蓮花

卑劣な犯罪の被害にあい自ら命を絶った女性と出会い、それまでとは違った視点から世の中を見…

蓮花

卑劣な犯罪の被害にあい自ら命を絶った女性と出会い、それまでとは違った視点から世の中を見るようになりました。 彼女の鮮烈な生きざまを忘れないためにも、ここに思いや気づきを綴っていきます。

最近の記事

月の光

友人と初めて言葉を交わした晩、好きな曲の話で距離が縮まりました。 彼女がいちばん好きだと教えてくれた曲  ユーモレスク 「軽快さの中に物悲しさも感じさせるメロディが好き」 「短い曲なのでちょっと気分転換したい時にも最適と言って、よく聴いていた」~後に彼女のお父様からそう教えて頂きました。 好きな曲の話になったのは、友人のハンドルネームや言葉から 凪いだ夜の海に映る月明りの光景が浮かんできて、 ドビュッシーの 月の光 が流れてきたと伝えたのがきっかけでした。 月の光 は友

    • 秋の彼岸に思うこと

      友人が急逝しました。 noteの最初に書いた通り 月明りのように暗く孤独な道のりを照らしてくれた稀有な友人です。 これまでの記事はどれも彼女に読んでもらいたくて綴ってきました。 この後、彼女なしに続けていく意味があるのか、続けていけるのか 自問自答を繰り返していました。 「死んだら無になる」と友人は考えていましたが、私はそう思えません。 いつかは誰もが無になるのでしょうが 彼女の場合、それはまだ先のような気がします。 彼女の優しさや誠実さ明るさ可愛らしさ聡明さ勇敢さ 情熱

      • 今夜は「スーパーブルームーン」

        今夜=8月31日 東の空に昇る月は、今年最も大きく、最も明るい 「スーパーブルームーン」と呼ばれる満月です。 「ブルームーン」と言っても、月が青くなるわけではありません。 今夜は8月で2度目の満月。 同じ月の2度目の満月を「ブルームーン」と呼ぶそうです。 満月の引力は、潮の満ち引きを起こしますが、同じように私たちの体内の水分や血液にも影響を与えるそうです。 スーパームーンのパワーは特に強力なので、眠気や頭痛、倦怠感、睡眠障害 焦りや不安、イライラなどメンタルの不調を感じる

        • 若き日の父の回想

          父は「作る」のが得意な人だった。 母が不在だったある日、父は昼食にオムライスを作ってくれた。 食堂で出されるような本格的なオムライス  細かく刻んだハムや野菜入りのケチャップ御飯、ふんわり黄色いオムレツ  「お父さん、すごい!お料理上手だね」  「お父さんはコックさんになりたかったんだよ」 たぶん、それは幼い娘を喜ばすための優しい作り話 ちなみに、料理の苦手な母のオムライスは薄焼き卵で白いご飯を包んだもの ~それでも、幼い私は喜んで食べていた なつかしい母の味。 生

          美人といわれた祖母の追憶

          「あんなべっぴんさん見たことがない」「綺麗な人だった」 「明るい働き者だった」「芯が強くて優しい美人さんだった」 誰もが異口同音に称賛する若き日の祖母 しかし、残念なことに、私と血の繋がりはない。 祖母はどこか北の地方の田舎町の生まれ そこへたびたび行商に来ていた祖父に見染められたそうだ。 祖父は「飲む打つ買う」の三拍子の男。こちらも誰もが口を揃えて言う。 山師、商才がある、口八丁手八丁、守銭奴・・・ 悪評高きよそ者の男に、若い祖母は買われるようにして嫁いだそうだ。

          美人といわれた祖母の追憶

          私の原風景

          原風景の中の私は 自我や自意識が芽生える以前の幼い姿 しゃがみ込んでうつむいて 棒っきれで地面に何か描いている 絵のようでいて絵でない 形のようでいて形になっていない ぐるぐるざりざりうねうねと 土の上に描かれた何か 肩越しに振り向くと大人たちの足が見える たくさんの足  スカートを履いていたりズボンを履いていたり 見えるのは腰のあたりまで  上半身も顔も霧に溶け込むような感じで見えない その光景に彩はなく モノクロかセピアのような空間 この場面は、おそらく祖母のお葬

          私の原風景

          ゲームに救われた

          過去と向き合う作業 正直しんどいです。 思い出したくない人の顔や言葉まで鮮明に蘇ります。 時に芋づる式に、時に決壊したダムのように  目を背けてきた記憶があふれだして処理しきれず 軽い吐き気や目まいにおそわれることもしばしばです。 今日は、気分転換にゲームのお話を! 「明日が来るのがつらい」「このまま目が覚めなければいいのに」 来る日も来る日もそう思い詰めるほど どうしようもなく落ち込んでいた時期がありました。 すっかり大人になってからの話です。 ある日、たまたまデパート

          ゲームに救われた

          海街 メモリー

          私が生まれたのは海辺の小さな町 水平線を見渡せる丘にみかん畑  だいだい色のみかんが点々と実り   白い花が咲く時季は ほのかに甘い香りが漂う 岩場の多い海岸の小さな浜 磯の潮だまりをのぞいてみると  小さなカニやヤドカリ、ウミウシ、イソギンチャク   色鮮やかなメダカくらい小さな魚たち 透明度の高い青い海に半島の森の緑がこんもり ~ゆでたてのブロッコリーみたいに深く鮮やかな緑・・・ 朝日が昇ると、細かい金箔を撒いたように海面がきらきら光って見えた 小学一

          海街 メモリー