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2月に読んだ本:『世界の果てのこどもたち』

中脇初枝さんの、『世界の果てのこどもたち』を読んだ。

ここ最近読んだ本の中では、特にインパクトがある本だった。

戦時中の満州国で、それぞれちがうルーツを持つ女の子三人が出会い、かけがえのない友人になる。でも戦争が終わって三人は生き別れ、それぞれ過酷で数奇な運命に巻き込まれていく。

彼女たちはそれぞれ、行き着いた地での戦争や復興や革命に巻き込まれながら、時に打ちのめされ、時に這いつくばり、懸命に生き延びていく。

女の子たちが、過酷な運命に遭っても優しさを忘れず、たくましく生きて行く様子が良かった。それと同じくらい、民族や文化の違い、その他いろんな事情を越えて、彼女たちに理解を示し、手を差しのべた人たちに、心を動かされた。

戦時中から戦後、国策のために故郷を追われ、行き着いた地で貧困に苦しみながら働き生きた人たちの、当事者目線の情景や、素直な言葉が染みる感じがした。
小説ではあるけど、様々な歴史関係の文献を参考に書かれていて、物語の真実味がすごかった。

私を含め一人一人が、世の中の大きな出来事、流れみたいなものに、多かれ少なかれ翻弄されて生きているのだと思う。
翻弄されながらも、理解力のある人間でいたいなと思った。