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舞台・ハリーポッター/鑑賞は6歳〜

1.上演時間はナント3時間40分!

劇場に入場前に、舞台の看板を仰ぎ見る娘達

今夏、2016年にロンドンのウェストエンドで初上演され、今やニューヨークのブロードウェイ、オーストラリア、ドイツ、カナダでもロングラン上映中のハリー・ポッター8作目の舞台公演が、赤坂で始まった。

 言わずと知れた全7巻からなるハリー・ポッターの第7巻(2007年出版)の最終章は、「19年後」というタイトルで、ハリーの子供達が登場する。そのうちの一人が魔法学校の4年生の1年間ー2020年~2021年の時代にあたるーの1年間を描いていて、ハリーと犬猿の仲のマルフォイの子供と親友同士と言うから、ファンにとってはそれだけでワクワクするストーリーだ。

それまでの7作と違い、ハリー・ポッターの作者JKローリングが書いた本ではない。ジャック・ソーンという劇作家が書いて、舞台監督ジョン・ティファニーと上演に向けて仕上げたけれど、JKローリングもそのチームに加わったということらしい。諸説あるけれど、JKローリングはこの8作目を「承認」したが、JKローリングはこの脚本(の一切の部分)を書いていないというのが内外のメディアが、喧伝しているかは別として、一貫して伝えている。

実際、JKローリングが脚本を書いていたとしたら、そうは描かなかっただろう場面や人物像が舞台で演じられているが、私自身はこの8作目が一番好きだ。

9歳の長女がハリポタファンで、この舞台のチケットの販売が開始されるやいなやの今春、とにもかくにも抽選に応募。数か月後の夏、実際に鑑賞する時期になって冷静に考えてみると、一緒に連れていく6歳の次女が最後まで楽しめるのか、不安が出てきた。

舞台の前編が100分、休憩の20分を挟み、後編が100分=3時間40分の長編舞台だと気づいたから。

2.ホンモノが子供の心をゆさぶる

劇場のある赤坂の町にヘドウィグ出現

ハリー・ポッターの映画をご覧になったことがあるだろうか。私も長女も、それぞれにとって、原作に書かれていた大好きな場面があるが、それらが映画では端折られていることを知り、とても残念に思ったという経験が幾度かある。

因みに、次女への予備授業として、7巻分読破した長女と一緒に、7作の映画を事前に鑑賞してもらった上で、9月のシルバーウィーク、子供達を舞台鑑賞に連れ出した。

さて、この舞台。元々が演劇用の脚本として書かれているだけあり、8作目を読んでから舞台鑑賞をして、「え、あの(本の)場面が省略されている?」というショックを経験せずに済む。ただ反対に、8作目の脚本調、ト書きと言われる、各章の冒頭に登場人物の動作や行動についての説明が入り、その後、人物名→セリフ→人物名→セリフが続くというスタイルの読書を楽しめる人がどれだけいるかは大いなる疑問。

この舞台の特徴は、ステージの上で、演技や踊りのほかに、「魔法」が繰り広げられること。ハリー役のトリプルキャストの一人、石丸乾二さんが、イギリスから来ていた演出指導の中で、魔法指導の担当者は、普段はマジシャンだと思うとインタビューで述べていた。

この美しく操られる魔法が、当初心配した6歳の娘の心を掴んで離さなかった!!!そのまるでマジックショーのような、ハリーの魔法の杖から閃光が走り、マルフォイのそれと空中でぶつかり合う、暖炉の火の中にはハリーの子のアルバスが消え、トランクから煙が出てと、息もつかぬ速さで使われる魔法。ある場面では、水中にマルフォイの息子が消え、水中でも魔法が繰り広げられる!

