じ構成の曲。

こちらはグッとメロウに振り切っています。穏やかなエレピや艶やかなベースが効いたビートに乗るサックスと歌声に涙。


6. Joyful Noise (The Colleagues remix)

Raheem DeVaughnとVandell Andrewによる曲のリミックス。

1970年代ソウルの質感をモダンに聴かせるような、暖かくスウィートな曲です。Raheem DeVaughnの歌はもちろん、Vandell Andrewのサックスも映えています。


7. Euphoria

2曲目の原曲。

Raheem DeVaughnは登場せず、Vandell Andrewのサックスがトラップビートに乗るインストです。リミックスと共通しつつもまた違った良さ。


8. Euphoria Reprise

さらに別バージョン。

こちらはRaheem DeVaughn不参加バージョンをベースにしつつ、さらにギターやドラムの生演奏が加わってバンド感が強まっています。とはいえヒップホップ以降のグルーヴなので、これまでの流れでも自然に楽しめるはず。

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