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人生最悪のクリスマス【3選】 その①この世から存在を抹消した聖夜(前編)

 いきなり寒くなりましたね。って結構前から寒いのか。根っからケチな私は、先日やっと文明の利器である「電気毛布(去年、エアコンが壊れてあまりにも寒くて購入した)」を引っ張り出し、昼間も犬と2人で電気毛布にくるまって暖をとっている始末です。

 まあ、犬温が暖くて暖房代わりになっているからまだ大丈夫だけど、いよいよ今年の夏に新たに購入したエアコンさまに登場いただかなければいけないのだろうか。自分は良いとしても犬が風邪をひいてまうわ。

 そして。冬が来た=独り身の私にとっては年に1番に恐怖の時期がやってきた、ということになります。そう、クリスマス、大晦日にお正月……。世の中的には「休みだ! 遊ぶぞ!」とか「彼氏とか旦那さん、子どもと何をして過ごそう♡」とか、「どこでディナーを食べよう♡」とか、ハッピーな想いをめぐらす方もいるのでしょうが、まさかそんなことを思うわけもなく。

 世の中が華やいでいるというのに、旦那も彼氏も友達もいない私にとってここ数年のこの時期は全く予定が0で、ここ数年は無理やり仕事を詰め込む時期という認識しかありません()。もちろん忘年会というものもありません。年末年始はお金がかかる……とはよく言いますが、私にとっては年末年始こそ出費が少なく、稼ぎ時だったりします(苦笑)。

 実は大学進学を機に上京してから、私のクリスマスというか年末年始はもっともウキウキしていた時期でした。なぜなら、彼氏なり友達なりなんなりに囲まれて、毎日がお祭り状態だったから。イベントやデートのハシゴも当たり前だったので、1人で過ごす人なんて信じられなかった。というか、見下して、同情すらしていました。確か、大学時代に1人で過ごしたクリスマスは1度だけ。その時のことを記録してみようか……。

 そう、あれは大学4年、21歳の冬……。周囲の友人たちは就職も決まり、最後の学生生活、休暇をエンジョイするぞと浮き足立っていましてね。当時、なぜか彼氏がいなかった私。そして就職先も決まっていなかった私。ああ、月~金でアルバイトしていた出版社の仕事が楽しすぎて、男がいらない時期だったんだっけ……? 気が付くと、何の予定もないままクリスマス、年末年始(世の中の長期休暇)へのカウントダウンが始まっていました。 

 「これはまずい……。1人で過ごすことになるぞ……?」と気づいた時には、時、既にお寿司。誰とも約束をしていなかったのです。当時もプライドエベレストだった私が、クリスマスに1人だなんてありえない。直前に海外旅行でもぶっこもうと思いましたが、まあ、直前なんて予約がとれるわけもなく。
 
 というか、アルバイトも休めないし。それなら、「キープ君()」みたいな存在の男子でも誘ってみればよかったものの、そこもプライドが邪魔して誘えない、そして誘われない。ちくしょう。

 と、私がクリスマスイブ、そしてクリスマス当日にとった行動は、何を隠そう、必殺「居留守」です。別に誰とも約束していないし、誰がウチに訪ねてくる予定もありませんでしたが、とにかくクリスマスに1人で自宅にいるなんて私のプライドが許さなかったのです。1人で華やいだ街に飲みに行ったりなんて、そんな勇気もありませんでした。そこで思いついたのが、「クリスマスに自分の存在を抹消すること」でした。
 
 アルバイトから帰宅しても、もちろん家の照明はつけない。カーテンを隙間なく閉め、アロマ用にたまたま購入していた小さな蝋燭を灯す。エアコンなんてつけた時には、電気のメーターかなんかで自宅で独りぼっちなのがバレるかもしれない(今考えたら、誰にバレると考えたのかは謎、あ、多分隣に住んでた大家さんには帰宅時に気配でバレたかも)、電話が鳴っても出ない、TVもつけない、という徹底っぷり。

 当時は携帯電話がなかったので、連絡を取る手段は家電一択だったのでね……。これで、まさか私のような(当時は)陽キャ、パリピがまさか真っ暗な自宅で毛布にくるまっているとは誰も思うまい。

 もちろん、クリスマスケーキなんて1人で食えるわけもないのに、ちゃんと銀座の有名店でホールのクリスマスケーキを並んで購入して帰宅しました。このへんがプロ級に「バカだな」と思うのだが、ホールのクリスマスケーキを購入する=自宅とか、彼氏とか、友達の家で食べる、って普通誰もが考えるよね。当時の私は、クリスマスケーキさえ手に持っていれば、1人のアパートに帰宅するまでの帰路は「幸せそうなウキウキの私」を演じられると考えたのよ……。なんだか、我ながら可哀想に……(白目)。

(後半へ続く……)

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