すげえぜ!Suiのオンチェーンストレージ
今回はSuiブロックチェーンのアーキテクチャの一つである「ストレージ」のお話です。
Suiには分散型のストレージ機能が備わっていて、多少大きなデータでもブロックチェーンに保存することができます。
と、言ってもそれの何がすごいのかわかりにくいと思うのでBitcoinと Ethereumのデータ保存の制約を見てみましょう。
1.BitcoinとEthereumのブロックサイズ
1-1.Bitcoinの場合
まずはBitcoinがデータをどのようにブロックチェーンに保存するのかというと、ブロックという単位の箱の中に直接データを保存します。
その容量はわずか1ブロック1MBです。このブロックに保存できる容量を「ブロックサイズ」と言ったりしますがブロックサイズが満杯になると次のブロック、それが満杯になるとまた次のブロック…とチェーンで連なっていきます。
でも1MBってかなり小さいですよね。
なのでビットコインは基本的に台帳データしか保存していません。
1-2.Ethereumの場合
次に、Ethereumはと言うと、こちらもブロックの中にデータを保存します。Ethereumは名目上はブロックサイズの制限は無いようです。
ですがその代わり大きいデータを保存しようとするとガス代が一気に上がる仕組みです。また、データをブロックチェーンに保存したり出し入れすることはネットワークの遅延にも繋がるため、Ethereumもやはり基本的には台帳データくらいの軽いものしか保存しないというのが現実です。(※Solanaもざっくり言えば似たような感じです。)
ここで勘のいい人は「あれ?NFTは画像データだけど、どこに保存されてるんだ?」と思ったかもしれません。実はほとんどのNFTの画像データはEthereumの外で保存されています。
2.NFTの仕組み
ここの理解が大事なので、少し横道にそれてNFTの仕組みを説明します。
そもそもNFTとは何かと言うと、その正体は「識別子付きのトークン」にすぎません。この識別子とはハッシュ値と言われる暗号化されたユニークな数字の羅列です。それが付いたトークンが任意のデジタルデータ(画像など)に紐付いてるという仕組みです。
下のイラストのように、NFT=識別子付きトークンだけがブロックチェーンで管理されて、資産価値のあるとされるデジタルデータはブロックチェーンの外に保存されています。
なので、NFTに紐付いた外にあるデジタルデータがなんらかのトラブルで削除されたり改変されるリスクがあります。また、外の世界にある画像や様々なパラメータはスマートコントラクトとコミュニケーションできないので動的な変化を与えることもできません。そういうことができるとNFTも色々活用法がありそうですよね。
ブロックチェーンで大きいデータを扱うことが大変なのと、それによる現状の課題を理解していただけたと思います。
3.Suiの革新性
3-1.オンチェーンストレージ
ここでSuiの話に戻って来ます。
BitcoinやEthereumにはブロックチェーンに保存できるデータに制限があるよという説明をしました。
ではSuiは?というと、BitcoinやEthereumのようなブロックサイズという概念がSuiにはありません。その代わり独自のストレージを持っていてあらゆるデータがそこに保存される仕組みです。
Suiで扱うデジタル資産はオブジェクト化された状態で全てストレージに保存されます。取引履歴なども全てストレージに保存されます。
このSuiのストレージは完全に独立しておらず、あくまでSuiのブロックチェーンのアーキテクチャの一つというのがポイントです。これによりブロックチェーンに完全に連携された状態で効率的にデータにアクセスできます。
3-1.Suiのユニークなトークノミクス「ストレージファンド」
Suiはこのストレージ性能により他のブロックチェーンと比べて圧倒的に大きなデータを扱うことが可能です。しかも、ユーザーがデータを扱う時にもガス代も安く設定されています。
なぜそんなことが可能なのでしょうか?
Suiは「ストレージファンド」というトークノミクスでこれを解決しています。
ストレージファンドの仕組みは、ユーザーが支払うSuiのガス代の一部が「基金」として蓄積されていて、データ検証する時のコストはその基金から支払いに使用されます。 つまりストレージを使うための料金は前払いで取られているということですね。
同時に、ユーザーがストレージの割合を減らすように促すために、ユーザーがコンテンツを削除した場合、ユーザーはその分の料金の払い戻しを受けることができるという仕組みにより、ユーザーがストレージを使う際のコストを最小限に抑えてくれるということです。
実はこの辺はまだ僕も勉強が足りなくて完全には理解してないのですが、こちらでより詳しく説明してくれてます。
4.Suiのオンチェーンストレージで何が実現できそうか?
・大きいデータをブロックチェーンで扱える
・データの読み込みが高速
・ガス代も安い
これが可能にすることは何か?
まず、SuiならダイナミックNFT(様々な条件で動的に変化するNFT)が実用的になりそうです。
そして、僕はこれまでにないアプリケーションがSuiに立ち上がる可能性があるんじゃないかと期待しています。
いくつかのアイディアをご紹介します。
・ゲーム
Suiを基盤としたMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)が考えられます。Suiのストレージ性能と高速トランザクションを組み合わせれば、リアルタイムで様々なデータの状態を同期して、既存のブロックチェーンでは難しかった大規模なゲームサービスを作れるかも知れません。
・エンタメ
動画コンテンツもSuiを利用することで、動画コンテンツそのものや権利情報をオンチェーンで管理することが可能になります。これにより、コンテンツの透明性と信頼性が向上し、権利侵害の問題にも効果的に対処できるようになるはずです。
・教育
分散型データ分析プラットフォームなんかも面白いアイディアかもしれません。Suiの分散型ストレージを活用して、大規模なデータセットを分散的に集めて、安全かつ効率的に共有・分析するなんてサービスも実現可能かもしれません。
このように大きなデータをブロックチェーンで扱えるようになると、これまでのweb3サービスとは全く違うものが生まれる可能性があります。
Suiのファウンダーのevanさんも伊藤穰一さんとの対談でこのように言っています。
5.まとめ
これまでのブロックチェーンでは重たいデータは外の世界に保存されていた
Suiで扱われるデータはすべて独自の分散型ストレージに保存される
しかも、データの出し入れは高速かつガス代も安い
これにより今までにないブロックチェーンサービスが実現するかも?
以上、いかがでしたでしょうか?
Suiがweb3のゲームチェンジャーになるポテンシャルは十分あります。あとはここにアイディアのある開発者が集まって来たら、、、と期待しちゃいますよね。
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