Kazuma DOGIN

建築・音楽に関するエッセイを書いています。作品ポートフォリオ: http://kazu…

Kazuma DOGIN

建築・音楽に関するエッセイを書いています。作品ポートフォリオ: http://kazumadogin.myportfolio.com

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  • #建築 記事まとめ

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    建築系の記事を収集してまとめるマガジン。主にハッシュタグ #建築 のついた記事などをチェックしています。

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好きな音楽 ドリア旋法のコラール/ジャン・アラン

あまり聴かれる機会が無いが好きな曲のひとつに、フランスの作曲家ジャン・アラン(Jehan Alain, 1911-1940)が書いた「ドリア旋法のコラール」というパイプオルガンのための小品がある。 「Lent et très lié (ゆっくりと、とてもなめらかに)」と指示されたこの曲は大きく分けて4つの段落に分かれ、その全てが同一のフレーズを共有している。 各段落ごとに転調が起こる。それらは歩いて階段を登るような有機的なものではなく、エスカレーターで強制的に次のフロアに

    • EMARFを介して既製品利用のハードルを下げる -Why編

      EMARFアンバサダーとして取り組む8月のプロジェクト。家族と話し合いながら戸棚の取替の設計を考えていました。 ・扉の開き等、できるだけ使い心地を元の棚に近づける。 ・長く使えること ・既存吊戸棚は垂れ壁にビス打ちで保持されていたが、限界が来て垂れさがってしまったため、両側に脚をつけカウンターに乗せる ・カウンター上が雑然としているため、収納を増やす といった条件が上がりました。 はじめは、デジファブの旨味を生かしてできるだけ合板じたいの切り方のみでこれらの条件に応じようと

      • 【EMARF】縫えるスツール ②HOW?後編(組み立て・塗装)

        この記事は1つ目のプロジェクト「縫えるスツール」制作過程のHOW後編です。届いた部材の組み立てと仕上げのプロセスやTipsを紹介します。 ヤスリがけと組み立てこちらが1セット分の届いた部材です。きれいに切れていますが、フィレット穴を自前で勝手にデフォルトよりも深くしたせいか(半円からU字に)、穴が浅いところと深いところが混在してしまっていました。 U字穴分の深さが無いと紐を通しづらいので、手作業で穴を広げていくことにしました。 穴を広げ終わったらヤスリがけを行いました。

        • 【EMARF】縫えるスツール ②HOW?前編(設計とモデリング)

          この記事は1つ目のプロジェクト「縫えるスツール」制作過程のHOW前編(設計とモデリング編)です。Rhinocerosを用いたEMARF発注までの設計過程をシェアしたいと思います。そもそもなぜこれを作ろうと思ったかは前回記事をご覧ください。 EMARFに合わせて設計変更 ウルムスツールをそのまま作る(スケッチ画像上)のではなく、EMARF用に適合(画像下)しました。 変更点 1.板厚を合板の規格寸法18mmに変更 ウルムスツールで使われていた集成材は厚み17mmとの情

        好きな音楽 ドリア旋法のコラール/ジャン・アラン

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          【EMARF】縫えるスツール ―木工CNCルーターの制約を長所として活かす― ①WHY?編

          EMARFを使った1つ目の実践として、ある名作スツールのデザインを下敷きに、EMARFの加工の固有性を生かした家具を作ってみたいと思います。この記事はその考えにいたった理由を説明するWHY?編になります。 私はデジタルファブリケーションをより普通で身近な技術として捉え直すことをこの取組みの大きなテーマに据えています。そのために今回は加工上の制約を逆手に取ってデザイン要素に変えることをコンセプトに考えを進めました。 悩ましきフィレット穴?はじめにCNC加工による制作物を

          【EMARF】縫えるスツール ―木工CNCルーターの制約を長所として活かす― ①WHY?編

          建築ドローイングにおける飛行機のアンビバレンス

          今日昼、東京の青空をブルーインパルスのエアロバティック飛行による航跡雲が貫いた。医療関係者などエッセンシャルワーカーへの感謝と敬意を込めた飛行だったのだが、「そんなことにお金を使わず身になる支援を」とか、「元気と一体感をありがとう」とか、様々な意見が飛び交った。僕自身も、一言で語れない様々な感情が胸にたまった。 さて、その一件と関係あるのかないのかわからないが、ピクチャレスクな(見栄えする)ものとしての、あるいはスペクタクル(見世物)としての飛行機というイメージも、一言では

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          "DIYデザイン"?

