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ほっそり秋刀魚


丸々と太った秋刀魚を振り塩で香ばしく焼き、
酢橘と大根おろしをたっぷり添えて。

そんな食後に決まって抱く、幸福と満腹感で満ち足りた思い。
秋になれば当たり前に享受できるものと捉えていました。

それがここ数年、見過ごせないほど痩せて小さくなってしまっている、日本の秋刀魚。

ここでも御多分に洩れず温暖化由来のダメージが起こっていて、秋刀魚の群れが栄養豊富な近海から離れてしまっていたり、
他国が大型船で沖合の群れをごっそり釣り上げ、船上で加工していたり。
要因はきっとさまざまでしょうが、
どれをとっても急に来年から状況が良くなる予感はない気がして、心細くなりました。

日本の食卓には欠かせない、たいせつな秋の味覚です。
どんなに痩せていても、秋刀魚は食べたい。
そしておいしく、なるべく無駄なく頂かなくては、と思うようになりました。

そんな心持ちから、
焼き魚では寂しいサイズの秋刀魚への思いつきをいくつか、備忘録にしておこうと思います。

毎年この季節になると、
秋刀魚を美味しく保存できるオイル煮が便利で、あちこちでご紹介するのですが
そのたび、秋刀魚を頂いたあとの香りたっぷりの油が残ります。

フライドポテトにドレッシングにと、
あれこれ使える秋の香り油です。

*さんまのオイル煮

三枚におろして塩を振り30分ほど置いたさんまを二〜三等分し汁気を拭き取ります。
ニンニクのスライス1片、赤唐辛子1本、粒黒胡椒小さじ1、ローリエ3枚に、好みでタイムやローズマリーの枝とともにフライパンに入れ、オリーブ油をかぶるまで注いだらふつふつ沸くまで中火にかけ、その後弱火で15分ほどゆっくり火を通します。

オイルサーディンと同じように、使いやすい保存食。
油から秋刀魚が顔を出さないようにたっぷりの油の中で保存し、1週間以内に食べ切るくらいが目安です。

サラダやパスタ、ピザなどを始め
例えば大根おろしとすだちで丼にも。
あつあつご飯に、
パルメザンチーズとしその葉を混ぜて、醤油をちらり。

さらにこの秋刀魚オイルを、バターの代わりにキッシュの生地に練り込んでみました。

*秋刀魚のキッシュ

秋刀魚オイル50cc、卵1個、薄力粉または全粒粉140g、塩胡椒各少々を混ぜます。
バターと違って冷蔵庫で寝かせても固さが増さない分、伸ばしにくいので
型の上にのせてから、小さなすりこぎや、麺棒の端を使って広げていきます。

長角の皿に仕込むとお弁当にも便利ですが、もちろん丸いタルト皿でも,小さなタルトレットでも。

卵液は卵3個、卵黄1個、牛乳または生クリーム150㏄、塩.ナツメグ各少々。

秋刀魚のオイル煮、温野菜の残り、キノコ類、玉ねぎのスライスを油なしでさっと炒めて型に入れ、卵液を注いだら、細切りの溶けるチーズを少々のせて、170度に温めたオーブンで30~40分焼きます。
魚焼きグリルでも、焼き色を見ながらできます。

生地が面倒な時は、秋刀魚のオイルを刷毛で塗ったパイシートや薄めの食パンでもかまいません。

オリーブ油の生地は、いつもより心なしかさっぱりした焼き上がりになりました。

秋刀魚のほか、
肉でも豆でも野菜でも、少しずつ残ったものを合わせて卵と少しのチーズでつないだら、あとは焼き上がりを待つだけなのが我が家のキッシュ。
そのうちたまらなくいい薫りが漂ってきます。

思いつきのキッシュは、忙しい時には向かないけれど
休みの朝や夜更けなど、とりとめもない時間に気楽に作れば、思いのほか楽しい一品になるのです。

夜更かしして仕込んだら、翌朝楽になりました♫

秋をまだまだ満喫したい気持ちでいっぱいです。このままずんと寒くなり、冬になってしまいませんように。


激痩せの  秋刀魚を食べて  肥ゆる秋😆🍁


#note   #料理 #秋刀魚 #オイル煮 #丼 #キッシュ   #秋の香り







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