「品質」って言葉


#私の仕事

上記のタグのイベント?的なものが有ったけどすごい古いんだけどいいのかな…

現在は紆余曲折を経て工場事務orその時の雑務色々…チョイチョイ人手の少ない簡単なプレス作業とか梱包作業をやらされたりします。

事務のくせに大雑把にエンジニアリングは好きで、仕事とは関係なく回ってくる「新しく出た不良品レポート」とかをじっくり見るのが好きです。

もちろん、不良品なんて無いほうがいいけど工業製品には絶対にあるものですから仕方がない。

問題は「不良品を発生させても外部へ出さない体勢」が重要で、もちろんそれも100%ではありえないので稀に流出させてしまいます。

それが見えないところのネジ一本で取れるあまり重要でない箇所で1万個中1個とかだと特に問題はないけど(あるけど)1000個の中の100個とか、1個でも命に関わるような部分の不良とか、一旦他の部品と溶接しちゃうと二度と取れない部品で不良が出ると結構大騒ぎ。重要度のランクが上がります。

そんなのをよく見ているので「品質」という言葉が飛び交うのですが、いわゆる一般的な「品質がいい」ってのとは少しずれてるんですね。

ユーザーが言う「品質」は「よくできているかどうか否か」であって「実用性や完成度の高さ」を指す言葉ですね。良いものかそうでないか。あの家具は品質がいいよ、あの服は品質がいいよ等々。

工場が言う「品質」は「設定された誤差の範囲内に収まった製品が製造されるか」と言う感覚です。プレスして金属が伸びて厚みが0.5mm設定だけど誤差が±0.02mm以内に収まっているかとか、外形のこの部分が15mmの±0.05mm以内に収まっているかとかそんなのです。

よくネットの記事なんかで「この部品は精度が悪くて、品質が良くない」とか言うものがいくつかありますが、ああいうのは大抵の場合、歩留まりを良くするために設計段階で誤差を多めに取っているか、検査にコストを掛けられないので検査そのものが簡易に行われているかとかです。

じゃぁ安物にしか無いかと言うと、結構プレミアムなものも言われていたりしますが、それは単純に「製造精度や検査精度にコストを掛けたくなかった」というだけです。広告費確保や利潤追求ですね。一発ブームが来て売れればいいとか、ブランド力は有るから固定客はいるだろ~とかでないがしろにされがちです。

金属をプレスする機械って高さが家一軒分くらいあるのも置いてあって、すごいコンピューターが付いてスイッチもいっぱいあるんだけど「あの人のプレスはうまい」とか言う話が出てくるんですね。「え?誰がやっても同じじゃないの?」と思いますが、プレス機によっては手動操作のものも有り、自動操作でもプレスを押す速度を微妙に変えられたりして結構アナログなんだそうです。

面白いのが「全く同じ属性の金属でも、その日加工する金属と翌日のものは違う」ということです。うちは金属がセロハンテープみたいにクルクル巻かれたのをポンポコポンポコとプレスするものが多いんですが、一つポコっと打ったその横の金属が完全に同じ状況ではないとか…いわゆる「ムラ」があるそうで、ムラの少ない金属材料が好ましい中でそこでもコストとの兼ね合いだそうです。

つまり、安い材料を使ってコストを下げると不良品いっぱい出ちゃうよ~→検査にお金かかっちゃうから「不良品」のハードルを下げてある程度は流しちゃうよー→そんな「なんちゃって不良品」が沢山集まった精度の悪いものは「粗悪なもの」になっちゃうよー的な。

ただ、この辺も運次第なので、9割精度のいいものに1割悪いものが付いても全然わからなかったり、逆にそこが重要なキーポイントの部品で「1個悪いものが着くと他の部分もガタガタになる」とかもあります。

そこを見越して「この部分がガタガタでも、ほかが良ければ割と大丈夫だから精度を下げてコストを下げよう」と言う手もあります。

すごい運の悪い人は「誤差の範囲内の一番悪いものが集結した製品」を買っちゃって「なんじゃこりゃあ!!」ってどこかの刑事さんみたいになったりします(古)でも確率的には割と起こりうることなので、本当にくじ引きですね。

問題は、最悪な製品と最良の製品の差が大きいと「最良」が基準になって「それ以外はだめ製品」とかになっちゃうことです。きれいに誤差の少ない部品が集結したものはいい製品なのですが、使用用途によっては「別に誤差が大きくてもいい」ってものもたくさんあるんです。精度が良いか悪いかを極めすぎてメーカーも工場にコストをむやみに切り詰めさせたりする事例もありますし、正直「数十年使うものでもないのに、ここまでする必要あるの…?」というものもあります。

なので「品質を買う」と言うのであればお金をたくさん出すのはありですが、必ずしもメーカーが品質にお金をかけているかは不明です。なので「こんなに払っているのに何で精度が悪いんだ!」と言う人は「今回の製品が品質にコストを掛けてないから」としか言いようがない…でもそれはユーザーにはわからないもんね…結局サポートや修理でお金かかっちゃったら意味ないし…

この辺はもうメーカーの考え方次第なので、工場は言われたとおりに作るしか無いんですけどね。メーカーはお客様ですし。

あ、でもうちの会社は結構ズケズケ言うらしく、不良品が出ても「設計が悪い!」とメーカーに怒りに行くことも有ったとか(苦笑)他の不良品も割と話し合いで色々決まることが多いそうです。もっと「メーカーは神様!」みたいなノリと思っていたのでその辺は少し驚き。

あんまり細かいことを言い出すと会社特定されかねないのであれですがw 何も考えてなさそうな事務の人がこんなことを考えているとは工場の人も知らないだろうなぁw

…と言う「私の仕事場の話だけど私の仕事ではない話」でしたw

何ら中身の無い文章を書くことを生き甲斐にしてる人生丸ごと無駄潰しまっしぐらYeah!☆稀に詩のような雑文が表示されますが脳内バグの仕様です(どっち