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【Colabo訴訟事件】暇空茜氏が裁判に勝てる可能性はあるのか?

(サムネイル画像:日本テレビ「ザ!世界仰天ニュース」より)

こんにちは、烏丸百九です。

最近、フェミニスト活動家として著名な仁藤夢乃さんが代表を務める一般社団法人「Colabo(コラボ)」が、ネットで誹謗中傷を受けたとして、都内在住の男性を訴えるという事件が起きました。

 訴状によると、男性は9~10月、ブログサービス「note」や動画投稿サイト「ユーチューブ」に、「コラボは10代の女の子をタコ部屋に住まわせて生活保護を受給させ、毎月1人6万5000円ずつ徴収している」「補助金の不正受給、生活保護不正受給、未成年誘拐あたりは普通に問題」などと投稿。再生回数が3万6000回の動画もあり、「虚偽の投稿による名誉毀損(きそん)が膨大な範囲に拡散した」としている。

この「男性」とは、ネット論客でYouTuberの暇空茜氏のことです。

私は(このnoteでの主義主張を読んでくれている人ならなんとなく察しは付くと思いますが)、個人的に仁藤夢乃さんの普段の主義主張にはあまり賛同しない立場の人間であるため、本件について「大変やなあ……」と同情しながらも、アカ凍結でTwitterから追い出されたこともあり、特にコメントせずにいました。

しかし、事態が訴訟にまで発展し、仁藤さんを擁護する弁護団の皆さんから記者会見や公式の声明も出される流れになったため、改めて(ネットではかれこれ数ヶ月続いている)この騒動を私の視点からまとめてみたいと思います。

1.Twitterでは圧倒的優勢に見える暇空氏

まず、暇空茜氏の主張は、概ね報道にあるように、Colaboに対し「補助金の不正受給、生活保護不正受給、未成年誘拐」などの疑惑があると指摘するもので、特に「会計上の不正」により、東京都から補助金を不正に受給し活動費用に充てていたとして、激しい批判を繰り返しているようです。

彼のこうした主張はTwitterでは非常に人気があり、キーワード「Colabo」が頻繁にトレンド入りしている他、彼の主張に賛同・補強するようなツイートが毎日万バズするなど、Colabo側の擁護の声の少なさに比べると「圧倒的優勢」を誇っているように見えます。

これらのツイートを眺めていると、Colaboには「領収書未提出などの不正行為により」、「巨額の補助金不正を行った疑惑があって」、「全国規模で補助金事業が見直される試金石になるかも知れない」……と、どんどん話がデカくなっている錯覚を受けるのですが、果たしてそんなに「巨大な問題」の眠る話なんでしょうか?

2.ちゃんと説明をしている弁護団

予想に反し、こうしたTwitterの「正義の味方」の皆さんの疑問については、仁藤さんの弁護団は先月11月29日に、PDFで纏まった回答を出しています。

https://colabo-official.net/wp-content/uploads/2022/11/HP.pdf

このPDFファイルの内容は、「Colaboと仁藤夢乃さんを支える会」のTwitterアカウントでも詳しく解説されており、例えば「使用していないタイヤ関連費用を不正に都に請求し受給している」「宿泊支援について、実際に行った以上の金額を都から委託経費として受け取った」という「疑惑」があるのですが、以下のような回答が為されています。

私はPDFファイルを全文読みましたが、(素人目で見て)特に問題のある内容には思えませんでした。

もしも仮に、これらがColabo側の「悪質な欺瞞的情報」であり、虚偽やごまかしが含まれていたのならば、少なくとも上記したTwitterアカウントには(「支える会」側が(もしかしたら)批判者をある程度ブロックしていたとしても)、「炎上」事案でよくある非難リプライ&引用RTが殺到しなければおかしいと思うのですが、不気味なほど無反応であり、ついている批判はざっと見ても100に満たない数です。「いいね」や賛同のコメントの方が(数百程度ですが)よほど目立ちます。

同じTwitter空間であるにもかかわらず、「暇空界隈」とは随分な温度差があるように感じます。

3.「不正」の程度に関する疑念

また、Colaboの会計そのものに関しては、ネオリベラリスト的な主張で有名な山本一郎氏が、分析的なnoteを書かれています。

 結論だけ先に書いておきます。以下、各論。
1.仁藤夢乃さんのColaboは人件費を掛けずにキャッシュを稼ぎ出す力に溢れた超優良企業だった
2.都からの助成金とか全額返してもびくともしない健全経営で圧倒的成長力を持つ
3.仁藤夢乃さんは事業規模に比して無駄金を使っておらず、現預金と土地と建物がどんどん積み上がる辣腕経営者

