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【2022.6】今月良かった曲20選レビュー

 どうもです。

 月末恒例、音楽紹介記事の6月分です。今月もリリースされた楽曲(アルバム、EP、シングルetc…)を対象に、良かった楽曲を紹介していきます。読んでくださった方に1曲でも良き出逢いがあります様に!ではどうぞー。



#1『ねぎゆーのパないうた』/  NEGI☆U

 VTuberグループ「ホロライブ」所属の、湊あくあ、大空スバル、桃鈴ねねによるアイドルユニット・NEGI☆U。待望の1st EPをデジタルリリース。これまでTikTokにて先行公開を行なっていた3曲に新曲「よくばりキュートガール」を加えた全4曲が収録。
 リリースに合わせて、MVも公開された「PANIGHT」が素晴らしかった、最高。今は数が少なくなってきた2010年前後の王道アニソン・キャラソンを想わせる盛り上がりと可愛さを詰め込んだパーティーチューン。そこにハードコアと、何ならロシアンハードベースまでも盛り込む天才っぷり。この陰と陽の合体は3人を象徴するかの様。歌割りもこれしかねえだろ!って感じで、彼女達の魅力がとことん詰め込まれているので、何も知らない人がこのMVを見ても何となく「この子はこんな感じだろうな」って云うのが伝わってくるかと思います。他3曲は「よくばりキュートガール」もかなり好き、サビが神。配信の「ユニット初集合LIVE」ではこれらの披露がありましたが、いつか現地で浴びれるのを楽しみにしています。


#2『Доппельгангер. Часть Вторая.』/ Tell Me a Fairytale

 ロシアはニジニ・ノヴゴロド出身のポストハードコアバンド。1年ぶり5枚目のアルバムをリリース。本作8曲でちょい少ないとは言え、制作スピードが早すぎる…。
 8曲通して一度も中弛みする事なく聴き通せてしまった良作。名盤『Уроборос』には及ばないものの、ポストハードコアをベースにニューメタル、シンセウェイブ、ラップコアなどを取り入れて、どの曲も一味違う個性ある楽曲になってました。キャッチーで疾走感溢れるTr.2「Рисовка」(←MVが無かったのでライブ映像を貼りました)、効果的なシンセとグルーヴ感が強いTr.3「Одержимость」、ベースが気持ちよく叙情も感じるTr.5「Отшельник」、ラストを飾るに相応しい壮大な終幕を魅せるTr.8「Синдром Капгра」、この4曲が特に好き。全体通して、ロシア語自体が耳慣れない響きがあってクセになるのが良い方向に働いている気がします。ボーカルВладимирのハイトーンボイスも感情が乗っててとても好みだし、クリーンが混じった様な中高音域の力強いスクリームも魅了的です。
 ロシアのバンドと云うと、SHREZZERS、Wildways、Shokran、Slaughter to Prevail辺りが好きなんですが、なんかロシアは濃ゆい、独創的な世界観を持ってるバンドが多い印象を持ちますね(笑)


#3『DUALITY』/ Sable Hills

 2015年にVo.Takuya、Gt.Rictの兄弟を中心に結成されたバンド国内メタルコアバンド。1stアルバムから約3年ぶり、待望の2枚目となるアルバムをリリース。クラウドファンディングで支援していたので、手元にもフィジカルが届きました。ありがとうございます。嬉しい。
 全10曲。曲順含め完璧でした。どの曲もちゃんと個性があって、ヤバい良かったです。全体的には相変わらず王道中の王道の曲展開を往きながらも、オリジナリティにも溢れてます。聴いてて素直に気持ちいい、純粋にメタルに求めている、それ以上を提供してくれる安心感があると云いますか。ヘヴィなサウンドも熱量を大事にしながら、テクニカルな部分、繊細さを損なわない美意識がとても好き。MVが公開されたTr.1「The Envy」なんか特にそうですね。あとは何と云ってもVo.Takuyaのシャウトバリエーションが増えて嬉しい限り。迫力と同時に満足感が大きくなる。Tr.2「Bringer」のメロシャウトも好き。加えてGt.Rictのクリーンボーカルも増えました。昨年先行リリースされたTr.8「Messiah」から感じていたんですけど、クリーンのメロディむっちゃ好きなのよ。耳に残るし、口ずさみたくなる。これは日本人にしか出せないよなぁと。Sabelらしさがまた強化されて最高です。あとはTr.6「Snake In The Grass」、どのパートも俺らを止められるもんなら止めてみな!感(伝われ)が溢れてて最高でした。
 熱量をより伝えられるライブを意識した作りも際立っていて、Tr.10「The Eternal」はそれがモリモリで特にシンガロングパートはもう拳を掲げずにはいられない。これからずっと大事にされて欲しい曲だなと思いました。
 「若者にはメタルを、年長者にはメタルコアを証明するサウンド」を胸に活動し「メタルの未来」とも敬称される彼ら。今年は世界最大のメタル・フェス"Wacken Open Air"にも出演。今後の活躍も期待してますし、できる限りサポートし続けます。現在回ってるツアーも観に行くので楽しみです。


