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【CS HACK#36イベントレポート】アウトソースを活用して自社のCSを加速させるには?クライアント側ができること

CS HACK#36のテーマは「クライアントとアウトソーサー」。特に「アウトソーサー」に注目します。

圧倒的にアウトソーサーが多い業界において、より良いオペレーションを構築するためは何が必要なのでしょうか?何をどこまで依頼するのか、予算は…悩みは付きません。発注側、受託側がいい関係を築き、業界を盛り上げていくためのポイントを紐解きます。

ゲストには、アウトソーサー歴が長く、かつ発注側の経験もある福田直由さんをお迎えし、参加者のディスカッションにフィードバックをいただきました。

<ゲスト>
福田 直由さん
2000年前半にコールセンター業界へオペレーターとして飛び込み、1年半ほどでスーパーバイザーへ。NTT系列会社、さらにiTSCOMに勤務しCS管理経験を積む。その後、KDDIエボルバでCS立ち上げを経験し混乱期→正常化へ貢献。データ復旧会社のCS責任者を経験し、現在は某メーカーでCS責任者(ほぼセンター長)。一部製品窓口をアウトソースし統括管理している。

<主催・司会>
カスタマーサクセス エバンジェリスト
藤本 大輔さん

※今回はインプットメインではなく、少人数のディスカッションメインの会として開催しました!参加者を4チームに分け、チーム内での議論>発表>フィードバックの流れの中で、学びを深めていきます。

アウトソースは難しい?アウトソーサーに対するポジティブ/ネガティブイメージ

最初のディスカッションは、アウトソーサーのポジティブ/ネガティブな点について。現状どのようなイメージを持っているのかを各チームでディスカッションし、発表してもらいました。またそのイメージは「実際のところどうなのか」、福田さんからフィードバックいただきます。

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【各チームから出されたイメージまとめ】
ポジティブイメージ
・自社では困難な対応も依頼できる(24時間365日受付、災害時のリスクヘッジ対策など)
・立ち上げや規模の拡大などにも対応でき、リソースを調整しやすい。拡張性が高い。
・自社には無いノウハウや技術を提供してもらえる
・CSスキルの教育コストを負担することなく取り入れられる

ネガティブイメージ
・業務設計、ルール作り、情報共有などの初期コストがかかる
・イレギュラー対応に弱く、対応範囲が限定される
・担当してくれるSVによってクオリティがかなり変わってしまう
・自社内にノウハウが蓄積されない
・管理やコミュニケーションに手間がかかる
・セキュリティや情報管理面が不安

各チームの発表で共通して出ていた意見として、ポジティブイメージでは「リソースの確保」「ノウハウ・知見の共有」などが多く見られました。対してネガティブイメージとしてほぼ全チームから出たのが「ルール作りや業務範囲を決めるのが難しい」という意見。CSの仕事はすべてをマニュアル化できないことも多く、どこまでアウトソーサーに任せればいのか、任せられるのかを判断しにくいイメージがあるようです。

こういったイメージに対して福田さんは、「アウトソースのネガティブな要素を避けるためには、業者選定が重要」だと話します。

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福田:必要なリソースを確保しやすい、CS専門業者ならではのノウハウをえられるといったポジティブイメージは、皆さんのおっしゃるとおりかなと思います。一方ネガティブイメージで多く挙がった「最初のルール設計が難しい」「お願いできる範囲が限られる」といった部分はかなりアウトソーサーによって変わります。
依頼するアウトソーサーによっては初期設計やルール作りから請け負い、発注側は確認・修正するだけでいいケースもあります。対応範囲も業者によってかなり差があり、私は基礎的な対応からイレギュラー対応まで幅広くお願いしています。個人的な肌感では、大手よりも中小のアウトソーサーの方が、柔軟に対応してくれる傾向がありますね。

