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【詩】命日(めいじつ)


ぱらぱらと降りしきる雨は
どれも少し錆びた匂いがして
ひたひたと何かを掻き分ける音がした
銃の音が でかい口を塞ぐ

網膜に張り付くような
ハリボテみたいな残像の上
君の肉塊が浮いている
ただ幸せだけを感じていたい

暖色の太陽の冷たい音色
風ひとつない 蹲り 背を擦る
上手いことばかりなんてないよね
きみが嗚咽する血の波打ち際すら

なんだか綺麗に見えてしまう

止まった時計の亡骸を
地平線の先に捨てて座り込む
幾多の同じものを観ながら
アタシは君に体温を吸わせる

生き返ったらいいな、なんて 。
有り得ない現実に、煩悩を寄せて
ふと 瞼を閉じてみた

空気に反射したパナロマに身を捧げてみる
だってもう 生き血を創る
そんな必要すらなくなったのだから

陽を照らした 控えめな霧
ふらふらと広がってく水の道筋
いつかの木箱に想いを溜め込んだ

吐き出したことは無かった。と。
あたしは、かつてのキミに言うんだろう。

背骨から抜かれていく魂に
どっぷりと浸かり 濡れる
もう戻れないと 微かに笑いながら

死を称える拍手が鳴り止まない
冷たくなった耳を両手で庇いながら
細切れに降り注ぐソレに
小さく口づけをした

終わりへと
ひた走る2人に
夕暮れは深い影を灯す

今日は最高の記念日
君と2人だけの……

『命日』

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