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ザ・理不尽

ある公的機関に行った。
待っていた書類がようやく届いたからだ。
書類を書き、名前を呼ばれる。
手続きをするために話しを聞く。

「次は、5月⚪︎日に来てください」
「えっ!?その日は、行けない可能性があります」
「何があるんですか?」
「仕事です」
「なら、この書類にサインをもらってきてください」
「えっ!?多分無理です」
「なぜですか?」
「業務を委託されていて、クライアントさんに会いに行くからです」
「じゃあその方にサインをもらって来てください」
「クライアントさんにですか?」
「はい、そうです」
「その方は、お客さんであって、ぼくの雇い主じゃないですよ」
「あ、そうですか」

今日、書類を提出すると、必ず5月⚪︎日に行かないといけないらしい。

「なら、来週の月曜日に受付すれば、どうなるんですか?」
「すると5月⚪︎+2日に来てもらうことになります」
「その日なら来れるので、出直します」
「申し訳ないです」
「変なシステムですね」

融通が効かないとは、まさにこういうことを言うのだろう。
昔のぼくであれば、窓口の担当者の方にかなり文句を言っていたであろう。
けど、今は言わない。
窓口の担当者の責任ではなく、明らかに国のシステムの問題だからだ。

帰って、妻に話す。
「あっ、そう言えば、何十年前に私も行ったことがある。当日、会社の先輩のご家族に不幸があり、ちょうどお葬式の日やってんけど、どうしてもその日に来いと言われたから、参列せずに行ったわ〜」
とのこと。

何十年前から変わっていないシステムのようだ。

企業であれば、このようなシステムエラーに対しては、かなり突っ込んで話しただろう。
ぼくがお客さんの立場でも、自社のシステムエラーであれ。
自社のシステムエラーである方が、会社へ強く申し入れをする。
なぜなら、それは、顧客のためにならないから。
そのまま継続すると、顧客が自社から離れていくと容易に想像ができるから。

このような、小さな不満に耳を傾け、クライアントさんが感じる「小さな棘」をできる限り抜いていきたい。

「小さな棘」といえば、文章もそうだ。
さとゆみゼミで、誰にも嫌がられない文章とは、「棘抜きされた文章である」と習った。

ただ、人生には棘が必要なときもあると思う。
だから、人生はおもしろい。

棘が余計であったり、棘が必要であったり。

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