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連載【3】 5歳と1歳の育児中の専業主婦が刺繍教室を始めることになった閃きとは?

 ところで、我が家を訪れた幼稚園ママたちに注目されていた刺繍作品とはどんなデザインだったのか? それは、15cmほどの小さな正方形の額に入れた素朴な作品で、デンマーク手工芸ギルド “Fremme” の四季の暮らしシリーズデザインのひとつだった(この記事の表紙のもの)。自転車に小さな子供を乗せている図案は、幼稚園ママたちの日々の暮らしとも重なったのかもしれない。そして一見簡単そうに見えて、「ちょっと教えて貰えば私にもできるかも?」と思わせたのかもしれなかった。
 思い起こせば当時のリビングにあった刺繍はその1点のみだった。大判のパッチワークキルトやベビーキルトは何枚かあったが、小さなその刺繍額が皆の注目を浴びたのだ。もちろんデザインが優秀であるからこそなのだが、小さくても存在感があったのだと思う。実は当時つくったものではなく、独身時代20代前半の頃のものだ。横浜元町の手芸屋で麻布と花糸を、木製額も元町の雑貨屋で手に入れた。クロスステッチ刺繍はクッションかテーブルクロスに仕上げるのが当時の定番であったから、刺繍作品を額装したのは、この作品が初めてだった。

明日に続く…

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