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詩「過ぎて行く時間の中で」


湖の底に眠っている魚の夢を見ました
泳ぎもせず
何もできず
泡も吐かず
まるで
時が止まっているかの様な…

上では
他の魚が
「遊ぼうよ」
って泳いでいるのに

水面は高くて
遠くて光っているのが
より怖くって…
端と端の長さも知らないのにね
そんな魚に同化していく自分を見ました

頭が壊れていないから分かるのです
背中をハリで刺される様な
あの痛さが
無理矢理 誰かに捕られる様な
あの怖さが
要するに
自分が自分でいたいだけなんです
どんなに体がゾワゾワする位
凍えきった所でも
だから
一つ一つを大切にしすぎて
臆病になってしまうと思うんです
光って見える方が
心には
真っ直ぐ刺さってくるのを知っているから

過ぎて行く時間の中で
いつか自分が目覚める時
体に刻まれた
あの傷跡よりも
自分の人生に
大きく大きく
関わってくれることでしょう
涙も知らない魚が
息を吸って
体を左右に動かして
とにかく今を生き延びようとしている
大きく揺れる魚の群れを私は見るのです

そこには
本当の自分がいないと感じながら

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