見出し画像

詩「空想指定都市」


現実から
逃れて
はるばるやって来た
誰かが
造った
空想指定都市

建物の外観は
素晴らしく
感動すら覚えるけど
中身は恐らく未完成
現実とリンクする価値感
内面重視される日はいつか

突き抜けろ
じゃないと面白くないだろ?
弾けろ
生命いのちを燃やせ
飛ばして行こうぜ
常識の壁をぶち壊せ
奇人変人
称号だろ?
そんなの
意味不明が当たり前
文字も記号も
解読出来ない位が心地良い
結末も
二転三転した位が面白い
迷宮を飛び跳ねろ
此処には
審判なんていない
価値はジャッジされない
自分の営業成績なんて知らない

ふわふわしたウサギみたいなキャラクターが
案内役
でも
容赦なく噛み付いてくる
自分が可愛いって分かってる
可愛いものは次から次へと
狩られるのを熟知している
自己防衛の聡明さが気高いね

時がゆっくり流れる
砂時計の砂が
なかなか
落ちない
ゆったりし過ぎて眠くなる
一体
おれの
貴重な休憩時間はいくら?
手当は付く?

遠くから
お袋の鼻歌が聴こえてくる
諦めるなとおれに泣いている
逃げてばかりいないで
出来る事からはじめてみろと説得してくる
親孝行しとけば良かった
おれに泣いている暇なんてない

最先端を造ろうとして
アナログになっちまった
おれの構築する世界の果てなんて
いつだってこんなもんさ
隙のない精巧な建物なんて
現実だけで良いのさ
味気ないだろ

デスクに鍵を厳重に掛けて
誰も模倣なんてしないのは知ってるけどさ
一応
こんな世の中だから
思考を狙っているのは人間だけとは限らない
機械に人の想いまでコピペ出来るか?
どうせ奇抜なアイデアを提供するだけだろ?

電車に書き殴った原稿を詰め込んで
散って行ったおれ
清々しい
這いつくばって
倒れたら
また
此処に戻ってくるから
空想指定都市
誰か
また
造っていてくれ






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?