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精神科医に必要なものはことばだけ



フロイトは1856年に生まれ、1939年まで生きました。

83年の生涯でし た。

オーストリアの人です。


彼は「精神分析」というものを、初めて地球上で始めた人でした。

『夢判断』とか 『精神分析入門』という、有名な本を残しています。

精神科医として、フロイトはこんなことを言いました。


「医者に必要なものは、メスとか、手術台とか、病室とか、薬とか、病院である。

しかし、精神科医に必要なものはことばだけだ。

患者をことばによって、真っ暗闇に突き落とすこともできるし、天国に昇らせることもできる。

ことばはそれほどに重要なものである」と唱えたのです。

「ことばを信じてはいけない」という人がいます。

「ことばに信頼を置いてはいけない」という人がいます。


しかし、こういう人もいました。

「よいことばに出会うことは、よい友人に出会ったのと同じである」

よいことばに出会ったことが、よい友人と出会ったのと同じ価値を持つ。

すばらし いことばです。


和歌山県の高野山に行ったとき、お店にポスターのようなかたちで、次のようなことばが書いてありました。

記憶で書いているので、正確ではないかもしれませんが、 こんなような意味でした。

「出会いは人の心を広げてくれる。別れは人の心を深くしてくれる」


「う〜ん」と、うなりました。

本当にそうです。

自分で気が付くのには何十年もかかりますが、こんなことばに出会ったら、自分なりに納得できます。

何十年も待つ必要がなく、なるほどと理解ができるのです。

「出会いはありがたいが、別れがいけないものである」というような価値観を、私たちは教え込まれました。

離婚がいけないこととか、親子の別れが悲しいとか、そういうふうに教え込まれてしまったのですが、
「別れは人の心を深くしてくれる」と考えたら、それはそれでまたよしということになるではありませんか。

その一言で、別れというものが決して悪いものではないと思えるわけです。

そのポスターを見たとき、たまたま数人の人と一緒にいたのですが、その中に離婚をした人がいました。

その人がこんなことを言いました。


「離婚をしたことにほんの少し残っていた後ろめたさがなくなりました。卒業できた気がします」

短いことばによって、人間は救われることがあるのです。
よい一言、よいことばは、 よい友人を一人得たのと同じくらいの重さと深みを持っています。 フロイトが言ったのはそういうことだったのでしょう。


ことばをバカにしないこと。

荒っぽいことばを使わないこと。

そういうことの積み重ねとして、私たちはとても穏やかで幸せな日々を迎えることができるのかもしれません。


小林正観
『心に響いた 珠玉のことば』KKベストセラーズ
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新約聖書にはこう記されているそうです。

「はじめに言葉があった、言葉は神とともにあった、言葉は神であった」


これは神道でいう「言霊(ことだま)」にも通じます。

日本では、古(いにしえ)より、言葉には霊力が宿っていると言われました。

日本は「言霊の幸はふ国」という言葉の霊力が幸福をもたらす国であり、
「言霊の助くる国」すなわち、言葉の霊力が助けてくれる国である、と。


何気ない「ひとこと」によって、刃物をつかわなくても、人は深い傷を負ったり、立ち上がれないほどの心の病におかされたりします。

逆に、「ひとこと」で、心が温かくなったり、元気になったり、あるいは病気まで治ってしまうことさえあります。


「言霊」ことばに魂こめて
丁寧で、あたたかな 愛ある言葉を使えるように心がけたいですね💐


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