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クレイジータンク通信 vol.191 『バブル期システムからの脱却』

クレイジータンク通信(通称:クレタン通信)は、2020年7月よりスタートし、現在まで毎週つづいている「クレタンの今」をお届けする2000-3000字程度の通信です。2021年10月までは、クレタン関係者やファンクラブの方、十数名の方に限定的にお送りしてきました。しかし購読者の皆さまからのフィードバックもあり、2021年10月下旬より、有料にてnote公開を行うことになりました。さらに、2023年10月からは、試験的に無料公開をスタートすることにいたしました。

毎週、クレタンが何をしているか、また、何を考え行動しているのかについてお伝えしていく場です。クレタンは常に未来に向かって自分たちが「挑戦をつづける当事者」になることを大切にしています。変化する社会を生きるみなさまにとって、挑戦へのきっかけや原動力となれば幸いです。気になったときにふと立ち寄ってみてください。


◆クレイジータンク通信 vol.191◆


先週は雪が降る地域もあるなど、真冬並みの寒さでした。今週はあたたかな日が続きそうですが、本日は全国的に雨が強く降るとのこと。どうぞお気をつけてお過ごしくださいね。

さて、今週の通信では、これまでクレイジータンクがアドバイザーとして関わってきた事例をご紹介しながら、社会や時代が大きく変わる中で「作れば売れる」「デザインがきれいであればよい」というバブル期時代の意識から抜け出し、今の社会の【本質を見る】ことの重要性について、書きました。

ぜひ、ご一読ください。


【バブル期システムからの脱却】

私たちが住む日本には『バブル期』と呼ばれた、今となっては懐かしい時代がありました。弊社メンバーには3,40代のメンバーがいますが、バブル期当時は小学生だったりと、その恩恵を受けることはありませんでした。

しかし、今の50代、60代、さらにその上の世代はバブル期を経験し、その世代から教育を受けた私たちの世代は、その凄さだけを耳にする機会しか得ることができませんでした。

特に弊社はこれまで製造業や小売業にも関わってきた経験から、その時代を経験された方々や分野、業種に今だに残る「無意識の感覚」を感じることがあります。それは、

「作れば売れる時代」

の名残です。

弊社は今から15年ほど前に陶器製造の会社とお付き合いがありました。当時はもうすでにバブル期を過ぎ、社員が20人以上いたのに今では社長1人で陶器を作っているという会社がたくさんありました。バブル期当時の思い出話を聞くと「作れば売れた」という言葉を共通言語として話される方々が多くいました。

現在、そんな感覚になる若者はいないと思います。しかし当時はそれが当たり前だったのです。

その経験をした世代の製造業の方々とお仕事をすると、全ての人ではないのですが、「卸し(販売仲介業者)に任せておけば良い」とか「販売イベントに出せば売れるでしょ」などバブル期の恩恵(感覚)から抜け出せない人が多くいました。

しかし、その下の世代はより現実を見ており、都内の販売イベントに出店しても一つも売れないという現実を目の当たりにしていました。

そんな状況の中、ある陶器製造会社の販売促進アドバイザーとして関わることになりました。担当者は当時まだ30歳。社長は70歳手前で、まさにバブル期の恩恵によって工場も大きくなったものの、従業員は家族以外は1名だけという状況でした。

色々なことがあり、最終的にはアドバイザーから離れることになったのですが、私たちが普段「作ること」しかしてこなかった社員の皆様にお伝えし続けたことは「売ろうとする努力よりも物事の本質や成り立ちを学び、熱を持って伝えましょう」ということでした。

自分たちが何をどのように作っているのか。購入してくださるお客様の気持ちや生活。自分自身がどんな人間か、なぜこの金額になっているのかに至るまで、お客様や社会、さらには自分たちが生きている時代と向き合い、それを体で感じながら商品を伝える努力をアドバイスしました。

販売ブースには料金表や商品紹介はなく・・・
対話で会社や自分のこと、商品を職人自身が伝えている様子

その結果、前年の売り上げ0円だったところから、この年は3日間で30万円を超える売り上げを達成し、この3日間だけは作れば売れる時代を脱却することに成功しました。


私たちは今、例えばお店のデザインやECサイト運営、不動産など、売買のビジネスシーンに関わる時、デザインやマーケティング、ブランディングといった言葉に安易に頼るのではなく、お金というモノの本質や投資教育、社会を知る経験など、物事の本質を身体化してもらうことから伝える努力をしています。

作れば売れる、とは思っていない若い世代であっても、その感覚を持った世代に育てられたり、その世代が作り上げてきた仕事方法が当たり前の世界にいれば、若い人たちであってもバブル期の影響を受けざる得ないのです。

私たちは数年前から消費社会が終焉を迎え、投資社会になると予見してきました。まさに今、新NISAなど国を上げて投資経験を推奨しています。しかし、本当の意味でのお金のこと、投資のこと、会社や社会の本質を理解した上で投資に挑戦している人がどれだけいるでしょうか。


綺麗であればそれで良い。お客様が納得すれば良い。デザインとして成立しておけば問題ない。短期的に儲からなければ納得しない。

そんな時代は終わりを告げたのです。


これからは最低でも中期的な視野を持って、長い目で事業や人を成長させなければなりません。バブル期のような即効性のあるビジネスは存在しにくいのです。

バブル期システムからの脱却。短期的、表面的からの脱却。それがこれからの時代の鍵になると信じています。


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