 その貸借対照表がひっそりアップされていたので見物に行ってきました。サイトのソースを見る限りごく最近ページができてB/Sが掲載された風ですが、そこは武士の情けでいいんじゃないでしょうかね。
 直近の貸借対照表と活動計算書を見たんですが、仁藤夢乃さんのご性格を反映しているのか、大変な健全経営です。もちろん健全な理由の3/4ぐらいは「人件費支出がない」からなのですが、残りの1/4は「寄付金と助成金が使い切れないぐらい集まっている」ことです。単体の事業収益だけでも4,400万余りあっておそらく利益を出してるんで、これが事業会社ならウハウハであります。

私は山本氏を「切込隊長」とか名乗っていた時代から知っていますが、「信頼の置ける人か?」と言われるとまあ「あんまりそうではない」と答えるでしょう。
しかしながら、(嫌味と当てこすり目的であることが伝わる内容とは言え)明確に右翼的な主張の人物から「Colaboは健全に運営された団体である」とのコメントが出たことは、本件が単なる党派的問題でないことを示唆しているとは言えるのではないでしょうか。

そもそも論ですが、元内閣総理大臣で「森羅万象担当大臣」を自称していた人物が、国家の公的事業として実行していた「桜を見る会」と、公的資金を使用しているとは言え、いち一般社団法人にすぎないColaboを比較対照し、「同等の厳しい監査を向けなければダブスタである」などと主張することは、それ自体極めてアンフェアですし、流石の私も「安倍晋三を支持していたようなネトウヨがいまさら何言ってんだ?w」という冷笑を禁じ得ません。

もちろん、金額が一円二円でも「不正」は「不正」であり、もしも会計上にあからさまな瑕疵があったのならば、Colaboはそれを素直に認め、改善に努めるべきである事は言うまでもないでしょう。

しかし、こと極論蔓延るネットなどでは軽視されがちなのですが、モノゴトには「程度問題」というものがあります。
例えば、「不正会計」を問題化するならば、それがどの程度「我々の税金を無駄に使ったものであるか?」という視点は欠かせないと思います。

一例として、弁護団のPDFファイルを受けて、暇空氏は以下のような「反論動画」を出しています。

動画内では、自身が入手したColaboの「四半期報告書」と、PDFに以前掲載されていた(現在は削除されているようです)数値を比較し「不正がある!」と断言しているのですが……

暇空氏「金額だけで精査しても、都庁に提出した四半期報告書と全く数値があいません。僕が四半期報告書持ってないと思ってました?」
暇空氏「で、合計378,782円らしいけど都庁報告書だと450,812円だね」

上記の数値は「2021年第一四半期報告書」のものだそうで、この調子で「全ての数字が合わない!」と喝破しているのですが、画像での「合わない」金額は、単純計算で450812-378782なので、72,030円です。(実際には「四半期」なのでこの四倍くらいはある可能性がある)

ちなみに、2019年度「桜を見る会」の総支出は5518万7000円であり、また最近報道された現内閣総理大臣岸田文雄が「選挙運動費用収支報告書」に添付した270枚の”宛名が空白の領収書”に記載された金額は、合計で173万5000円です。

Colaboの「不正会計疑惑」に怒っている人は、最低でもその24倍以上の熱量で岸田首相にも怒ってくれないと、筋が通らないのではないでしょうか。

ハンロンの剃刀(ハンロンのかみそり、英: Hanlon's razor)とは、次の文で表現される考え方のことである。

Never attribute to malice that which is adequately explained by stupidity.
無能で十分説明されることに悪意を見出すな[注 1]

例えば、ある製品に欠陥が見つかった場合、(大抵の場合、一般論としては)それは製造した企業が無能であるか愚かであるということを示しているのであって、消費者を困らせるために企業が悪意を持って欠陥を忍ばせたわけではない、という考え方を示すのに用いられる。

4.結局は「ネットで真実」運動?

