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エンジェル投資を大衆化させた 「株式投資型クラウドファンディング」とは

この度、より多くの方に株式投資型クラウドファンディングを知ってもらい、理解を深めて頂くことで、国内のベンチャー・スタートアップ界隈がより盛り上がればと思い、このnoteを立ち上げました。

国内のベンチャー・スタートアップ企業の新たな資金調達方法としても注目されている株式投資型クラウドファンディングですが、完璧に理解できている方は少ないのではないでしょうか?
このnoteでは、まだまだ情報の少ない株式投資型クラウドファンディングを、国内だけではなく海外の市場情報も交えながら紹介していきたいと思います!

クラウドファンディングとは?

既にご存じの方も多いと思いますが、クラウドファンディングとは「群衆(crowd)」からの「資金調達(funding)」の語を用いた造語で、一般に、新規成長企業等があるプロジェクトを行うために必要な資金を、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ集める仕組みをいいます。

資金調達といえば、一般的に金融機関からの借入や企業関係者・VCによる出資が挙げられます。クラウドファンディングは、これらの資金調達にはない「手軽さ」や「拡散性の高さ」、「テストマーケティングにも使える有用性」といった点が魅力的な新たな資金調達の仕組みとして近年注目されています。

クラウドファンディングは、そのリターンによって大きく「寄付型」「購入型」「投資型」に分類されることが一般的です。下の図は、クラウドファンディングを類型ごとに分類したものになります。

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このnoteでは、投資型の中でも出資先の株式や新株予約権をリターンとする「株式投資型クラウドファンディング」について書いていきます。

株式投資型クラウドファンディングって?

株式投資型クラウドファンディングとは、金融商品取引法の改正及び日本証券業協会の自主規制規則の整備によって、2015年5月に解禁された新たな資金調達方法です。株式投資型クラウドファンディングを行う事業者は、「第一種少額電子募集取扱業者」として金融庁から許認可を受けることで業務を行うことができます。

海外では、日本より先にイギリスやアメリカでもサービスが始まっており、株式投資型クラウドファンディングによって資金調達を行った企業がユニコーンまで成長している実績もあります。既にエンジェルやVCと並び資金調達方法の一つとしてその役割を確立していると言っても過言ではないかもしれません。

一方で国内では、「FUNDINNO」を運営する株式会社日本クラウドキャピタルが2016年11月に許認可を受け、2017年4月の第1号案件の募集によって、国内での株式投資型クラウドファンディングのサービスが始まりました。現在、国内の株式投資型クラウドファンディングのプレイヤーは以下のようになっています。

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日本証券業協会がHPで出している株式投資型クラウドファンディングの統計情報・取扱状況」より算出したところ、サービス開始から約2年8か月(2019年12月22日現在)経過した現在の調達総額は累計で約30億円となりました。2019年の年間調達額は約11億円であり、2018年の年間調達総額が約15億円であることから、資金調達額のみで見た場合、市場は若干縮小していることとなります。

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一方で、今年の下半期にはFUNDINNOによるFUNDINNO型新株予約権の実装やSBICAMPFIREといった資本力のある企業の参入、またエンジェル税制改正に向けた動きが取り上げられるなど、来年以降の株式投資型クラウドファンディングに期待が高まるような出来事もありました。(詳細は今後のnoteで紹介していきます)

株式投資型クラウドファンディングの仕組み

株式投資型クラウドファンディングを分かり易く説明する と、購入型クラウドファンディングで支援を行うことによる「モノやサービス」といったリターンが、株式投資型という名前の通り「株式(もしくは新株予約権)」になります。このスキームを図式化したものが下の図になります。

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株式投資型クラウドファンディングの、案件が掲載されてからの大まかな流れは以下のようになります。(詳細は今後のnoteで紹介していきます)

① ウェブサイトへの掲載
通常のクラウドファンディングのように、発行者はクラウドファンディング事業者が運営するウェブサイトで募集を行います。

② 個人投資家による申し込み
掲載されている情報をもとに個人投資家は申し込みを行います。現時点では、株式投資型クラウドファンディングを利用することができる投資家は個人投資家に限られています。

 ③ 案件成約/払い込み
募集期間内に目標募集額を上回った場合、個人投資家よりクラウドファンディング事業者に申し込み金額の支払いが行われ、その後発行者に払い込まれます。

 ④ 株式(新株予約権)の発行
個人投資家に対して、株式(新株予約権)の発行が行われます。

これらはあくまで「案件が掲載されてから」の大まかな流れとなっております。株式投資型クラウドファンディングを利用するためには、クラウドファンディング事業者による発行者の厳正な審査が行われ、通過した企業のみがウェブサイトに掲載されるようになっています。

株式投資型クラウドファンディングの特徴は?

株式投資型クラウドファンディングを知る上で、忘れてはならない3つの特徴が以下のものになります。
・少額要件
・電子募集
・集合知

◇少額要件
株式投資型クラウドファンディングでは発行者及び投資家それぞれに、以下のような「少額要件」が設けられています。

 -発行者-
1年間で調達できる金額が1億円未満に限られます。1年間とは、前回の調達から起算して1年間であるため、年越しや決算期が変わったからといって関係はありません(これについては細かいルールがあるので、次回以降のnoteで紹介します)。
-投資家-
投資できる金額は、1企業あたり年間50万円以下です。1企業あたりですので、複数社に投資する場合は、それぞれの案件において投資額が年間50万円以下までは投資することができます。

 ◇電子募集
企業が募集を行う際、企業情報の説明やその他手続きなど、企業と投資家間における募集に関わる行為は全てクラウドファンディング業者のウェブサイトや電子メールのみを利用して行われます。つまり、電話や訪問等による勧誘は禁止されています。

◇集合知
株式投資型クラウドファンディングサービスに登録している不特定多数の投資家に対して募集を行うため、集まった資金の額やそのスピードによって、自社の製品やサービスが面白いと思われているのか、ニーズがあるのかを判断することができます。VCやエンジェル投資家とは異なり、非常に多くの投資家の考えが反映されるため「集合知による判断」を行うことができます。

これらのように、株式投資型クラウドファンディングにはエンジェルやVCの出資によるエクイティファイナンス、銀行融資などのデットファイナンスといった従来の資金調達にはない特徴を持っています。そのため、起業家にとっては資金調達の選択肢が増え、よりそれぞれの企業に適した資金調達が可能になると期待できます。

最後にひとこと

今回のnoteでは、株式投資型クラウドファンディングの基礎の部分を紹介しました。まだまだ実績も少なく、多くのプレイヤーにとって分からないことの多いサービスだと思います。
今回書ききれなかった部分も非常多くあるので、このnoteを通じてより多くの方に株式投資型クラウドファンディングの理解を深めてもらい、それぞれの企業にとって最適な選択が出来るようにしていきたいと考えています!

今後も定期的に発信していくので、より多くの方に読んで頂けますと幸いです。
次回以降もご期待ください!

※第三者だからこそできる、皆様の株式投資型クラウドファンディングに対するリアルな声も反映していきたいと思っています。起業家、投資家、クラウドファンディング事業者の皆様で、インタビューなどさせて頂けます方はご連絡頂けますと幸いです。

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