同時に、CGを使わない舞台が追求されており、場面の変更のためにいわゆる裏方が登場せず、舞台上の人物が長い魔法マントを翻すあいだに場面が瞬時に入れ替わるという、ゾクゾクものの経験もできる。

8作目に通底するメッセージとして、それぞれの「家族」の形、ハリーだけでない、ロンとハーマイオニー、第4巻で登場したセドリック・ディゴリーの、そして悪の権化であるボルデモートにとっても、一貫して家族とは何かを問うている。また、親子の愛とは- 子供の「ため」と言う親の愛を子はどう受け取るのか、子供が親に求める無条件の愛とは-といったメッセージが流れるこのストーリーは、鑑賞する者に様々な問いを投げかける。それが、私がこのストーリーを愛して止まない理由だ。

加えて、アナログな舞台に挑戦して、見事にその流れるように美しい舞台転換を魅せつけ、舞台上の魔法使いたちが手慣れた魔法を使いこなす、こういった本物の舞台に、もちろんマジックにも惹きつけられたことは確かだけれど、6歳の次女は前の席の背もたれに小さな両手をおいて、食い入るように3時間超の演劇を見届けた。3時間40分もモツのか、という母の心配は杞憂だった。

3.低学年から読めるハリー・ポッター

 さて、9歳の長女が全巻を読破した話。彼女は無類の本好きで、小学校低学年に人気のシリーズものを次から次へと読破していったのを知っていて、一般的に高学年向きのハリー・ポッターも理解できるであろう、でも漢字が読めないだろうなと思っていたところに、総ルビ付きの児童向けとして、静山社が、20冊に分けて全7巻を販売していた!

この、セット売りの箱が美しく、深紅の箱が旅行用トランクのデザインで、我が家では、これを低い本棚の最上段に、購入したその箱入りのまま、飾るように収納している。因みに、この舞台では冒頭から、各重要場面でも、積まれた旅行用トランクが単なる小道具以上の役割を果たすので乞うご期待。

本年は東京駅のステーション・ミュージアムで、ハリー・ポッター展が開催され(不死鳥のポストカードを購入!)、2022年は日本のハリポタイヤーと言える?

舞台を終えて、8作目も本で読みたいという長女のために探したところ、この静山社様さまが、同じ総ルビ付きで、同じサイズで、出版してくれていて、JKローリング執筆の児童向け20冊の上に載せて飾っている!この本、大人の新書のサイズで、毎日それでなくても重たいランドセルを背負う低学年児に、昨今は「GIGA構想」という名のタブレットによる背中へ追加負担がある中、手頃なサイズと重量であるところもニクイ。

4.あなたはグリフィンドール?それとも、スリザリン??

この舞台の始まりは、ハリーの息子が、自分が魔法学校のどの寮に振り分けられるかを心配しているところから始まる。結果は、舞台を見てからのお楽しみだけれど、さて自分だったらどの寮だろうと考える方はおられるだろうか。

今年の夏の七夕飾り。長女は天の川に、イギリスを訪ねることを願った。ハリポタ好きが高じて、ホンモノ(?)の9と4分の3番線ホームや、様々なロンドンの場面を自分の足で訪れたいという願い。7月7日の晩に、ちょこっと投稿したけれど。

そんな長女の夢について、私のイギリス留学時代のイギリス人の友人にメールすると、自分もハリポタファンであり、自分がハリポタツアーの案内役を務めようという嬉しいオファーが来た。そして、自分はオンライン・テストではレイブンクローだった、守護霊は犬だったと言う。

検索してみると、組み分け帽子のテストが無料で受けられるサイトがあるらしい。

因みに私と長女はグリフィンドールに組み分けられたのに、次女はハフルパフになり、その晩の次女の機嫌が直らなかった。子供達は、守護霊テストも受けたいと言っているが、期待に沿わない結果になる(またもや不機嫌になる子供が出る)可能性も大いにあると思い、見送っているところ。

とは言え、鑑賞が可能な最小年齢の6歳児も、存分に鑑賞を楽しんだハリー・ポッターの舞台、脚本調の8作目を読書するのに苦手意識を持たれた大人な方にも、おススメです。

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