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「ケチ? 否、太っ腹」その2

(その1から続く)

 例えば、まったくお金がなくて常に貧窮問答歌を詠んでいるような友人は、やたらと太っ腹だ。飲み会の時なぞは、なぜか1人で知らない間に全員分の会計をしている。「やめてよ!」って言っているのに、「私と飲んでくれたから嬉しくて」と、どこまでもケチとは無縁だ。しかし、勝手に全額支払うな、後がややこしい(笑)。彼女はそこで散財する分、日常では本当に質素に暮らしている。

 ケチで思い出したが、本当に金持ちほどケチだ。「人に何かしてあげたい」というハートがない。したところで、「あの時〇〇したじゃん」と後から恩着せがましく言ってくる。もちろん金持ちでも生粋の金持ちであれば、そんなことは言わない。生粋の金持ちで代表的なのは、大学時代の元彼だ。

 彼は生まれた時からお金持ちなので、彼の辞書には「ケチ」という言葉がない。金銭的な余裕はもちろん精神的にもいつも余裕があって、困った時にふらっとメールすると忙しいのにいつも真剣に相談に乗ってくれる。たまーに会うと、高級なご飯もご馳走してくれる。ああ、私も彼の前じゃ、「テイカー」なのかもしれない。深く反省しよう。たまには何かご馳走しよう……。高くて美味しいお店は知らないけど、安くて美味しいお店なら案内できるぞ。

 また、金持ちのケチの中でも斜め上の人種もいる。誰とは言わないが、過去には、私がプレゼントとして贈ったヴィンテージのマグカップを、そのまま私へのプレゼントとして返納(?)してきた男性もいる。彼は成り上がりのめちゃくちゃ金持ちだ。しかしこれには驚いた。「テイカー」は、テイクされてばかりだから、誰から何をもらったのかも記憶していないのか……。

 もしかして、ケチというよりも痴呆? かつて、母の日だか何かに有名店のどら焼きをプレゼントしたことがあった。後日、実家から送られてきた荷物の中にそのどら焼きが2~3個入っていた。母曰く、「あんたからもらって美味しかったから、食べてほしいと思って」とのことだった。これはケチでも痴呆でもないだろう。
 
 余談だが先日、数年ぶりに集まる面子で「女子会」をした(3人のうち1人はまだ30代だから、こう言わせてね)。飲んで食べて笑って、久々の5軒ハシゴ。しっかりと自立している女性はよく食べて、よく飲む。そこに「ケチ」は一切なく、ギブ&テイクで実に気持ちいい。

 「じゃあここは私が出す」「じゃあ次は私ね」「お釣りはタクシー代にしよう!」お互いを尊重しながら、みーんなが楽しめる方法を自立している女性は知っている。改めて、良い友達に恵まれているなあと思った。お金も心も太っ腹なのだ。
 
 女友達つながりで「セックス・アンド・ザ・シティ」を今さら全シーズン観てみた。1ヵ月だけU-NEXTを契約したから、観たいもんは全部観てやろうというケチというか貧乏根性だ()。本を出版する前のキャリーは、新聞の片隅にコラムを書くだけであんなに洋服と靴を購入して生活できていたのか、そこに謎は残ったが、そういえばこのドラマは2002年から放送されていたのか。
 
 20年以上前と言えば、私もブランド物を買い漁っていたし、クラブや飲みには(誰かがご馳走してくれるから)一切お金を使う必要がなかった。まさに「テイカー」で、当時は「ケチ」って概念も知らなかったっけ。少しクスっとした。
 
 まあ、今後のフリーランス人生、何があるか分からないけど、心だけはいつも太っ腹でいたいものだ。金銭的なケチは自分の中だけに閉じこめて(でも迷惑かけたし仕事減ったからヤバい、反省しながら、次っ!)。

(完)

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