#4『Remade In Misery』/ Memphis May Fire

 アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身のメタルコア/ポストハードコアバンド。実に4年ぶり、7枚目となるアルバムをリリース。昨年から急にシングルをリリースをしまくってきたので、本作に対してはやっときたかって云う嬉しい気持ちと、でもアルバム新規曲が殆ど無いのよね、と云う寂しい気持ちで、複雑ではありました(笑)
 で、結局どうなん?って事なんですが、最高でした。新鮮さはやっぱり薄かったけど、その先行リリースされた楽曲が良かったからもうそのまま満足してしまった。自信があったから彼らも先行リリースしてきたんだろうな、と想う程。もう結成から20年経つしベテランの域に入った彼らですが、前作『Broken』の評判はあまり良くなく、ここに来て彼らの全盛期であった"あの頃"を想わせる原点回帰みがありました。でも前作を決して無いものにはせず、聴かせるパートだけ持ってきて、あとは研ぎに研ぎ澄まされたサウンドの切れ味がとても良かった。スクリームとクリーンも含め、攻撃性とキャッチ―さを兼ね備えたメリハリの良さに抜群の安定感があると思ってるので、そこで思いっきし勝負しにきてくれた。全曲通して展開美は見事云う他なく、追随を許さない圧巻のメロディセンスは流石だなと思わされました。
 新しさで云うとまだ物足りないと感じる人もいるかもしれないけれど、間違いなく"帰ってきた感"があった本作。これは、このコ〇ナ禍で失われた「何か」を取り戻そうとする、”希望”や”再生”といった確固たる信念を感じずにはいられないですね。リリックやメロディからも根底にあるのはそこだと思います。特に気に入っているのはTr.1「Blood & Water」, Tr.3「Somebody」, Tr.5「The American Dream」, Tr.9「Left For Dead」です。


#5『MAGATSU』/ HAILROSE

 東京を拠点に活動するエレクトロニック・メタルコアバンド。2020年からリリースの度にとんでもない楽曲をリリースしてきた彼らですが、今年もやってくれました。ここまで期待の上の上を行くの凄すぎる。
 そんな最新シングルですが、唯一無二のジャンルを相変わらず確立しててとりあえず言葉を失いました。本作で言えば、ベースにあるハードコアテクノでは重く歪んだガバキックも多用、それでここまでデスコアやニューメタルコアと調和させてくる技量とセンスに脱帽します。ダークな殺伐とした雰囲気、激しいノイズとかはシナジーあるとは言え繋ぎとして完璧に使いこなしてるなぁと。バンドサウンドも逆に存在感増している気がします。2:44~はImmortal DisfigurementのCJ McCreeryがフィーチャリング。猛々しいグロウルによるブルータルさの演出は流石としか言いようがないです。あと、この曲が気に入った方にはDJ Myosukeさんの「SCREAM the MAXXX」もオススメしておきます。SEVER BLACK PARANOIAのDaisukeさんがフィーチャリングしてますので。


