ベイシアグループのハリネズミ経営とDX推進

  • 2007年に「SPA宣言」を出して以降、カインズは仕入れた商品を販売する純粋な小売業ではなく、SPA(製造小売業)を展開

  • 米国での経験で得られたものは2つ。ひとつは、これまで小売企業を悩ませてきた課題が、テクノロジーの力で着実に解決され始めてるという現実を肌で感じられたこと。もうひとつは、小売業の人たちを集めたセッションに参加した際、自分たちとの世界とのスピード感の違いを実感できたこと。

  • 組織のDXを進めるためには、現場とエンジニアリングが独立して働くわけにはいかず、両者が協力して問題解決に挑戦する必要がある。

  • デジタルが価値をもたらすことを現場に理解してもらうために、エンジニアにはわかりやすい成果が上がる顕在化していた課題から優先的に着手して、現場の社員と協力してプロジェクトを立ち上げるという体制が、自然に生まれた。

  • カインズの場合、デジタル戦略の目的として「ストレスフリー」「パーソナライズ」「コミュニティ」「エモーショナル」の4つ。

  • シナジーが主、各社の尖りを伸ばすことが従になることで、後者が疎かになる危険性がある。カインズやワークマンがベイシアグループに所属しているからという理由で商品を購入するお客様はほとんどいない。あくまでカインズやワークマンという個別の企業が支持されているので、ベイシアグループの認知にコストをかけるよりも、各社が強みを伸ばすためにお金を使ったほうがお客様のためになり、それが結果的にグループ全体の価値を高める。

  • 究極的には、グループの全社員がDX人材に変わることが目標。ここでいうDX人材とは、自分でコードを書けるだけでなく、デジタルの知見を業務に応用できる人材を指す。そのような人材を増やすためには、自分の力で成長してくれと放任するのではなく、仕組みを通じて育成することが大切。

  • トキワ荘のように、まずは中核となる人材がプロジェクトを立ち上げて成功し、次のプロジェクトチームがポジティブな影響を受けて、プロジェクトメンバーと学び合う中で成長し、さらに別のプロジェクトによい影響をもたらすことで、組織としてDX人材の育成を実現する、という環境を意図的につくろうとしている。

#DIAMONDハーバードビジネスレビュー