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武蔵美VCPプログラム:リフレクション

V C P「価値創造人材育成プログラム(Value Creation Program)」とは?
武蔵野美術大学が実施しているアート&デザイン教育から「創造的思考力」を獲得し、ビジネスへの実践方法を学ぶ履修証明プログラムです。

https://www.musabi.ac.jp/collaboration/community/vcp/

自身の学び直し(リスキリング)として、非常に価値のある時間を過ごすことができた為、その3カ月間の体験を「忘備録」としてnoteに記録しておきます。

まず私が参加を決めた理由は、昨年1月からサービス開発に携わるようになったことがきっかけです。過去にビジネススクールでデザインシンキングに関連する科目(合計36時間)の受講や、実際の業務でもIDEO社のトレーニングやデザインファームと共同でプロジェクトを進めるなどの経験もありましたが、それでもデザインシンキングの本質的な理解には至っていないと感じていました。

デザインシンキングのフレームワークやプロセスは日頃の業務の中で実践しているつもりですが、他に何か重要な要素が欠けているのではないか?と以前から感じていました。その欠けている部分が何なのか?を明らかにするため、美大教育を通じてデザインやアートの思考法を学びたいと考えるようになりました。

また、同様のプログラムは他の大学でも提供されていますが、私が選んだVCPはデザインシンキングだけでなく、アートとビジネスの融合に重点を置いているため、参加することを決意しました。

◉創造的思考力の基礎の習得(Day1-4)
プログラムの前半では、「創造的思考力」の基礎となる「観察力」「批判力」「構想力」を習得するための造形アウトプットの実践を行なっていきます。このワークでは与えられたテーマに対して参加者が自由な発想で作品の制作を行います。講評では、講師・アーティスト・他の参加者に対して作品の意図・背景を自らの自由な表現で伝えることにより、多様な視点、気づきを得ることが可能となります。

◉創造的思考力の実践演習(Day5-10)
プログラムの後半では、他業種他分野が交じる参加者(4〜5名)に分かれてグループワークに取り組みます。身近な問題意識に対し、実践的に課題発見力から価値創造力を体得することを目的としています。このワークではクリエイティブ業界で活躍するデザイナー人材によるメンタリングを通じて、学びを強化していきます。

◉最終プレゼンテーションと講評
最終日には全グループのプレゼンテーションと講師陣による講評を実施。講師による厳しいフィードバックを通じて、成果発表に留まらない本質的な「デザイン、アート」の力を用いた事業創造力の習熟度を確認できます。


◉プログラム前半の学びは?

まずプログラム前半では、講師や他の参加者との交流を通じ、「創ること」によってのみ見えてくる世界が存在することを学びました。また講評を行うアーティストが持つ多様な視点や表現の豊かさに触れ、自身の解像度や言語化能力の低さに気づかされた瞬間もありました。この体験は、アートという形での自己表現が持つ力と、それを通じて異なる世界観に触れることの重要性を深く理解させてくれました。

また講師や他の参加者の作品を通じて、同じテーマでも人によって捉え方や表現の仕方が全く異なることを目の当たりにし、それがどれだけ豊かな解釈の幅を提供するのかを実感しました。

自分が普段接している世界とは異なる角度から物事を見ることで、新たなアイデアやインスピレーションを得ることができるということ、また、そのような多様な視点が、創造性を刺激し、「思考の枠」を広げることに繋がるということを学ぶことができたと思います。

恥ずかしながら、私の作品です↓

◉プログラム後半の学びは?
後半のセッションでは、異なる業種(私のチームは銀行、コンサル、新聞社、自治体)から集まったメンバーとの作業を通じて、ビジネスバックグラウンドの違いから生じる「合意形成」の困難さを学びました。共通言語がない中で身近な問題意識から出発し、課題を設定してソリューションを提案していくという過程が、これだけチャレンジングだとは想像だにしておりませんでした。特にソリューション(アイデア)が先行することなく、イシューの解像度を高めることの難しさに直面していたと思います。

それでも、この経験からは大きな収穫がありました。実際のビジネスシーンでは、共通の目的と言語、そして適切かつ専門的スキルを持つ人々が集まり、プロジェクトを前に進めていきます。どのプロジェクトにも責任者がおり、アウトプットが遅れないようにタイムラインを厳格に管理し、意思決定を行います。

私が日々の業務で行うサービス開発でもデザインシンキングのプロセスが実践され、発散と収束を繰り返し、具体的なソリューションを生み出していきます。しかし、今回のように異なるバックグラウンドを持つメンバーが集まり、明確な「責任」がない中ではこのような意思決定プロセスは実行されません。その結果、議論は何度も「振り出し」に戻りました。

しかし、私はこの一見、非効率でムダとも取れるやり取りから、デザインシンキングが「プロセス」であるのに対し、アートシンキングは「スキルやプロセスではない」という本質を理解することができたと思います。

「直感」「ひらめき」に基づいたイノベーティブなアイデアやソリューションは、まさにこうした「カオス」の中から生まれていきます。

このやりとりを通じて、これまでの自身のプロセスを批判的に見直し、全く異なる角度からソリューションを考える発想法を学ぶことができました。先述の通り、実際のプロジェクトのように必ず前に進むことを前提としたプロセスでは絶対に得られない体験だと思っています。

結果的に「イノベーションの本質」とは何か?と気づいた3ヶ月であった。

異なる業種(異物×異物)からの視点を「統合」し、新しいアイデアやソリューションを生み出す過程こそが、イノベーションの本質だと改めて気づく時間となりました。イノベーションとは、既存の枠組みや方法論にとらわれず、新しい視点で問題にアプローチし、解決策を見出すことに他なりません。そしてデザイン、アートの本質とは、私たちが生きる世界に対して深い問いを立て、その解決を通じて何を学び、何を思考するかということなのだと思います。

私たちのプロジェクトチームが直面したように、異なるバックグラウンドを持つメンバー間での「合意形成の困難さ」は、多様な視点がぶつかり合う場であるが故に生じるものです。しかし、そうしたコンフリクトやカオスの中で「直感」や「ひらめき」に基づくソリューションを生みだすという行為こそが、イノベーションの種を蒔く行動であるとも言えます。

このプロセスを実体験として得ることができたことで、異なる分野の専門知識やスキルを持つメンバーとのコラボレーションの価値を深く理解することができました。これは、日常業務に戻った際にも、異なる部署やチーム、さらには異なる企業や業界との連携を模索する際に、大きな強みとなります。

実際のビジネスの世界においては非効率、ムダとも取れるこの過程で得た学びや気づきは、計り知れない価値を持つと考えています。このような経験こそが柔軟で、創造的な思考者へと成長させるきっかけに繋がると信じています。この経験を通じて得た知見と学びを、日々の仕事に活かし、より良い未来を創造するための一石としていきたいと思います。

3ヶ月間、本当にお疲れ様でした!
毎週末、よく頑張りました。(←自分で自分を褒めるw)

あとは同期メンバーの繋がりを大事にしていきたいですね。
縁を大事にすると運が回ってきてツキが付いてくる(格言です)

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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