あくまでも私個人の見解として言わせて頂くならば、一連の「Colabo不正会計疑惑騒動」は、普段国家権力の不正には死ぬほど鈍感なくせに「怪しいサヨク」や「フェミニスト」のそれには異常に厳しい目を向けるネット陰謀論者の「いつもの手口」であるように思えてなりません。

実際のところ、海の向こうでもTwitter社がイーロン・マスク体制になった後で、Qアノン極右陰謀論者のアカウントが次々と復活・活性化しており、一方で(私のような)「怪しいサヨク」のアカウントは凍結されっぱなしであるため、右翼内ですらTwitterを追放される人が出るなどの「コミュニティ崩壊」が続発しており、日本にもその流れが波及しているだけにも見えます。

Twitterで「アンチフェミニスト」と知られる人たちの中にも、現在係争中の事案である事から「迂闊な発言はやめよう」と呼びかける声もあるようです。

これに対する暇空氏の反応は↓。

ノーコメント

あくまでも個人的な願望としては、暇空茜氏とその支持者には社会的な制裁を受けて欲しいので、現在の主張を曲げたりせずにこれからもガンガンnoteや動画を出していけば良いんじゃないかな? と思いますが、事案が泥沼化した場合、左派もまた「逆名誉毀損訴訟」を起こされかねないケースであるため、どんな立場であれ「迂闊な発言」は控えた方が良いかと存じます。

ただまあ、現在の主張を続けるならば、暇空氏が裁判に勝てる可能性は客観的に見ても非常に低いと言わざるを得ないかと存じます。現場からは以上です。

追記:古巣のはてなブックマークで何故かバズっております。セルフブックマークはしてないんですが……🤔

以下、スターを集めているコメントに少しお返事。

kotobuki_84 暇空氏は「仮に敗訴しても無敵だからノーダメ。なんなら勲章になる」し、仁藤氏も「敗訴してもミソジニー司法の被害者とか主張すればノーダメ。なんなら信者の信仰が強まる」ので、判決の結果に意味は無いんよな。
2022/12/05

これはいくらなんでも「無敵の人論法」が過ぎるのでは。少なくとも仁藤さん側は敗訴した場合、東京都からの支援を打ち切られる公算が現実味を帯びてくるわけで、明確なデメリットがあるし、「信者の信仰が強まった」ところで新しい利用者は増えてくれないでしょう。負けるわけにはいかないから手当たり次第人権派弁護士を集めたんだと思いますよ。

問題は暇空氏が本当に「無敵の人」だった場合どうなるのかということで、山口敬之コースに突入する可能性も無きにしも非ずですが、山口は元々右翼論壇で人気があったから収入が途切れていないだけで、暇空氏は「仁藤と戦った人」しか実績がないんですから、負けたら普通に人気を失う気がしますけど。裁判所命令次第では発言も制限されそうですし。

Outfielder 「私はPDFファイルを全文読みましたが、特に問題のある内容には思えません」「「Colaboは健全に運営された団体である」とのコメントが出た」読解力がないのでは
2022/12/05

私の文章力の問題だと思うんですが、山本氏が嫌味で「健全な運営っすねw」と言ってるのはわかった上でnoteを取り上げていますよ。
貧困ビジネスで儲けている」が仮に事実として、十分な資産があるなら、わざわざ不正に手を出すモチベーションはないわけでしょ。

horaix 誹謗中傷なら勝てるって主張は俺も一定程度合意するけど、仁藤の思想信条の異なる相手への挑発・侮蔑的な言動(例の自殺対策ビジネスとかな)を鑑みると「危険の引き受けの法理」が適用される可能性もあると思う
2022/12/05

「例の自殺対策ビジネス」とはたぶん、この発言の事だと思いますけど、某ひろゆきが辺野古問題で大炎上したときに不用意に触れて自らも炎上したことに続く(言い訳の)発言に対する非難であるという文脈を踏まえる必要があるんじゃないでしょうか。少なくとも「一方的な誹謗」には当たらないですし、そもそも暇空茜氏に向かってこんな言い方してないんだから「引き受け」も何もないでしょう。
このように極度に仁藤氏側に不利な(アンフェアな)見方が騒動の全ての根源にあるような気がします。私も含めて問題を「フェアに見ている」人間などいないかも知れませんが、それにしても少し異様に感じます。

追記:続編となるnoteを書きました。

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