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私がフェミニストになった理由

私は今ではフェミニストを公言していてSNSのプロフィールにも明記しているけど、フェミニストであることを自覚するようになったのは本当に最近のこと。
「最近ジェンダー関連のこと急に発信するようになったけどどうしたの?」と友人から困惑されることもある。その困惑には、その話題に触れたくなさそうだったり、私が過激な思想をもつ厄介者だと思っていそうな反応も含まれている。
私自身、フェミニストだと公言するのには少し勇気がいった。上記のような反応も予想できたし、世間でのフェミニストのイメージはあまりよくないからだ。(私も当時はあまり良いイメージを持っていなかった。)
それがどうしてフェミニストだと自覚するようになったのか、自分のためにきっかけや経験を振り返って見たいと思う。
自分のために文章を書いているけど、人はこんなに変われるのだということが誰かをエンパワメントできる可能性にも期待している。

理由の前に:もとは名誉男性、ネオリベだった

理由を整理する前に、まず書いておくべき大前提として、私は数年前までゴリゴリの名誉男性であり、ネオリベだった。
(これは今思えばという話で、当時そう自覚していたわけではない。)
当時の自分の振る舞いの加害性と向き合うのは結構というかかなりしんどいけど、そんなことはどうでもよくて、向き合って反省するべきだと強く思っているし、そんな自分がこれだけ考えが変わったということを分かりやすくするためにも、ここでしっかり明記しておく。
当時の私の思想や振る舞いについては、機会があれば詳細を別で書こうと思う。

理由1:人生初の痴漢被害にあう

大きなきっかけの一つとして、上京して人生で初めての痴漢に遭った事が大きいと思う。
ものすごく怖くて、駅を出たあと泣きながらダッシュで帰宅した。
その出来事を人に話したら、私を心配するような言葉は確かにあったものの、それよりも私の振る舞いや服装を指摘されたことが、私にはとてもショックで強烈な違和感だった。
え??なんで??遅い時間に電車に乗っていた私が悪かった??私の服装が悪かった??なぜ??なんで被害者が反省しないといけない??悪いのは痴漢なのに??なんで??
本当に強烈な違和感だったけど、「夜遅くまで遊ぶのをやめて早い時間の電車で帰ったほうがいい」というその人の言葉は、一見私のためを思った発言に見えて、言い返せなかった。私が悪かったのかなあとさえその時は思った。
今となってははっきり「それは二次加害じゃね?」と気付けるし、加害を正当化するようなこと言って被害者の口を塞ぐなバカ!!!!!このやろ!!!!!と言い返せる。そう言い返せるようになったのはフェミニズムと出会ったからだ。
この出来事の後、Twitterでフェミニストの方のツイートをたまたま見かけて、あれ?なんか私が感じる違和感が言語化されているかもしれない…となんとなく思い始め、それからフェミニストの方を数人フォローし始めたのが、フェミニズムとの最初の出会いだった。
今までうっすら感じてはいたけどはっきり自分で認識できていなかった違和感が言語化されている感動、とにかく私にとってフェミニズムは痛快なものだった。
※フェミニズムを学んでいくにつれ、痛快さや目の前のスカッとに引っ張られるのは危険だと今は思っているけど、出会い方としてはこうだった。

理由2:いろんな友達ができた

もう一つのきっかけとして、ごく単純に東京でいろんな友達ができたことがある。
この世にはいろんな人がいるという当たり前のことに、地元にいるときは気づけなかった。地元にだってどこにだって、さまざまなマイノリティ性を持った人はいたはずなのに。
加えて、東京で出会ったクィアの友達と話していて、自分が全く認識していなかった問題がこの社会にはゴロゴロ転がっていることにやっと気づき始めた。
トイレやお風呂などでその子が感じていること、アニメを見ていて思うことなど、本当に恥ずかしいけど友達と話すまで本当に気づかなかったことだった。
会話の中で本当にいろんなことに気づかされてもらったけど、その友達が一方的に学びの対象とされるのは違うとも強く思っており、私も何か社会の一員としてできることは…と考え始め、とにかく学ぶ必要があるな、と思い至った。

フェミニストと公言するメリット

冒頭に述べたように、公言するのは勇気がいった。
だけどそうしている理由は単純で、「ナメられたり加害されるよりは厄介な人だと思われるほうが圧倒的にマシだから」だ。
実際SNSにフェミニストと書くようになってから、バイクアカウントにDMで誘いが来ることは一切なくなった。
「なんかこの人はジェンダーだかフェミニズムだかにうるさい人で厄介そうだから関わらんとこ」と思う層にはもとより関わってもらわないほうが圧倒的にマシなのだ。
目の前で過去にいかに女性を雑に扱ってきたかの武勇伝を語られたり、隣のテーブルの女性の顔に点数をつけ始めたり、私の学歴を知った途端愛想が悪くなったり、男なら飲め飲めとアルコールを同性に強要していたり、童貞いじりをしていたり、そんな場面に出くわすより、圧倒的にマシ。
おかげで今は素敵な関係を周りと築けていると思っている。

フェミニズムは楽しい

フェミニズムを学び始めてから、社会への視力が上がったような感覚でとても楽しい。
日々のニュースや周りの出来事に落胆したり絶望したりすることも山ほどあるけど、私にも他者にも人権があり、それをどれだけ尊重できるかという部分に、人としての誇りがかかっているとさえ思う。
ただ視力が上がったことで、過去の自分の加害や差別への加担をはっきり自覚して、申し訳なく思う相手が山ほどいるのも事実だ。
あの時はごめんなさいと言いたい、私変わったんだよと言い訳したいけど、それはこちらがスッキリしたいだけの都合なので、私にできることは、今後はなるべく他者を踏まないよう、差別や加害に加担しないよう、学び続けていくことだけだなって思っている。




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