          DIYは常に建築家・デザイナーからも熱視線を浴びてきたトレンドだ。でも、いざDIYとデザインを掛け合わせようとすると、難しい問題が立ちはだかる。そもそもDIYは「プロフェッショナルなデザインとは違った価値を見出そう」というニュアンスを多分にふくむ言葉だからだ。 一見矛盾する言葉だが、「デザイナーズDIY」なるものがあるとすればどういった価値や意味を持つだろうか。そんな興味から今回、デザイナーによるDIY家具の事例に学び、自分も「DIYデザイン」してみることにした。 ”DI

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          建築の2つのスペシフィックさ(TOTOギャラリー・間 「増田信吾+大坪克亘展 それは本当に必要か。」評)

          TOTOギャラリー・間 「増田信吾+大坪克亘展 それは本当に必要か。」の3階展示室には、ほぼ白色に統一された大きな模型が台座なしで点在していた。この佇まいは、ドナルド・ジャッドなどのミニマリズムの作家による立体作品展示の風景を呼び起こさせる。この直感は何を意味しているだろうか。 本評ではまず本展覧会での模型表現の意図をミニマリズムの表現意図と類推することで解き明かし、その上で、彼らの建築作品自体の意味するところへと論を進めていく。 その論の途中、「スペシフィック」という言葉の

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          好きな音楽 ジョン・ダウランド

          こういう機会こそジャンル開拓のチャンス。今回はクラシック裏口入学、つまりちょっとマイナーな愛すべきイロモノたちから聞き始めよう!というコンセプトで、おすすめ曲まとめることにしました。 選考基準 ・ふだん聴かない人ほど興味持てそう (いわゆるザ・クラシック的な響きでない) ・知ってるとちょっと通ぶれる (すこしマイナー) 僕もそうだったので誤解をおそれずいえば、ベートーヴェンとかモーツァルトのようなレジェンドの曲ってじつは上級者向けで、馴染みない人がいきなり聴いてもああ

          好きな音楽 ジョン・ダウランド

          好きな音楽 松崎しげる「愛のメモリー」

          最近ハマっている曲...松崎しげるの「愛のメモリー」です。 作詞作曲は「傷だらけのローラ」や「A・RA・SHI」でおなじみの馬飼野康二氏。 以前中島みゆきの「麦の唄」について記事を書いたときに、A,B,サビの各出だし一音を抜き出すと「ソ・ド・ミ」の形になっていて曲全体の形をつくっているということを書きました。 またついでにAKBの「会いたかった」はABサビいずれも出だし2音が「ソド」の形になっていて、ピュアな印象を強調しようとしていることも触れました。 松崎しげるの愛

          好きな音楽 松崎しげる「愛のメモリー」

          好きな音楽 中島みゆき「麦の唄」

          中島みゆきの「麦の唄」、いい曲ですね。メロディーの形を見ていると、巧妙な構成がみられたので、それについて書きました。キーワードは「小さなソドミ・大きなソドミ」です。 1. いい曲に出会ったら出だしを見る僕がいいPop'sに出会うと必ず確認することがあります。 それは、A、B、サビ、それぞれの出だしの音形です。 出だしはとても重要です。 「このメロディーは聴き続けるに値するか」の判断がメロディーの冒頭でなされてしまうインターネット配信時代においてはなおさらです。 よって

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          REflection(レの鏡)Ⅱ 〜そもそも長音階って何なの?〜

          この記事では、「”レ”を中心として見てみることで、長音階(ドレミファソラシド)の意味が鮮やかに浮かび上がってくる!」という話を厳密さを一旦置いておいてわかりやすく説明します。 1.そもそも長音階って何なの?前回の記事「REflection Ⅰ 〜長音階のもうひとつの解釈〜」では、長音階(ドレミファソラシド)を円環状に並べ、「レを中心に」して見ると線対称になるという事実を紹介した。 しかし、あくまで線対称になったというだけで、「そもそも長音階がどういうものなのか」、「なぜそ

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          REflection(レの鏡) Ⅰ 〜長音階のもうひとつの解釈〜

          音楽の授業で最初に教わるドレミファソラシド(長音階)は唐突に2回半音が出てきて、秩序が無いように見えます。ですが「レ」を中心にしてみると…? 一般的な楽典教育では「ドレミ…」の図式に偏るあまり無視されがちな長音階のもう一つのすがたに関するお話です。 1. 長音階まず私たちが小学校で初めて習う長音階(Major Scale)"do-re-mi-fa-sol-la-ti-do"を数直線にしてみよう。(*1) 全音と半音という二種類の音幅があるので、それを長さで表すと、メジャー

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          船と格納庫 -ポール・ルドルフと清家清の初期作品について-

          「コクーン・ハウス」はポール・ルドルフの設計により1951年にフロリダ州サラソタのシエスタ・キーのほとりに建てられた住宅です。このノートでは彼と同年生まれの日本の建築家である清家清が1952年に設計した住宅「斎藤助教授の家」を引き合いに出して、両住宅を比較してみます。なぜこの2つの住宅を比較しようと思ったかというと、単に年代を同じくするからというだけではなく、二人の年譜に共通する事項があるからです。ともに1918年生まれの二人はその青年期を太平洋戦争に捧げているのです。 ル

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