アートとは問い

2020年4月より
武蔵野美術大学 大学院 造形構想研究科 造形構想専攻クリエイティブリーダシップコースに通っています。私の学科では「クリエイティブリーダーシップ持論」という授業があり、毎週クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているゲスト講師をお招きし、お話を伺います。
あくまで講義のレポートではありますが、デザイン思考などを学び、実践している方々との繋がりや、情報の共有が少しでもできれば嬉しいなと思います。

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第4回【講義日】2021年5月3日(月)

鈴木 潤子(すずき じゅんこ)さんにお話を伺いました。
時事通信社、森美術館、日本科学未来館で通算約20年間の勤務を経て独立。 2011年より無印良品有楽町店内のギャラリースペース・ATELIER MUJIにてキュレーターとして8年間で約50件の展覧会とその関連イベントを企画運営されています。2019年4月に開店した無印良品銀座店6階ATELIER MUJI GINZAにて展覧会やイベントのキュレーションを行い現在に至ります。同時並行でフリーランスとしてこれまでの経験を活かした個人事務所@Jを立ち上げ、アートやデザインを中心に、幅広い分野でPRやキュレーション、文化施設の立ち上げに携わられています。
とにかくとにかく、たおやかな口調でありながら覚悟を持って日々取り組まれていることが滲み出てくるような、本質を突いた言葉の数々に感激いたしました。


なおえつ うみまちアート

今回は、学びとアートとキュレーション」というテーマで現在取り組んでおられる「なおえつ うみまちアート」を中心にお話をしてくださりました。

「なおえつ うみまちアート」は、新潟県上越市で今年の8月1日~9月26日(7月31日が前夜祭)に開催予定のアートイベントで、100年後を考えるための市民の活動として、アートを地域に実装しようとされています。アートの力で街の人々が自身の地域に自信と誇りが持てるような地域を目指し、鈴木さんが招いた8組の現代アート作家が、直江津の町を舞台に様々なアート作品を展開するものです。
準備の上で非常にご苦労されていたようですが、鈴木さんは微笑み、強い眼差しでこう仰ります。
「目が覚めたままみんなで見る夢は夢じゃなく、未来だ」と。

いやいや本当に、鈴木さんのお言葉には魂が宿っています。
こんな方に一緒にやろうと誘われたら絶対に皆全力で取り組むと思います。自分自身が何よりも情熱に燃えていること、そして楽しいでいることが人を巻き込む上で非常に重要なのだと感じました。

 

寄り道と道草に無駄はない

「 好きで得意なことを仕事にしてみたら嫌なことや苦手なことがセットだった。
さて、あなたならどうしますか? 」
と鈴木さんから学生へ問いかけがありました。

私の答えは、「どうやったら楽しくなるか実験してみる」「嫌いを受け入れて好きの部分でエネルギーチャージをして日々過ごす」と答えを出しました。
皆さんはいかがでしょう…?

「アートは答えではなく、その存在自体が問い」

と鈴木さんは仰っていました。
鈴木さんの発した問いによって、各々がぐるぐると答えを考えることを誘発しているアプローチはまさにアートそのものでした。

「 アートは一瞬しか存在できないかもしれないけれど、
  アートって誰かの一瞬や一生を変えることができるかもしれない。
  キュレーターにはアーティストを焚き付けた責任がある 」

鈴木さんの言葉には本当にハッとさせられてしまいます。
確かに私も何か息苦しい時、気づけば美術館へ足を運んでいました。今考えるとアートという 問い に触れることで自分を整理をしながら感銘を受け人生の一歩を助けてもらっていたように思います。
キュレーターとしてアートの力を信じその誰かへと届けたいという想いから、強い意思を持って私たちに素晴らしい作品を届けてくださる鈴木さん。鈴木さんはこれからも私たちの生活を様々なアートで彩ってくださるに違いありません。
鈴木さんのような姿勢を貫く事は実は一番難しい事だと思います。今日の感銘を忘れず私も自分に研究に取り組んでいきたいと感じました。



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