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人生最悪のクリスマス【3選】 その①この世から存在を抹消した聖夜(後編)

 そして私は、暗闇かつ無音の中、自分で自分に買ったホールのクリスマスケーキと近所の小さな酒屋で購入した小さなワインを息を殺しながら食べ飲みしました(腹パンになって酔っぱらって寝てしまいたかった)。心の中で、早くクリスマスなんか終わってしまえ、と唱えつつ。

 実は当時、私はハムスターを飼っていました。クリスマスイブにアルバイトから帰宅したところ、ハムスターが逃亡したのかゲージの中にいない。暗闇の中でハムスターを探したけれど、暗いからどこにいるのか分からず。

 朝、明るくなってからハムスターを探すと、押入れの中で大量のひまわりの種をほっぺたに抱えていたところを発見。そうか、お前も暗闇に身を沈めたかったんだね……としみじみとしたものです。

 こうして、アルバイト以外は家に引きこもり居留守を決め込んだ21歳のクリスマスイブとクリスマス。しかし、一難去ってまた一難、クリスマスの後には大晦日と正月が控えていたのだ。(……彼氏や友達がいないと、こんなに暇なんだな……)と痛感しつつ、別に何のダメージも受けていない振りをして、大晦日も正月三が日も外出することなくボーっと居留守を決め込んでやり過ごしたのでした。
 
 引きこもるためにあらかじめ購入した食料や酒のゴミがすごいことになったけど、私は存在しないことになっているのでゴミ捨てもせず部屋にそのまま放置です。

 今だに、21歳のクリスマスを含む年末年始は忘れません。パリピ代表、リア充(を演じていた)の私が狭いワンルームの自室で電気もつけずひたすらホールのケーキやらサトウのご飯やら納豆やらカップラーメンを食っているというのは本当に他人から見たらホラー(?)でしょうし、自分的にも屈辱でした、当時は。

 特にクリスマス。「きっと君は来ない~♪(by山下達郎)」ではなく、そもそも「君」がいないから「君」が来るわけがないのですが、心のどこかでは「誰か」がサプライズでウチに来たり誘ってくれたり……なんて淡い期待をしていたのかもしれません。

 しかし、もしそんな事態になったら、一人きりがバレる。それなら「元々ワイはいない~♪」の方がずっとプライドが保たれます(ドヤァ)。

 この私のプライドの高さ、見栄っ張りは現在も日常生活で活かされて(?)います。例えば、オリジンに行ったら無駄に好物ののり弁を2つ買うし(もちろん箸は2膳)、街の肉屋でコロッケを買う時も4つ買います(2日かけて食うか冷凍する)。宅配ピザだってLサイズ。Uberなら2人分。これは、(1人で食べるんじゃないからねっ)と、誰かに無言で言い訳をしているんだと思います。
 
 そんなの誰も気にしていないのに。他人の目を気にしすぎているのは自分だけなのにね。 

 さらに現在と言えば、このエベレスト級のプライドから、FacebookやらインスタやらのSNSを一切やらなくなりました。リア充の知人たちを見るとクラクラして落ち込むから。そして年末に近づく今くらいからが、リア充たちの腕の見せ所だろうて。

 若い時は居留守だったけど、現在はSNSの居留守(っていうのかな、ログインしないやつ)を決め込んでいます。ログインをしていないので、知り合いに「いいね」もできません。もちろん投稿もしないので、「いいね」ももらえません。SNSにログインしているのがバレて、ネタもなく暇なんだなあとか思われるよりは、忙しくてログインしていないと思われた方がマシです()。やっぱり私はプライドが高いんだろうな(苦笑)。

 ついでだから、クリスマス話その②では、ちょっと荒れてた時代のクリスマスの過ごし方について振り返ってみたいと思います。

 ……ああ……。今年もクリスマス週末じゃん、平日ならまだいいのにな、ちくしょう。
(その②へ続く)


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