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生成AI時代だからこそ、アナログの新技術を開発する-その名も「自然焼き継ぎ」

弊社は約20年間AI研究に従事し、人間とAIの境界線をデザインすることを意識しながら仕事作りに励んできました。

20年前といえば、AIという言葉よりもユビキタスという言葉が書籍を賑わせ、その可能性について議論されていました。

まだまだ今のように「AI」と言葉にすれば伝わる状況になく、むしろその可能性について言及すれば馬鹿にするか怒ってしまう人ばかりでした。

そのような状況ではありましたが、大学院の卒業研究では大量のデータ(ビックデータ)だけを使って津波が来た後の方が美しい都市を設計[2008年提出]を提出し、AI時代を想像。教授陣からは「あなたの思想は危険である」と言われる程でした。

その後、2018年頃からnoteを使い始め、人工知能時代をどう生きぬかについて考え、投稿してきました。


PCやスマホ上で完結する価値からの離脱


私たちはこれまでAI時代をどう生き抜いていくべきなのか、その手段などを毎週火曜日投稿の「通信」という形でも言及してきました。

気になる方はぜひ読んでみてください。

その考え方の中に「パソコンの中で完結する、パソコン内で作られる価値は全てAIの役割になる」という現実があると考えています。

現在でもグラフィックや3D、映像や音楽などがAIに代替され始め、一般化すらしています。パソコンを使えば多くのことが時短になる、手間を省ける、気づかぬうちに人間は資本主義社会を生き抜くためにデータ化されやすい価値創造に従事しています。

それはAIが活躍しやすい世界に手を貸していると言ってもいいかもしれません。

その未来予測をしたのが2008年、今から16年前のことでした。ITやプログラミング知識が重要視される時代に、真逆をいくような仕事に自己投資を続けてきたのです。

それがまさに先ほどご紹介したnote記事でした。

私たち人間は、PCやスマホから離れることのできない精神状態や社会状況の中で、その外側に価値を見出し、例えばブランド化やインフラ化を目指さなければならないのです。

以前、記事にも引用させていただいたnoteCXO深津貴之氏のツイートがまさにその思考に繋がると思います。


アナログで今までにない技術を創造する


弊社が生み出したアナログの新技術の中に「誰にでも作れて持ち運びができる陶芸窯」という作品があります。

持ち運び可能な陶芸窯「マイ窯」


これはもともと信楽に存在した窯をさらに進化させ、信楽の文五郎窯さんと開発し、2017年にLEXUS DESIGN AWARD pannel winnerを受賞。世界的にも高い評価を受けました。

木材や炭などを高温で焼くことで自然の釉薬を生み出す技法で、破棄されたり使わなくなった陶器を一点物を超えた唯一無二の作品に変える、これまでにない技術を生み出しました。

ニューヨークを拠点とするHEAPS MAGAZINE 編集部でも紹介されました。

その評価をいただいてから約7年。ついに新たな技法の開発に成功しました。

それが「自然焼き継ぎ(やきつぎ)」です。

10年以上の試行錯誤


陶芸の世界には「継ぎ」という技法が存在します。代表的なのが金継ぎです。割れたり欠けたりした器を漆(うるし)で修復し、継承された部分を金などで装飾する、日本の伝統的な技法です。

私たちは高温で木材や炭を焼いたことによって出来上がる自然釉を使って継ぎを可能にできないかと考えてきました。自然釉はガラス質で構成されるので、割れた部分にガラスが入り、理論上は継ぐことが可能なはずですし、焼き継ぎという技法自体は存在します。

それを自然の力で行う、その挑戦を続けてきました。

窯で焼いた陶器には自然釉(ガラス質)が定着

自然釉は焼く環境によって発生する量が変わるので、なかなかうまく継ぐことができませんでした。自然焼き継ぎ実験を始めてすでに10年以上が経過していました。

しかし、先日すでに存在する伝統技法と組み合わせることで自然焼き継ぎに成功しました!

割れたお皿
自然の釉薬に変わる燃料
最終的に1350度を目指す
90分から180分、状況によって燃料を入れ続ける

そして、完成したのがこちら。

下に着いているのは支えに使った石

技法としては確立したため、 あとは焼き方や接着デザインなどを今後深めていきたいと思います。

外側に見える青いガラス質が自然釉で、割れた陶器の接着に役立っています。


これからのAI時代に向けて


弊社では新規事業アドバイザーを務める企業様やコンサルティングなどに関わる時に、生成AIを使ったことのない社員の皆様と一緒におもちゃのように遊ぶことで負担なくAIを伝えています。例えば絵本を作ったり、ゲームを作るなど、無理なく生成AIが会社の力になるような形を意識しています。

と、同時に、生成AIを使うことよりも大切なことに挑戦もしてもらっています。それは

独自コンテンツを作ることと分からないことに挑戦すること、作り出すこと

です。

生成AIはまだまだ道具です。道具は何に使うか、どう使うかが分からなければ意味を成しません。生成AIを使え!と言われてもどうすればいいのか分からない方々がほとんどだと思います。

道具を使う対象をどのように作るか、すでにそのコンテンツやサービスがあればどう使うかを一緒に考えることで、会社や人のバージョンアップに繋がると考えています。

Xを見れば毎日のように新しい生成AIの情報がタイムラインに流れてきます。だからこそ普遍的な価値を持つことが重要なのです。

決して生成AIを使いこなせば未来があるのではない、という現実を認識することを伝え続けていきたいと思います。

おまけ


自然焼き継ぎが終わると高温の炭が余ります。

となればBBQ。関わってくださった皆様とワイワイ楽しむ時間もまたAIには作り出すことのできない価値だと思います。

野菜を炭火で堪能
ネギのそのまま焼き

そして、この熱を利用して電気を発生させて・・・・

この実験についてはまたいつかご紹介させていただきます。


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