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SDGsのフードロスは何番?企業や個人でできる取り組みをご紹介

元来より“もったいない精神”のある日本。昔は「米粒を残してはいけないよ」と親に言われた経験がある方も多いのではないでしょうか。

一方で、テクノロジーの発展により、手軽に食料が手に入るようになった現代では、食べものを消費しきれずに捨ててしまうこともあります。

これを「フードロス」と言います。

令和3年度のフードロス発生量は、523万トン。日本人は1人あたり、お茶碗1杯分のごはんの量を毎日捨てている計算になるんです。

世界的に人口は増加傾向で、今のままでは将来の食料不足を避けられません。「でも、フードロスを避ける方法がわからない」という方も、いらっしゃるかと思います。

そこで今回は、フードロスになる原因と、企業や個人でできる取り組みについて解説します。

SDGsのフードロスとは

SDGs フードロス

まず、フードロスを知るには、「SDGs」についても知る必要があります。以下で、SDGsとフードロスの密接な関係について、解説します。

SDGsのフードロスは何番目?

SDGsは、社会をより良くするための指標です。細分化すると17の目標があり、フードロスは、そのなかの目標12「つくる責任とつかう責任」として、取り上げられています。

フードロスが関わるSDGsの目的や目標

フードロス 目的 目標

参照:食品ロス削減関係参考資料|消費者庁消費者教育推進課

フードロスは、将来的な環境悪化や、人口増加による食料不足につながります。特に日本は、先進国のなかで食料自給率38%(令和元年)と低いにもかかわらず、大量のフードロスを発生させているんです。

食料を無駄にしている状況を国全体で解決しなければなりませんね。

SDGsのターゲット12-3では、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる(By 2030, halve per capita global food waste at the retail and consumer levels and reduce food losses along production and supply chains, including post-harvest losses)」ということを目標にしています。

上記の表を見るとわかるように現在、順調にフードロス発生量を減らしていますが、まだまだ課題は多いです。

フードロスになる6つの原因

フードロス 原因

では、なぜフードロスは生じるのでしょうか? フードロスになる原因について説明します。

生産過剰によるフードロス

フードロス 生産過剰

参照:食品ロスの現状について|農林水産省

過剰生産とは、市場の需要よりも多くの商品が生産される状況のことです。生産者が、市場の需要を過大評価すると発生します。

食品業界で過剰生産された食品は、売れ残ったり、期限が切れる前に廃棄されたりするなどフードロスにつながりやすいです。

上記の図は、2018年に売れ残りや返品が原因で発生した廃棄物を事業別に示したものです。製品・商品となったものが廃棄された割合は、食品関連事業の3業種計で11%(約94万トン)と推計されています。

見た目や傷みによる規格外品の廃棄

自然災害や収穫の時に傷ついた農林水産物は、本来食べられるにもかかわらず、商品にならないため廃棄されてしまうんです。

生産に要した時間や労働力を含む多くの資源を無駄にするだけでなく、食料不足や環境問題の原因にもなっています。

食べ残しによるフードロス

食べ残し フードロス

参照:我が国の食品ロスの発生量の推移|環境省

令和3年のフードロス発生量(523万トン)のうち、家庭用フードロスは244万トンでした。中でも食べ残しは105万トン。フードロスの深刻な要因と言えるでしょう。

消費期限や賞味期限による廃棄

消費期限と賞味期限の違いとは何でしょうか?

2つの違いを理解していないことが多いことで、本来無用な食品廃棄が増える現象が見られています。

  • 賞味期限:食品の美味しさや風味が保たれる期間

  • 消費期限:食品の品質が保証される期間

日本の食品衛生法によると、消費期限切れの食品の販売は慎むべきですが、賞味期限切れの食品の販売は禁止されているわけではないと明記されています。

参考:加工食品の表示に関する共通Q&A|消費者庁食品表示課

しかし、一般家庭において、表示の違いを理解しないまま賞味期限切れの食品を廃棄するケースが多いことが現状です。

企業による3分の1ルール

「3分の1ルール」とは、流通・小売業界において、食品の納入期限を賞味期限の3分の1以内とするルールのことです。たとえば、賞味期限が3ヶ月の食品の場合、メーカーや卸は製造後1ヶ月以内に食品を小売店に納品しなければなりません。

3分の1ルールでは、十分な期限が残った商品を販売することで、小売店の値引きを防止できます。しかし、賞味期限の3分の1を過ぎた食品は、販売されることなく廃棄されてしまいます。