#6『The Collapse』/ Secrets

 アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴ出身のポストハードコアバンド。4年ぶり5枚目となるアルバムをリリース。前作のセルフタイトルアルバム『Secrets』そこまで印象に残っていないんですが、昨年と一昨年にはシングルをリリースしてて、ちょっと期待してました。
 で、本作良かったです。意外にもかなりヘヴィに振っていたのが驚き、前作が前作だっただけに。普通にメタルコアしてる。特にTr.2「Get Outta My Head」、Tr.4「Parasite」、Tr.9「Delinquent」はVo. Wadeの強烈なスクリームと良質なメタルコアリフ、ブレイクダウンを魅せてくれていて好き。それでいて一度Gt/Vo. Richardが綺麗なハイトーンボイスを差し込むとやっぱSecretsだぁ…となるから強い。タイトル曲Tr.1「The Collapse」、Tr.5「Bad Decisions」のメロディとか如何にもSecretsな楽曲で。
 そして一番好きなのはTr.11「The Let Down」でした。イントロからもう最高。その後もずっと展開が良くって、クリーンパートを恐れないのが本当に良いのよ。その流れだと絶対にクリーン挟めないよ…を可能にする歌声、声質がRichardにはあるので、サウンドと一体になったサビメロには惚れ惚れします。落差を落差として機能させないこのバンドの魅力がこの曲には詰まってて、名盤『Fragile Figures』の感動を思い出す程でした。来日経験もある彼ら、またいつかライブを観れるのを楽しみにしています。


#7『The Essence of Everything』/ Abrade The Earth

 カナダはオンタリオ州オタワ出身のプログレッシヴメタルコアバンド。待望のデビューアルバムをリリース。2020年リリースのシングルからも含んでたので、新規曲は4曲の計8曲を収録。
 デビューした2019年から良い意味で気持ち悪い、緊張感漂うプログレッシヴサウンドを鳴らしてきた彼ら。方向性はそこまで変えず純粋にパワーアップした印象でした。不穏な雰囲気を醸し出すヘヴィな刻み、メロディックなギターリフ、シンコペーションの効いたリズム、そして残りの音空間を埋めるように色彩豊かで神秘的なシンセを混ぜていく展開美。全曲通してもその多彩さを楽しめる良盤でした。お気に入りは終盤の煌びやかさが素晴らしいTr.1「Connections」, ひたすらDjentしてるTr.2「The Cycle」, 空間を漂う様に鳴ってるシンセが絶妙にクセになるTr.4「Restitutuin」, サウンドと展開が面白いTr.6「Divisions」です。


#8『Irrational Dreaming』/ Escape The Void

 ドイツはカールスルーエ出身のメタルコアバンド。2019年ぶり2枚目となるEPをリリース。2020年からリリースされていたシングルも収録され、新規曲は3曲(インスト2曲)の計7曲を収録。
 初めて聴いたんですけど、どの曲も良かった。武骨でメロディックなメタルコアサウンドを得意としてるのかと思いきや、繊細なタッピングフレーズを含むクリスピーで高貴なサウンドも軽快に展開してくるので、この二刀流と云うかギャップが魅力なんだろうなと。特に気に入っているTr.1「Phantom Pain」, Tr.3「Skydrifter」でそれが解るかと思います。メインボーカルも非常にパワフル且つアグレッシブで良いですね。クリーンも存在感あって心地良いですし。あとインスト2曲もあるのか…と思ったらセンス良くて満足してしまった。同じドイツのプログレッシヴメタルコアバンドUnprocessedが好きな人は好きだと思うサウンドも鳴らしてる気がします。


#9『The Fractal』/ INPHASE

 韓国出身のメロディック・メタルコアバンド。記念すべきデビューアルバムをリリース。いつもの様にYouTubeチェックしてたらWatch Out!チャンネルから急に出てきたのでビックリでしたね。
 デビューアルバムらしからぬクオリティで、しかも好みだったので満足でした。普通に良盤。正統派メタルコアがベースではあるけど、デスメタルやDjent要素もあって、全体通して抜け目がなく安定感抜群と云う印象。MVも制作された表題曲Tr.6「The Fractal」はテクニカルなフレーズを入れながらもイイ感じにメロディアスで何ならキャッチーさも適度にブレンドされてて、古臭さと新鮮さが同居している感覚すら覚えます。イントロからそのまま勢いよく爆発し良質なメタルコアを魅せるTr.2「Lost Cause」、極端な低音チューニングでありながらメロディの流麗さも光るTr.9「Our Apocalypse」も好き。歌メロパートが良いアクセントになってるし。今後も要注目。


