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【ライブレポ】くぴぽ "『WATER』yatto chanto RELEASE siteno ONEMAN "

※ヘッダーはyuasaさん(https://twitter.com/grandir1979s)の写真をお借りいたしました。

イントロダクション


2023年5月6日、午前11時半過ぎ。
くぴぽのワンマンライブを観るために僕は渋谷にいた。

今回のワンマンはくぴぽ4thアルバム「WATER」のリリースを記念してのワンマンライブだ。当該アルバムのリリースツアーは2023年2月~3月にかけて行ったものの、当時は音源のリリースが間に合っておらず、ツアー終了後となってしまったため、今回「やっとちゃんとリリースしての」ワンマンライブというわけだ。

また、ツアーではメンバーが楽器を当て振り演奏しながらライブする”エアバンドセット“、ファイナルの新宿LOFTでは本物のバンドセットを導入するなどの試みを行っていたが、今回のワンマンはまきちゃんが「特別な演出なし、サプライズなし、いつものくぴぽのライブを80分やる」と事前に宣言、ガチンコのアイドルライブをやるということで、僕はとても楽しみにしていた。僕は演出や趣向を凝らしたライブも好きだが、一回一回、そのときやれることを100%やっているくぴぽの全力のライブが大好きなのだ。

Spotify O-nestのビル前に着き、見知った顔に挨拶しながら開場を待つ。
開場時間少し前に6階のロビーに通され、フロアに入ると最前から3列程度の人の入り。僕は知り合いも多くいた中央付近で観ることを決めた。ステージには装飾や小道具もなく、ガチンコのライブを予感させた。開演時間も近くなると後方は入り口のドア付近まで人で埋まっていた。

ライブ本編

開演時間、1曲目はお馴染みの「出囃子っぽ」が流れ、メンバーが勢いよく登場してくる。声出し可の公演なので、早くもメンバーを呼ぶ声がそこかしこから聞こえる。フロアも一気に熱を帯びていく。

2曲目は「Cool!Peace!Pop!」。これは僕もなんとなく予想していたのだが、まきちゃんが当初アルバムの1曲目をこの曲か「GOODBYE IDOL」で迷っていたという裏話があり、結果「GOODBYE IDOL」に軍配が上がったわけだが、それを「WATER」リリースワンマンの1曲目に持ってくるのはなかなか粋な演出だ。また、かなり意図して作られたライブアイドル!な楽曲なので、MIXやコールも入れやすく、フロアの盛り上がりも一気にヒートアップしていく。

つづく3曲目「QPPON QUEST~海底のお姫様~」もライブでのお披露目からは日が浅いが、非常にキャッチーで楽しい曲で、こちらもコールやMIXなどたくさん入りながら「くぴぽのライブ」が形成されていく。「WATER」の中でも屈指のひたすらキャッチーな曲を本編1,2曲目に持ってくるという最初からフルスロットルな展開はかなり熱い。

4曲目は「波紋」。こちらもアイドルらしさに溢れた楽曲だが郷愁を誘うメロディに”聴かせる“要素が強く、フロアの熱は維持したまま、よりステージに惹きつけられていく。この流れで5曲目に「走馬灯」を持ってきたのも素晴らしい。ただ沸くだけが今のくぴぽのライブではないことは、フロアにいるファンも分かっている。それぞれが音楽とメンバーの歌声に身を任せて揺れる。それまでのひたすら陽のムードから、アルバムの中でも静謐でダウナーな空気感を持つこの曲への落差を皆楽しんでいるように感じた。

6曲目は「はつ恋ランデブー」。「走馬灯」でいったんクールダウンした空気を引き継ぎながら、心地よいリズムとベースラインのこの曲にそのまま身を任せる。イントロで跳ねるメンバーの振付がとても可愛い。内省的な曲が続き、胸が締め付けられる思いもあった。