廃棄される食品の量が増えると、フードロスにつながるだけではありません。ごみ処理に伴う温室効果ガスの排出など、環境への負荷も増大します。

食材の過剰な皮むきや除去

上記の家庭系食品ロスの内訳の図からも分かるように、食品の過剰な皮むきや除去から発生するフードロスは、約34万トンにもなります。

過剰除去が起こる原因は、以下の2つが考えられます。

  • 野菜の外側の葉や皮などの衛生面を気にする

  • 美味しく食べる方法を知らない

レシピ本では、残った茎や芯の使い方があまり紹介されていません。そのため、食材の過剰な除去につながっているのかもしれませんね…。

私たちができるフードロスの取り組み

個人 フードロス 取り組み

日本では、家庭から出されるフードロスが全体の半数を占めています。家庭系フードロスを削減するためには、一人ひとりの意識や行動の変化が必要不可欠です。

以下では、個人でできるフードロス削減の取り組みについて、ご紹介します。

食材を適切に保存する

食材を誤った方法で保存すると、味や見た目が早く悪くなり、フードロスにつながります。一度に食べきれない食材は、保存方法を工夫しましょう。

肉は下味をつけて冷凍すると、解凍後すぐに調理できます。小分けするとさらに使いやすいですね! 野菜は冷凍保存をして、鮮度を保つように意識しましょう。

農林水産省が出した「今日からはじめる食品ロス削減のためのヒント」に、料理の冷凍方法や、アレンジレシピの記載もあるため、ぜひ参考にしてください。

参考:今日からはじめる食品ロス削減のためのヒント|農林水産省

消費するぶんの食材を購入する

冷蔵庫に残っていた食材を買って、余らせてしまった経験はありませんか?
消費する分の食材だけ買えば、フードロスは防げるんです。

冷蔵庫や食品棚に入っているストック食材を確認する癖をつけてみてください。足りないものは、メモや写真を残して、買い忘れや買い過ぎのないようにしましょう。

買い物をするときに、意識的に生産者の気持ちを考え、食材を余らせないように意識したいですね。

食への意識について、下記の記事もぜひ読んでみてください。

古い食材から使用する

新しく買ってきた食材から先に使うと、残りの食材は消費期限が切れて食べられなくなってしまいます。そのため、まずは残っている食材から使いきりましょう。

料理レシピサービス「クックパッド」に消費者庁の公式ページがあります。フードロス削減のために考えられたリメイクレシピがたくさん載っているため、ぜひ参考にしましょう!

参考:消費者庁の公式キッチン|クックパッド

作った食べ物を食べきる

家庭で料理をするときは、食べきれる量だけ作ることが大切です。毎日同じ量を作らず、体調や予定に合わせて、食べきれる量を調整しましょう。

作り過ぎた料理は、保存やアレンジを活用して、食材を無駄なく使いきりましょう。

消費期限が近いものから購入する

購入時に消費期限までの期間が長いものを買おうと、棚の奥から商品をとることもありますよね。しかし、食品をすぐに使う場合は、消費期限が近い棚の手前から取ってください。

消費者庁は、全国のコンビニエンスストアを中心に、「てまえどり」を呼びかけるための啓発資材を作成しています。

てまえどり

参照:小売店舗で消費者に「てまえどり」を呼びかけます|消費者庁

店舗での返品や廃棄を減らし、フードロス削減に貢献しましょう!

外食で食べきれなかったときは持ち帰りを相談する

外食をするときは、食べ切れる量を注文するのが基本です。しかし、予想より多くて食べ切れなかった場合は、店に持ち帰りを相談しましょう。

食べ残しを持ち帰り用にパックしたものを「ドギーバッグ」と呼びます。

以前は、多くのお店で、品質保証の問題から持ち帰りができませんでした。しかし、持ち帰った食品の管理は消費者の責任であることを確認したうえで、持ち帰りが可能になったお店が増えてきています。

使用しない食品をフードシェアリングする

フードシェアリングとは、本来廃棄されるはずの食品を消費者とマッチングさせることで、フードロスの発生を防ぐ仕組みです。

日本でも急速に普及しています。政府がフードロス削減を国家目標として掲げているため、多くの自治体が取り組んでいます。

消費期限が切れないうちに食べきる

消費期限 賞味期限

参照:賞味期限と消費期限|農林水産省

消費期限が切れた食材は、残念ながらそのまま食べることはおすすめできません。見た目は問題なくても品質が変わり、食中毒の原因になることがあります。消費期限切れの場合は食べるのを控えましょう。

食品を無駄なくするためには、購入後は早めに食べきり、正しい保存方法を守るようにしてくださいね。

わけありの食品や食材を積極的に購入する

消費期限が近いお弁当や惣菜などは、店舗の閉店間際に割引になります。すぐに食べられる場合は、割引商品を購入しましょう。フードロスの削減とお金の節約ができて、一石二鳥です!