ほかにも、アウトソースを活用する上で役立つノウハウとして以下のようなお話しをいただきました。

・料金体系は対応件数(コール・メール返信)ごとの課金とブースごとの課金に大別され、月間の対応件数が少ない場合は前者、多い場合は後者のプランにするとコストを抑えやすい
・業界に特化したアウトソーサーや業界経験のあるSVをアサインできるところ選ぶことで、情報共有の手間は削減できる
・そもそもセキュリティが強固なCRMや情報共有ツールを活用することで、セキュリティ面の不安は軽減できる

ネガティブポイントは克服できる?アウトソーサーとの協力体制を築くために重要なこと

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<初期の業務設計やルール作りにコストがかかる点への対応策>
・初期設計からお願いできるアウトソーサーを選ぶ
・業界知識のあるSVをアサインできる会社を選ぶ
・まずはマニュアル化しやすい業務から任せ、コミュニケーションがスムーズになってからルールを増やし、対応範囲を広げる

<対応範囲が限られる点への対応策>
・まずは発注側が業務の切り分けを徹底し、その上で対応範囲を決める
・イレギュラーまで対応できるように教育コストをかける
・業務そのものではなく、会社や事業のミッションからCSの役割を伝える

<その他>
・自社内にノウハウが蓄積されない → 対応履歴を共有してもらい、蓄積する仕組みを作る
・SVによってクオリティが変わる → 業者選定の際にアサインできるSVまで確認する

主に前半のディスカッションで出されたネガティブポイントに対して、各チームが様々な対応策を考えました。参加者の中にはアウトソースの経験がないという方もいらっしゃいましたが、業者選定やコミュニケーション、協力体制の設計によって多くのネガティブポイントは克服可能であるという気付きがあったようです。

各チームの発表について「いい視点で対応策を考えられていますね」と福田さん。そこから、アウトソーサーとより良い関係を築き、自社のCS業務を安心して任せるために重要な視点についてお話しいただきました。

福田:いくつかのチームから出ましたが、会社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)から考えたCSの役割といった、業務と直接関係ない部分を共有するというのは重要な視点です。特にアウトソースする範囲を広げていくなら、背景や想いを伝えて判断軸や考え方を知ってもらう必要があるのかなと思います。

アウトソースであってもお客様としっかり向き合っていい対応をしてもらうためには、サービスや商品に愛着を持ってもらうことが大切。それを実現するために、MVVを伝え、外注先にも浸透させていく必要があるのです。

最後は、発注側と受注側の本質的な関係構築の話に展開していきます。

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藤本:どうしても、クライアントとアウトソーサーには「ここまでしかできません」という契約の壁がありますよね。その壁をいい意味で壊して、社内と同じくらいミッションやバリューに想いを持ってもらうためには、どうすればいいんでしょうか?
福田:すごく難しい部分ですが、基本的には社内にMVVを浸透させるのと同じなんじゃないかなと。どこまで言い続けるか。サービス・商品に愛着を持ってもらうための働きかけをどこまでやりきれるか。「こうすればOK」というのは無く、地道に言い続ける、伝え続けるのが大切だと思います。
藤本:社内に浸透させるのと同じくらいの情熱を注ぐってことですね。「あなたたちはアウトソーサーだから」と区切るのではなく、「同じものを扱っている人たちだよね」というスタンスで、関係性を深めていく。
福田:はい、ビジネスパートナーとしてより近い立場でとらえる意識です。返報性の原理じゃないですけど、アウトソーサーからのエスカレーションに親身に対応して感謝していると、相手も「もっと改善点を見つけよう」と考えてくれるようになったり。アウトソーサー側が関わりやすいように工夫すれば、対応の質もどんどん上がっていくと思うんです。
外注してマニュアル渡して終わり、みたいなやり方とは雲泥の差になるでしょう。

クライアント企業がアウトソーサーをビジネスパートナーととらえ、かつその先にお客様がいるのだということを理解して協力体制を築く。アウトソースを活用するケースが多く見られるCS業界において、もっとも重要な視点のひとつと言えるでしょう。

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