見出し画像

クレイジータンク通信 vol.193 『来るか分からない客のために皿を洗う時代へ』

クレイジータンク通信(通称:クレタン通信)は、2020年7月よりスタートし、現在まで毎週つづいている「クレタンの今」をお届けする2000-3000字程度の通信です。2021年10月までは、クレタン関係者やファンクラブの方、十数名の方に限定的にお送りしてきました。しかし購読者の皆さまからのフィードバックもあり、2021年10月下旬より、有料にてnote公開を行うことになりました。さらに、2023年10月からは、試験的に無料公開をスタートすることにいたしました。

毎週、クレタンが何をしているか、また、何を考え行動しているのかについてお伝えしていく場です。クレタンは常に未来に向かって自分たちが「挑戦をつづける当事者」になることを大切にしています。変化する社会を生きるみなさまにとって、挑戦へのきっかけや原動力となれば幸いです。気になったときにふと立ち寄ってみてください。


◆クレイジータンク通信 vol.193◆


もうすぐ新年度を迎えるにはまだまだ寒い季節が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。昨年の夏もそうでしたが、これまで人間が知見として持っていた感覚では対応できない状況が、生成AIの登場によるビジネス界隈や自然環境にも起こっていて、どのような生き方をするべきなのかを個人個人が考えなければならない時代に突入していると感じています。

今週はその生き方の選択肢の一つについてお話しさせていただければと思います。


【来るか分からない客のために皿を洗う時代へ】


「来るか分からない客のためにお皿を洗うような人生を歩まない方が良い」

この言葉は弊社メンバーが仕事で悩んでいた時に親から助言として伝えられた人生の教訓です。

簡単に説明すると、今回の場合は"問題が具体的になっていない状態で悩むな"、という意味なのですが、まさに経営者にはとても重要なスキルの一つかもしれませんし、逆にその不確定な客を来させるようにするスキルも必要だと学びが深い言葉だとも思います。

弊社では、未来予測事業という一見SFのような事業をとても大切にしています。

例えば現在世界中で話題になっている生成AIに関しても2008年からさらに先の未来まで予測を始め、2017年には建築家の展覧会で「無意識へのシナリオ」と題して、AI時代の生き残り方を提示するなど、SFではなく、人間の本質的な欲やシステム、大量の情報から未来を想定してから事業を構築する動きを大切にし、2022年からさらに活発化させてきました。


そんな私たちは、多くの方々が可能性や危険性、不安感を持っているけれど、どう対策したら良いのかイメージが湧かなかったり、目を背けたくなることであっても、なるべく前向きに考える訓練や実際に事業に展開することをやり続けています。

例えば2年前から地球温暖化や人材不足、物流問題などを予測し、縁あって農業関連の事業に関わったり、AI時代を予見して人間とテクノロジーの境界線となる仕事づくりを18年前から開発するなど、未来予測を元に投資を続けきました。

最近、その思考訓練の題材として『海面上昇後の世界をどう生き抜くか』、を選び、新規事業の種を考えてみました。

なぜこの問題を選んだかというと、地球温暖化の影響によりグリーンランドと南極の氷床が急速に融解を始めており、「仮にグリーンランド氷床がすべて融解すると海面は7m上昇する」とのニュースを目にしたからです。

以下は、GoogleマップとNASAの人工衛星データを利用し、英国の技術者が作った海面上昇のシュミレーションをできるサービスの「Flood Maps」です。

これを活用し、島国日本で7m海面上昇したシュミレーションを見てみると背筋が凍る結果になっています。

7m海面上昇した場合のディズニーランド周辺


この問題は多様な問題や課題を生み出しますし、一つを解決すれば良いのではないということを前提として、もし海面上昇後を想定した新規事業開発をディズニーランドを運営するオリエンタルランド社からご依頼いただいたとしたら、どのような解を出し、そこに向けて今からどのように動き始めるかを考えてみました。なぜディズニーランドだったのか、についてはディズニーランドが大好きなメンバーがいたから、それだけです。


まさに来るか分からない客(海面上昇)のために皿を洗って(対策)みたいと思います。

交通の問題など、やるべきことは複雑すぎるので割愛しますが、出した答えの回答はとてもシンプルで、海面上昇という問題を逆手にとって「全体をディズニーシーにする」でした。

しかし、どのようなディズニーシーにするかというと、今から少しずつディズニーランドの建物を海の中でも保存できる状態にし(強化ガラスで囲うなど?)、海面上昇後に失われると想定される部分は遺跡のような形で建物全体を残す、という案です。そして、遺跡となったディズニーランドと海にまつわるディズニーの物語が混じり合い始める世界観に変貌させ、ネガティブな問題をポジティブに解決することを目指せると考えました。

一見無謀に見える提案ですが、海面上昇が現実化した時に、オリエンタルランド社やディズニーファンの資産や思い出を失うのではなく、思い出と繋がっている資産をさらに価値あるものに変貌させる現実味のある、そして投資価値のある提案だと自負しています。

建築的な問題やまず海面上昇が本当に起こるのか、そんな時にビジネスにお金や人材を投入する余裕があるのか、まず人間が生き残る手段を考えるべきなど、リスクは多いですが、実際に海面上昇が起こり始めると、各国で守らなければならない地域や新しく人間の住まいを作り出すことを考えると、建築資材の取り合いなどが起こり、

「海面上昇が起こり始めてからでは全てが間に合わなくなる」

と考えています。


今、生成AIや環境問題だけでなく、今まで培ってきた人間の知見だけでは対応できないことが増え始めています。だからこそ人工知能の進化が重要なのかもしれませんが、まさに来るか分からない客を想定し、色々なお皿を洗い続けていかなければならない時代なのだと考えています。

古い言葉になった感覚がありますが『良い大学に入って、良い会社に就職し、定年を迎えて老後を過ごす』、そんなシステムが崩壊していることは誰もが認識しているにも関わらず、多くの教育現場ではそのルートを辿った教育がなされています。

海面が7m上昇したらどうしますか?

こんな問題を出してくる受験問題は少ないと思います。なぜなら答えが無数に存在するからです。

しかし、これからの時代は無数の答えに個人個人が向き合っていかなければなりません。だからこそAIなのですが、人間にできることを今からどんどん挑戦していくのも、未来を作る手段の一つなのではないでしょうか。

ぜひ、皆様も海面上昇した後のディズニーランドの未来について考えてみてはいかがでしょか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?