#10『WAO!!』/ 博衣こより

 VTuberグループホロライブ所属の6期生「秘密結社holoX」の研究者で、自称「holoXの頭脳」博衣こよりの1stオリジナル曲がリリース。6月16日に行われた3Dお披露目配信内にて初披露されました。作詞・作曲はDECO*27さん、編曲はRockwellさんとボカロシーンのトップクリエイターを起用。
 ザ・王道を行くミクスチャーロックであり、これぞ電波ソング感もあって最高でした。2分41秒と長くない尺ですが、研究者を連想させる“もうきみの心チクっとしちゃえ”や、長時間配信をイメージさせる“あげすぎなぼくとで”など、歌詞の随所に彼女を想わせるフレーズもちゃんと散りばめられていてファンには堪らない。振り向いて欲しいと言わんばかりの想いがサビに込められていて、"わーおわーお”などの掛け声もライブ向けで聴いてて楽しくなります。そんでイラスト:デデチさん、ロゴ&デザイン:柊椋さん、映像:kotoseさんによるMVがマジで可愛いすぎる。


#11『A Moment Of Quiet』/ SENNA

 ドイツはマンハイム出身のプログレッシヴ・ポストハードコアバンド。SharpTone Recordsと契約し、遂にデビューEPリリース。昨年リリースされたシングル2曲も含んだ5曲を収録。
 MVも制作された新曲「Jade」にはバンドの名刺代わりになる様な楽曲で非常にお洒落、何もかも。焚火しながら紅茶片手に聴きたい曲かと思いきや、激しくエモーショナルなサウンドも魅せるこのギャップにやられます。でもでも、やっぱり昨年リリースされた「Lavender」が最高で個人的はこっち派。こちらはプログレッシヴ要素全開で高貴で美しい旋律を奏でてくれます。繊細且つ力強く歌うボーカルの表現力もこのバンドの強みな気がしますね。今後も期待大のバンドです。


#12『My Galaxy』/ Inchaos

 先月の記事で紹介した東方同人サークルDualInsomiNaのメンバーも在籍している中国・杭州出身のプログレッシヴメタルコアバンド。今年初となるシングルをリリース。
 相変わらずテクニカルでオシャレ且つ力強いサウンドを鳴らしてくれて毎度裏切らないバンド。そして、中国語の謎の聴き心地の良さ。本作では、バイオリニスト?のLu Szu-Chienがフィーチャリングし、新たな音色が加わる事でオペラティックな感じが増し、より煌びやかで幻想的なディープな雰囲気になったなと。ギターソロもひたすらに気持ちいい。今更感承知で言うんですが、このバンドの曲を聴いてると美しさと激しさは共存するモノだと改めて思い知らされますね。


#13『Looking for…』/ vianova

 ドイツはベルリン出身のプログレッシヴメタルコアバンド。4年ぶり2枚目となるEPをリリース。昨年リリースされたシングルも全て収録されたので、新規はTr.4「Hypersomniac」だけ。
 でも、これまで紹介逃してきたので、このタイミングで紹介。中々にバケモンじみたボーカルの変幻自在ぶりを軸にミドルテンポを中心とした楽曲が揃った本作。荒々しさはあるものの、どれも独創的なアイデアで繰り広げられるプログレッシヴメタルコアサウンドは、複雑な展開ながらもドラマティックで改めて聴いても聴き応え十分。どれも好きだけど、Tr.2「User Experience」のサウンド・ボーカル・展開がどれも変態すぎて特に好き。重量級のダンサブルなグルーヴも程よく効いてる。


#14『Darkmind』/ Solar Sleepless

 ウクライナ出身のポストハードコア/プログレッシヴメタルコアバンド。記念すべきデビューEPをリリース。むっちゃ良かったです…。
 ちょい不気味なサウンドスケープの中で無慈悲に刻み込まれていくリフはプログレッシヴメタルコアのソレなんですが、そこにトラップ・ヴァイブス炸裂させ、サビでは比較的高らかにキャッチーに仕上げてくるモダンメタルコアなTr.1「Reload」及びTr.3「Life These Seven Point Ninety Five」。どちらも技量とセンスが凄まじいですわ。そして、先行リリースもされたTr.4「Abyss」はオリエンタルドラマティック且つエモーショナルな唯一無二の世界観を確立。シンプルながら随所でフックも効いてるし、情感溢れるメロディもあって、聴けば聴くほど引きずり込まれハマっていく曲でした。このバンド伸びて欲しいです。


#15『Have A Good Cult』/ Earthists.