ここでいったんMCが挟まれる。自己紹介と、まきちゃんが余裕をもって会場入りしようとしたもののホテルに忘れ物をして結局タクシーで一往復半したという話。ここで和やかなムードにしつつも、一度そこまでのセットリストの流れを区切るという、巧みな構成だ。
そして、ここからは「WATER」以前の楽曲のつるべ打ちとなった。

7曲目「愛して!プライスレス」は久々の披露。この4人で披露するのは初?だろうか。ひたすら可愛い楽曲でメンバーの名前をコールしたりフリコピしたりと懐かしくも楽しい。8曲目はいまやライブのド定番である「ぎゅーーーーーして♡」だ。こちらもコールやMIX、フリコピなどで盛り上がり、多幸感が凄まじかった。続いて9曲目「PEOPLE!!」でフロアの熱がまた一つのピークを迎えた。くぴぽの代名詞的な曲であり、メンバーが変わりながらも、いつの時代も歌詞とメロディが胸に刺さってくる。この曲は5分半あり、単純に長いので対バンライブでは披露されることが少ないのだが、ワンマンのセットリストのど真ん中にこの曲を持ってくるという演出は心憎いなと感じた。

その熱を保ったまま10曲目「PAINT PAIN 平成」。ステージもフロアもひたすら沸きあがる。何も考えずに暴れる。この混沌に、かつてのくぴぽらしさもちゃんとあるんだぞ、というメッセージを感じる。曲中、まきちゃんがオタクの頭の上に乗るという技も披露された。(技ではない)

11曲目「眠いよ青春」も歌詞にくぴぽらしさがつまった楽曲で、PP平成の混沌で散らばりかけたところをキャッチーなギターロックがぎゅっと引き締めていく。後から考えると、今回ワンマンで披露された曲の中では唯一現メンバーの歌唱バージョンがない曲だ。しかしながら、こうした節目で必ず披露されているので、くぴぽのキャリアの中で非常に大切な曲であることがわかる。

ここでまたMC。この後またWATERの楽曲に入っていくのだが、今回のセトリはライブとしての盛り上がり・ダイナミクスを意識した流れでありながら、WATER楽曲と過去楽曲を混ぜずにMCを挟んで完全に切り離しているところに非常にクレバーさを感じる。

12曲目「September Pool」からはまさに”2023年の、今のくぴぽ“を象徴するような楽曲が並んでいく。跳ねるリズムに手拍子やサビの水をかける振りなどで楽しく盛り上がる。13曲目「首輪 Lighting DOG」はアルバム随一の複雑な曲展開と振付が目を引き、惹き込まれる。ライブならではの激しさも加わり、今のくぴぽのパフォーマンス力やライブ力の高さを見せつけられる。

続く14曲目は「fish」。異質でプログレッシブな楽曲であり、普段の対バンでは飛び道具的な扱いで逆に入れやすいこともあるだろうが長尺のライブでの配置はどうか、と思っていたが、「首輪 Lighting DOG」で作られた雰囲気がマッチし、ここしかない、というベストな配置だった。

そして15曲目「GOODBYE IDOL」。いよいよ終わりが見えてきたという感じで一抹の寂しさを感じたが、この曲の持つ否応なしのパワーに圧倒される。メンバーも曲に乗じて、いい意味でのラフさを見せるパフォーマンスでガンガンに熱量をぶつけてくる。必死に食らいついていく。

16曲目、本編ラストは「フルーツの栞」。ひたすら沸く曲をやってバッサリとエンディングを迎えるという選択肢もあったと思うが、感傷的だが爽やかなこの曲で終わり、余韻を残していく、それができるのも今のくぴぽならではだなと思った。

アンコール

本編終了後、まきちゃん以外のメンバーが一度退出し、まきちゃんが一人でMC。このMCの内容についてはツイッターにも動画がアップされており、こちらでの言及は省くが、この数か月(いや、もっとかもしれない)の心の機微や、ファンへの想いなどを真摯に、丁寧に伝えるまきちゃんの姿に涙した。
話の最後、「お客さん一人ひとりにお礼が言いたい」とマスクをつけフロアに降りて本当に一人ひとりと握手をし始めるというまきちゃんの意味不明な行動に笑いが起き、感傷的なムードで終わらずちゃんとオチをつけるまきちゃんの心意気を感じた。

