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森に ありがとう と これからもよろしくねを

2020年4月より
武蔵野美術大学 大学院 造形構想研究科 造形構想専攻クリエイティブリーダシップコースに通っています。私の学科では「クリエイティブリーダーシップ持論」という授業があり、毎週クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているゲスト講師をお招きし、お話を伺います。
あくまで講義のレポートではありますが、デザイン思考などを学び、実践している方々との繋がりや、情報の共有が少しでもできれば嬉しいなと思います。

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第1回【講義日】2021年4月12日(月)

Out woodsの林業アーティスト・足立成亮(あだちしげあき)さんと林業建築家・陣内雄(じんのうちたけし)さんのお話を伺いました。

従来の人間の利益のみで森の資源を使用するのではなく、森の声に心から耳を傾け、常識に囚われることなく、自身の目で森と人との健やかな関係性を切り開いていく活動をされています。
 オンラインでしたが、まずお二人のパワーの大きさに画面越しでも圧倒されてしまいました…
なんというのでしょう。強く、気高く、凛としていて、朗らか。
「何だこの、、林業の方々の方々は、、かっこいい、、」

森林作業道

森と人間の健やかな関係性を築く上で様々な活動をされているお二人ですが、その中で「林業作業道」についてお話をしてくださりました。

林業機械化や高効率低コストのために山に大きな機械をいれて作業をする、ということが増えている現在。大きな機械を通すために大きな道も必要になります。
大量に、効率よく運び出すためにはこれが当たり前。森を丁寧に扱うという点は評価の対象ではないそうです。
そのせいで、森はズタズタでした。
お二人は、効率優先ではなく、環境や風景と調和した林道を作る活動をされています。木材を切り出す際には、森への影響をできるだけ抑えられるように、競争に負けそうな弱い木から切り出す。また切り出したものも余すところなく工夫しながら利用する。森に訪れた人に向けても森の美しさの気づきを促すような設計を意識されているそう。

森を”持ち出す” ”輝かせる”

また、足立さんは森に人を“呼ぶ“だけでなく、まちに森を“持ち出す“活動もされています。元々写真家だった経歴もあり、写真と言葉で表現されているそうです。
公演中にもすごく印象に残る言葉がいくつもいくつもありました。
その中のいくつかを。

当たり前すぎて気にも留めていなかったけれど
実は素敵なモノ、大切なコト
特別な休日とか、ふとした時に気付いたりする
今日は森のはなしをしましょう
座った街の喫茶店の窓、交差点の信号待ち
そこから少し顔をあげて目をやると見える
意外と近くでこの街を守る森や林や木々山々
森があるからこの街の水はキレイで、川や海の魚は元気に泳ぐ
木々が元気に雨や風の力を弱めて山が守られ
ほとりで街は安心な日々を送る
鳥谷そよ風や小さな生き物が、
次に生まれる木々の種を運ぶ様子を僕らは見る
きこりとその仲間たちが、森のかけらを町に持って来た
なんだかオシャレっぽくて、面白そうでしょ?
今度はあなたが
森に遊びにきてね
:足立さん資料より抜粋


ただ、
「林」の状態から「森」へ
遷移する手助けができればいいと思っている
そもそも全ては森だったわけで、
本来の姿に戻ってくれた方が人間も住みやすい環境になるはずだ
住みにくくなった原因は
人間の進化の過程で起こった開発行為ただ一つなのではないか?
ただ、人間の開発行為が
「悪」だと思ってはいない
今までの人間にとって
必要なコトであっただろうし
その上で私たちが日々思考し、
営んでいるのは事実だ
これからの人間世界に必要な行動は
壊した自然環境への
リカバリだと信じている。
林から森へ…
そのプロセスを自分達のヤマの仕事の中で追い
表現してゆきたい
:足立さん資料より抜粋


風に揺られる葉の音、森の匂い、鳥の鳴き声、マイナスイオン、そんな健やかな森の姿を想像させます。
また、札幌大丸でもこの活動の展示をするなど様々な方向から発信をされています。
また、陣内さんのご自宅がもう本当に美しく。直線が一つもなく節も多い間伐材と藁と土壁の再利用で温かみのある美しい家屋を作る陣内さんは、日本の伝統工芸は知恵の詰まった最先端と語られていました。

https://jinnyama.world/forester/


ここで感じたことが、人に伝わるということは、説明的に必要なことだけを伝えても伝わりきらないということ。
デザインの力で何倍にも輝くということです。足立さんの心にダイレクトに訴えかけてくる文字と写真、陣内さんの建築、様々な方向から訴えかけられるこのアプローチは、わかったふりではなく、心から「ちゃんと森を考えなくちゃ」と感じさせられました。
(翌日、大したことではありませんが洗剤をエコ洗剤に変えました!笑)

地球さん ありがとう

お二人のお話を伺い、地球に、森に感謝し、私たちが地球から資源をお借りしているんだという意識が根底に感じ、ハッとさせられました。

人間が地球を労わるのではない。人間が与えていただいている資源をしっかりと理解し、ありがとう。と感謝の気持ちが必要なのだ。

また、生物として地球に向き合いながらも、しっかりとイノベーティブな視点を持ち今の時代で何ができるのかを考え、実行されているお二人は非常に本質的で素敵な方達だと感じました。
お恥ずかしながら、生物として地球と向き合えていたかというと、そのような意識は私の中には非常に薄かったと感じます。人間の傲慢さをひしひしと感じました。
東京に住んでいると、そう言った生物として当たり前のことを忘れてしまうことが多いように思います。
鳥の目(空から街を眺めるように広く俯瞰して物事を見る目)を持ち、関わる人々、物事へ幸せを運べるような提案をできるように今後も学んでゆきたいと感じました。

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