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コールセンターの「SV」の新しい可能性


久々の更新になってしまいました^^;今回は、がっつりコールセンターの話を。テーマは「SVの仕事」です。


他の職場のSVとコールセンターのSV


SV、つまりスーパーバイザー。ちょっと調べたところでは、「管理者、監督者、監修者」のことのようです。
チェーン系の小売店においては、店長に対し経営指導を行う役割とされていることが多いみたいですね。コールセンターとはずいぶん違う。
そして、こーいう仕事をしてると、海外から来日した偉い人(稚拙な言い方だ。。。)に取材することもあるのですが、たまーにその肩書を持つ方とお会いすると、ホントに上位層なんですよね。コールセンターのSVとのギャップにびっくりすることがあります。

ひるがえって、日本のコールセンターのSVさんのお仕事は、グラフの通り。

SVの主な業務内容

オペレータの指導を中心とした「何でも屋さん」のイメージが強いです。業務指導だけでなく、メンタルケアや各種相談を含めた「お世話係/面倒を見る人」という感じですかね。長年、この業界を取材して回ったいる立場からしても、「オペレータの面倒全般を見る人。とくにクレーム処理で困っているとそれを引き受ける人」みたいな印象が圧倒的に強いです。

昔は、SVもオペレータ同様に有期契約の非正規社員だったことが多かったです。しかし、この10年くらいですかね、かなりのセンターが「SVからは正社員」とするケースが増えています。

SVの雇用形態

今回、問題提起したいのは、「SVがオペレータの世話係/面倒見る人」という役割で本当にいいのか、ということです。

あまりにももったいないSVの秘めたるポテンシャル

あまりにも常識すぎて、疑う余地すらなかった気もしますが、彼/彼女たちの持つポテンシャルをよくよく考えたら、「もったいなくないか?」という思いを強くした次第。

SVの多くはオペレータあがりで、オペレータとして優秀だったからこそ、昇格しています。

オペレータ経験の有無

つまり、顧客の言動や思考/志向、そして自社のプロダクトやサービスのデリバリープロセス、そしてその痛点(ペインポイント)を知り尽くしている人材と言い換えることもできるのです。

「顧客理解」は、カスタマーサポートもカスタマーサクセスも、ママーケティングも経営企画も大きな課題として取り組んでいるはず。顧客との最前線の足元に、そのヒントを持つ人材がいるかもしれない、ということをどのくらいの人たちが感じていらっしゃるでしょうか

とくにこれから先は、どの顧客接点でも生成AIが果たす役割は大きくなります。顧客対応に役立つナレッジ(FAQなど)の生成、チャットボットなどなど。精度は上げなくてはなりません。そしてどんな用件に対して、どんな手段ならば最も顧客に手間をかけることなく解決に導くことができるのか。それを考えて、実行に移すことができる人材こそが、コールセンターのSVなのではないか。生成AIが正しい答えを導くためのファインチューニングで最も力を出せる人材こそがSVなのではないか。

もちろん、SVにも個人差はあります。そもそも、「私は人を育てることが生きがい。AIを育てるために働いているのではない」みたいな考えの方もいらっしゃるでしょう。でも、それ以外のポテンシャルを持つ方はいっぱいいるのでは?と感じてなりません。

SVがオペレータの面倒を見なくてはいけないって誰が決めたの?

と、こんな話を最近、講演でもしているのですが、ある方から「じゃあ、オペレータの面倒は誰が見るんだ?」というご意見ご質問をいただきました。

逆に聞きたいのは、「それをSVがやらなきゃいけない理由を教えて欲しい」ということです。

SVって現場のリーダー格ですよね。フツーの職場(という言い方は変ですが)では、例えば新人の面倒をリーダーがベタつきでみますかね?ほとんど、同じ階層にいる先輩社員がみません?で、その面倒見る過程でマネジメントを学んで、リーダーや上位職になって、そこではもっと戦略的な仕事を重ねていく。

コールセンターも、さっき書いたように、SVが正社員というケースが増えています。ついでにいうと、オペレータも正社員/無期契約というセンターが増えています。「雇用のカオス」という状況から抜け出しつつあるのではないか。ということは、これまでの「コールセンターの常識」は通用しなくなるような気がしてなりません。

取材していて、かなりの頻度で耳にしてきた「コールセンターは特異、特殊な組織」であるという先入観や常識を一度、完全に捨てて組織を考えるフェーズに来ているのではないでしょうか。

実は、この話には裏話というか伏線があります。
数年前、ある超大型センターを運営する社長さんへの取材の際、最後、例によって雑談みたいになったとき、「近々、SVという職種をなくしたいと思う。少なくとも、あの持ち場を見て回るラウンド業務、あれがすっごいムダに見えるんだよね」という話を聞いたあたりから、「SVの仕事」がずーっとアタマの隅にひっかかっていたんです。ちなみにその方、SV上がりです。
まぁ、その会社の「SVなくす取り組み」は、その後聞いたら「失敗した」とおっしゃってましたが^^;。
ただ、考え方は間違ってなくて、アプローチをミスった気がする、ともおっしゃってました。

SVが新たな価値を示しだしたら、コールセンターで長年、課題とされていた「キャリアパス問題」にも光明がさす気もします。とっても多い「SVでアガリ」みたいなキャリアパスなんて、キャリアパスでも何でもありません。
顧客接点の最前線で働き、優秀と認められた彼/彼女たちの価値をさらに高める取り組みに期待したいところです。

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