見出し画像

カザフスタンお姫様から日本人アスリートの社会性について思ったこと

今は1ドル何円か知ってる?
ボクサーでも案外バカじゃないんですね。
プロボクサーで大卒とはびっくりしました。
社会人としてやっていける能力がないからプロボクサーを続けているんだ。

上記は20歳代の私に浴びせられた言葉である。

『アスリート=筋肉バカ』と本気で思う人間が存在することを身を持って知らされた。今となっては悔しいながらも良い経験とも感じるが、言葉を浴びせられた当時はとにかく腹が立った。この経験から生きていくうえでの最低限の社会性を身につけ、自分なりに『アスリート=筋肉バカ』ではないことを証明したくて社会の動きを敏感にキャッチしてきたつもりだ。

私はアスリートだから社会性に乏しいとは思っていないし、思いたくもなかった。しかし、残念ながら東京五輪によって自らの考え方が変わってしまうかもと危惧している。

果たして五輪出場の日本人選手の何名が『多くの犠牲を強いられ、緊急事態下で開催されている東京五輪』ということを心の底から認識しているだろうか?

大会を支えるボランティアや医療従事者等の方々に対する感謝の気持ち、陽性判定により来日しながらも試合が出来なかった選手にお見舞いのコメントを残した日本人メダリストを私は知らない。

勿論アスリート自身のせいではないが、劣悪な環境に宿泊しているドライバーさんが運転するバスや自動車に乗って会場入りして、ろくにPCR検査も受けられないボランティアの尽力によって緊急事態下における大会が開催されているのである。また、医療が逼迫している原因の一つは五輪開催という事実も否定は出来ないだろう。

だからこそ、記者会見では五輪開催を支えている方々と陽性判定で出場が叶わなかった仲間たちに、そして医療従事者やコロナ禍で苦しまれている方々に対してコメントを残すべきである。
それが出来てこそ社会性を持った大人であり、真のスポーツマンシップを持つオリンピアンではないだろうか?

ぶっちゃけ、家族やお世話になった関係者等、感謝の気持ちを自らが直接伝えられる方々に向けたコメントを記者会見で残す必要はないはずである。

恐らく今大会で最も有名になった外国人選手であるオリガ・ルイパコワ選手。彼女は「日本の政府、日本の国民の皆様に感謝をしたい。この困難な状況の中、五輪が行われていることがうれしい」とコメントを残している。

注目すべきは彼女の出で立ちではなく社会性である。彼女ような社会性あるコメントを残せるアスリートが日本に増えなければ、いつまでも日本には『アスリート=筋肉バカ』の考え方が消えないだろう。これが東京五輪のレガシーになってしまったら悲惨である。

最後までお読みいただきありがとうございます。サポートいただけましたら幸甚です。