 東京を中心に活動するDjent・プログレッシヴメタルコアバンド。この月末記事でも先行リリースされた曲を紹介してきましたが、満を持して4年ぶり・3枚目となるフルアルバムをリリース。サウンド・エンジニアはWe Came As RomansやWage Warを手掛けるJeff Dunneが全面参加。
 先行除いた新規曲は5曲。どれも本当に良かったんですが、Tr.3「Cure」がむっちゃ良かった。2:03~がヤバい好き。んでそのままサビもエモさ全開の歌メロシャウトが素晴らしいです。Tr.5「Disillusion」もキラキラシンセとEarthists.らしいプログレッシヴ・サウンドを堪能できて良かった。Tr.6「In Remnant (You just tell me now)」では壮大なムードを演出し、胸が引き裂かれる様な想いになりますね。リリックも本作のメッセージ性の前振りとなるモノでした。あとはインスト曲Tr.8「KAZE」の和テイスト最高、昨年リリースされたコンピレーションEP『BIRTH』に収録されたTr.9「Overvision」への見事な繋ぎで、この流れをライブでも聴きたいなと。
 既存曲だと個人的に2020年にリリースされたTr.7「SUNBLOOD」がやっと盤になって地味に一番嬉しかったりします。ライブでもほぼ必ずといってもいい位披露する大好きな曲なので。これまでリリースしてきたアルバムと路線は若干変わったかもしれないけれど、根底は変わってないし前のEarthists.も今のEarthists.も大好きです。独創性と希望に溢れ、どこか切なさも感じられる楽曲にいつも心打たれます。間違いなく本作も名盤でした。7月2日からはアルバムリリースツアーを開始する彼ら。ファイナルワンマンライブのチケット入手済みなので楽しみにしてます。


#16『Regret』/ Frontières

 カナダはケベック州出身のメタルコアバンド。今年5曲目となるシングルをリリース。凄いペースでリリースしてるので、EPかアルバム出すのか謎(情報入手できずですみません)。これまで泣く泣く紹介できてなかったので、ようやく紹介。
 このバンドはサウンドが特に好き。重厚でまとまりのある音色を中心に、攻撃的なエッジから、モダンメタルコアの綺麗なメロディーも何でもありって感じで。プログレッシヴなアプローチや、ニューメタルコアのアプローチがあるのも面白い。今月リリースされた「Regret」ではLANDMVRKSを彷彿させるラップが映えるメタルコアですが、正直そんな事よりブレイクダウンが強烈すぎてそっちに持ってかれる。あと、Novelistsとフィーチャリングした「Timeless」と「Run」もオススメ。てか、Novelistsは今月LANDMVRKSとフィーチャリングしてましたね。アレもそこそこ良かった。


#17『Scepter』/ Despite Exile

 イタリアはウーディネ出身のメロディックデスコアバンド。2020年にリリースした『Venom』以来2年間の活動休止。その後3人目のギターを加え3rdアルバムの制作を終えたそう。その中から今年初となるシングルをMVと共にリリース。
 衝撃で言えば、今月イチだったかもしれない1曲。血湧き肉躍るボーカルとデスコア由来の心臓が止まるようなブラストビート、そこに散りばめられたテクニカルデスメタルの様なフレーズの数々が堪らなくて超濃密。ダイナミックさ、グルーヴ感、リズムの激しさもパワーアップしており、それらに融合する叙情的な要素も見事。初めて聴いた時は至極の5分間だった。後半3:01~の展開が特に好き。