メンバーもステージに戻り、披露されたのは「恋(2023 ver.)」。まきちゃんが自分の気持ちを吐露した後に、まきちゃんにとって非常にパーソナル曲であるこの曲をやるということにただただ涙した。メンバーの真っ直ぐな歌声がそのまま心の中心に飛び込んでくるようだった。続く「あたしが星座になる前に」もその文脈を引き継ぎ、今日という日のこの一瞬にしかない輝きを感じさせ、アイドルの美しさと尊さを改めて感じさせた。

最後の最後は「カルピコの夢」。「ひたすら沸く曲をやってバッサリとエンディングを迎える」をここに持ってきたのだ。楽しい、面白い、少し寂しい…などのここまでの全て感情の原液をメンバーがパフォーマンスの熱量で割って、フロアが飲み込んでいく。この曲の間は記憶もないぐらい、一気に駆け抜けて終わった。残るのは充足感と多幸感。楽しかった、ただその気持ちだった。

アウトロ

当たり前だが、ワンマンライブはそのアーティストだけを何十分~数時間観ることになる。終わったとき、短かったな、長かったな、そんな気持ちになることもある。しかし今回のワンマンはそんな過不足のようなものが一切感じられなかった。すべてが必然で、ピースがピタリとはまっており、今のくぴぽがやるワンマンライブはこれしかない!という感じだった。セットリストからMCにいたるまで、僕がくぴぽを好きな理由が詰まっていた。そこには今のメンバーがまだ入る前から今のメンバーに至るまで変わらない部分と、常に最新のくぴぽが面白く、楽しくあり続けようとしてくれている部分が両立している。
僕はくぴぽに出会えて本当に幸せだ。
改めてそれを感じさせてくれるライブだった。

つづく

ライブ動画など

以下、有志の皆様がyoutubeやツイッターに上げてくださっているライブ映像を紹介させていただきます。ライブに来られた方は再度楽しんで、残念ながら来られなかった方はその空気感を楽しんでいただければと思います。(僕が撮ったわけじゃないのに偉そうですみません)

くぴぽ 『WATER』yatto chanto RELEASE siteno ONEMAN

なんとがっつりライブ全編、しかも前方と後方の2カメの編集でアップしてくださっています。※まきちゃんの最後のMCはカット
メンバーのパフォーマンスがはっきり見えるアングルを常に選択してくださっていてとても見やすいですし、クリアな画質で表情までしっかり読み取れてライブに没入して楽しめます。

くぴぽ 4th ALBUM「WATER」yatto chanto REREASE siteno ONEMAN 2023.5.6 ライブ 

フロア越しに撮影されていて、とにかくその場にいるような臨場感が凄いです。振りコピやMIX、コールなどもばっちり収録されており、オタク目線で楽しみたい方にはベスト。MCをカットしたライブパート全編を4つに分けてアップされており、上記の再生リストのリンクからまとめてご覧いただけます。

#うのチッケム

僕の推しメンであるうのちゃんの推しカメラ(チッケム)を撮ってくださっているみなさんが、「#うのチッケム」のタグをつけてツイートしてくださっています。(本当にありがとうございます)
うのちゃんの最高のライブパフォーマンスやかわいいところが満載です。
上記リンクからツイッターの検索結果に飛べますので、ぜひご覧ください。

まきちゃんMC

こちらは本編終わりのまきちゃんのMCです。ライブの流れの中に存在することで意味を増すパートなので、これだけを抜き出して紹介するのもアレなのですが、でも今回のライブを語るにあたって非常に大事な要素なので、ここに置かせてください。


それでは、またライブハウスかツイッターでお会いしましょう。


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