また、食べられるにも関わらず、規格外のため廃棄されてしまう食材を、インターネット等を通じて消費者に届けるサービスもあります。

フードロスに力を入れている団体や企業の支援や応援をする

フードロス削減に積極的な食品メーカーや小売店から購入することもフードロスを考える行動になりますよね。

また、「フードバンク」という言葉を聞いたことがありますか?

フードバンクとは、フードロスを削減し、食糧支援を必要とする人に食料を届ける社会福祉活動です。食品関連企業や農家から寄付された食品を無償で提供します。

農林水産省では、令和4年度にフードバンク活動強化緊急対策委託事業を立ち上げました。フードバンク活動に取り組む団体の、活動基盤を底上げすることを目指すものです。

以下の活動事例集では、フードロスの課題に取り組む団体について記載されています。活動について知り、ぜひ支援や応援をしてください。

参考:フードバンク活動事例集|農林水産省

「3010運動」を積極的に実施する

宴会では、話に夢中になって、ついつい食べ残してしまうこともありますよね。

全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」は、宴会時のフードロス削減のために、「3010運動」を提唱しました。乾杯からの30分間とお開き前の10分間は自分の席で料理を楽しみ、食べ残しを減らすことを推奨しています。

3010運動を導入することで、宴会を楽しみながらフードロス削減に貢献できますよ!

参考:全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会公式ホームページ

企業ができる取り組み

フードロスを削減するためには、売れ残りを防ぐ仕組みや、食品の保存方法の工夫が必要となります。以下では、企業ができる対策について解説します。

食品の保存方法や賞味期限の改善

食品製造企業は、最新の技術や機械を活用して食品の保存方法や賞味期限を改善することで、フードロス削減に貢献できます。

  • 容器包装を工夫して食品を長持ちさせる

  • 個包装で開封前の食品の酸化を防ぐ

  • 賞味期限の記載方法を変える

企業が上記の工夫をすることは、フードロス削減の大きな貢献になるでしょう。

完全予約制にする

完全予約制にして、過剰生産を防ぐこともフードロス削減につながりますよね。たとえば、ファミリーマートは季節商材(おせち料理・クリスマスケーキなど)の予約販売を強化しています。

需要に見合った数量を製造・販売することは、フードロスだけではなく、生産にかかるコスト削減にもつながりますね!

消費者向けに施策を打つ

フードロス問題への関心が高まるなか、フードロス削減に向けた取り組みを実施する企業が増えています。

活動を消費者へ積極的にアピールすることは、企業イメージの向上や商品のPRにつながるかもしれませんね。

以下は、2018年から2020年2月までに、消費者庁ウェブサイトで紹介した民間団体の取り組みについて、事例集としてまとめたものです。

企業や団体がどんな活動を行なっているのかが分かるため、ぜひご参照ください!

参考:食品ロス削減の取組事例集|消費者庁

フードロス対策をしている企業事例

実際にフードロス対策をしている企業は、どのような目的を持ち、取り組みを行なっているのでしょうか? 消費者庁が発表しているものに加えて、さらに詳しく企業事例を見ていきましょう。

フードシェアリングサービス|TABETE

まだおいしく安全に食べられるのにフードロスの危機に面している食べものを、消費者とマッチングする「TABETE」。掲載店舗数2500店舗以上の国内最大級のフードロス削減サービスです。

フードシェアリングと呼ばれる仕組みを通し、お店は無駄を減らして売上を増やすことができ、消費者もおいしく食べながら社会貢献ができます!

代表の川越一磨さんのインタビュー記事も、ぜひ読んでみてください!

食への意識を変える|POCPRICO

フードコーディネーター・りこぴんさんは、食への関心が薄れている現状に危機感を覚え、『食をたのしみ、その時間までも豊かに感じられる』体験を提供したいと考えてPOCPRICOの代表をされています。

フードコーディネーターりこぴんさんのインタビュー記事からも食への強い意識が感じられます。ぜひ、読んでみてくださいね!

フードロスをなくして、より良い世界を

フードロス なくす

2019年には、世界人口77億人に対し、その内の1/9である約8億人が栄養不足という統計が出されています。現状では食料生産を必要以上に行っており、多くのエネルギーを余分に消費しているのです。

食料が不足して困っている人たちは、身近にもいます。余っている食品を寄付することで、助けになる人もいるでしょう。

まずは、目の前にある食材を使い切り、残さず食べることです。一人ひとりが食事を大事にするよう心がけ、フードロスをなくす意識を持ちましょう!

高めよう 脱炭素指数!

CQは、カーボンニュートラル社会の実現に向け、一人ひとりがライフスタイルについて考え、行動を変えていくことを目指すプロジェクト。イベント協賛やグッズ展開などを企画しています。

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