#18『Coma Year』/ LIMBS

 アメリカ合衆国フロリダ州を拠点に活動するメタルコア/ポストハードコアバンド。2020年ぶりとなる7曲入りEPをリリース。今年先行リリースされた3曲も勿論収録。
 フルアルバムじゃない残念さを感じさせないジャンルにも富んだ作品で大満足でした。非常にダイナミックなサウンドを鳴らしグルーヴィでありながらも、美しさを押し出したコーラスやギターリフが魅力的。中でも表題曲Tr.3「Coma Year」はそこまでヘヴィではないけれど、叙情的メロディが際立っていて、ほんの僅かに香るメロディック・ハードコアのセンチメンタルさが彼らの世界観に上手くフィットしている気がします。他は重低音の集中砲火と思いきやサビへ流麗な移行を魅せる新規曲のTr.1「Mortality Moment」,歌メロが前面に出てくるドラマティックな雰囲気がとても良い Tr.2「Sprit Breaker」, アグレッシブ且つ多彩なのにちゃんと整合性が取られた展開美を魅せるTr.7「Slow Burn」が特に好き。パンデミックによって表面化した感情や、ロックダウンによって人々が自分自身を見つめ直すことを余儀なくされた事を凝縮したと語る本作。確かにそこはかとなく内なる感情が爆発しているのを感じられる1枚でした。


#19『Psalm of Agony』/ Enterprise Earth

 アメリカ合衆国ワシントン州出身のプログレッシヴ・デスコアバンド。今年1月に4thアルバム『The Chosen』をリリースしたばかりですが、その3ヶ月後、創設メンバーでボーカルであるDan Watsonが脱退を発表。彼の後を継いだのは、Aethere、Bite//Down、The Willowなどで知られるTravis Worlandでした。そんな新生Enterprise Earthを示す為に最新シングルをリリース。
 圧巻で至極の7分弱でした。これ以上ない脅威のプログレッシブ・デスコアは凶暴でドラマティックな展開美も披露。ファンも文句ないでしょう。Worlandのユニークで切れ味あるデスコアボーカルスタイルも素晴らしく、テクニカルなブレイクダウンは健在で、プログレッシヴな曲構成は間違いなくこれまで以上にパワーアップ。2分半経ってのセンチメンタルな間奏を挟む事で息を吞む展開に持ってく荒業。そんで盛り上がり間違いなしのシンフォニックムーブが堪らない。んで、エンディングは完全に仕留にきてる地獄の様なブレイクダウン。もう参りました。この界隈は今月も先行シングルをリリースしたLorna Shoreがやはり話題ですが、Enterprise Earthも全然負けてないと云うか、プログレッシヴ・デスコア界隈熱いなと。嬉しい限り。


#20『2 Billion』/ Chaosbay

 ドイツはベルリン出身のプログレッシヴメタルコアバンド。今年は1月にEP『Boxes』をリリースしているのにもかかわらず、7月29日にアルバム『2222』のリリースも控えています。
 そのアルバムからMVと共に先行リリースされた「2 Billion」がむっちゃ良かったので、来月まで我慢できず紹介。歪みの効いたプログレッシヴ・メタルコアサウンドの迫力と、シンセによる壮大さの後押し。ポストハードコアの系譜を感じさせる耳馴染みの良いメロディワークも印象的。ギターボーカルはシャウトだけでなくクリーンも伸びやかで本当に素晴らしい。Djent寄りのメタルコアやデスコアよりもポストハードコア好きの方がハマるんじゃないかと想えるほど綺麗な盛り上がり方も推せる。全然聴き飽きないのも良い。名盤の予感しかないアルバム、マジで楽しみです。




ーーー以上、6月の良かった曲20選でした。

 今月はアルバム7枚、EP6枚、シングル7枚の紹介でした。アルバムリリースが多く、かなり豊作だった月でした。選出するのもガチで過去イチ悩みました。ただ!とにかく今月は国内からSable HillsとEarthists.の2枚あった上にどちらも最高だったのが嬉しい。むっちゃ聴いたし、年単位で見ても名盤になると思います。どちらもライブで聴けるの楽しみです。
 そして、今月を以て上半期が終りました。ここまで続けてこれたのも読んでくださる方のお陰です。ありがとうございます。始めたばかりの1月に比べると文字数とか多くなった気がするんですが、ちょっと修正しつつ下半期も読みやすい紹介記事にしていけたらなと思います。
 とゆーことで、ここまで読んでくださって、ありがとうございました。何かオススメ曲や要望等あれば何でもお気軽にコメントください。また、少しでも良かったと感じていただけたら、スキでの反応やシェアしていただけるとむっちゃ嬉しいです。よろしくお願いします!

 ではまた!

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