高齢議員を考える

細田博之衆院議長が体調不良から議長を辞任するというニュース。細田氏と言えば統一教会との関係が問題となり、その際の対応も騒動となった。今年になり熱中症で救急搬送や、脳梗塞にも罹るなど衰えが急速に進んでいる。しかし「体調不良」で辞任しながら「元気」なので次期衆院選には出馬する意向とのことで与党内からも議員を甘く見ていると批判が出ている。今回の辞任会見も時間指定や強制打ち切りなどジャニーズのNGリスト並みといわれ非難囂々のようだ。

細田議長で初めに記憶にあるのは年金問題で辞任した福田康夫の後任として官房長官に就任した頃。ピアノやトランプを趣味としその多彩さや政策面での博識ぶりを報道されていたように思う。しかし今は統一教会問題と合わせ、老害議員という悪の象徴のようになってしまった。麒麟も老いては…なのか。

ここにきて細田議長の衰えぶりから高齢議員の意義について少し騒がれている。現在の国会最年長は84歳の二階俊博元幹事長、次点が83歳の麻生太郎副総裁。3位が尾辻秀久参議院議長。60歳で定年とするともう20年以上過ぎている。

議員定年制は2003年に当時の小泉首相が自民党の『衆議院比例代表は、73歳以上は公認せず』を厳格に適用するようになり大きく知られた。これにより首相経験者の宮沢喜一氏、中曽根康弘氏が政界引退となり、大正生まれの議員もほぼ引退した。ほかに参議院の比例で70歳定年制もあるが、特例公認が多くなってるという。フラッシュによると現在73歳を目安に、1950年以前の生まれとすると衆議院では40人、参議院では20人、合わせて60人の「高齢議員」がいるらしい。

かつてはどうだったのだろう。昔は議員と言えば爺さんばかりの印象がある。議員全員の年齢を調査するのも大変だが、故岩見隆夫氏が過去サンデー時評で『国会議員は「低齢化」しているぞ』とコラムを執筆していたのを思い出した。これが大きく参考になり引用しながら見てみたい。

それによると2012年の選挙終了時点で衆議院の70歳以上が23人いた。内訳は石原慎太郎80歳、保利耕輔78歳、亀井静香76歳、伊吹文明75歳、二階俊博74歳、平沼赳夫、保岡興治73歳、麻生太郎、竹本直一、宮路和明72歳でここまでトップ10。このうち現在も現職なのが5人。

さらに10年前の2003年頃は80歳以上が奥野誠亮90歳、中曽根康弘85歳、相沢英之、宮沢喜一84歳、塩川正十郎、山中貞則82歳と6人。70歳以上が69人。
1993年は原健三郎86歳、二階堂進84歳、河本敏夫82歳、桜内義雄81歳で、70歳以上が64人。1973年は千葉三郎、島村一郎の79歳がトップで70歳以上58人だという。70歳以上がたえず全議員の1割以上を占めていた。さらに10年前は松村謙三の80歳をトップに、星島二郎、松田竹千代、益谷秀次らが75歳を超えていた。

10年ぐらい前(2003年)から激減しはじめ、いまではピーク時の3分の1に減っていると振り返ってるが現在は73歳以上だけでも60人いる。岩見氏の集計は参議院を含んでいないようだが、年齢だけみるとピーク時に戻りつつある。今も昔も大臣を長く務めた重鎮議員が多く長老支配の傾向が見て取れる。

衆議院465、参議院248という定員から見ると衆議院40人、参議院20人というのは妥当なのか。参議院は解散がなく任期が6年と長いためか高齢議員が出やすく思う。過去見ても衆参通じての最年長は参議院が多く一松定吉(1875年生・87歳)、野村吉三郎(1877年生・86歳)、青木一男(1889年生・87歳)というのは時代を見ても年齢以上に高齢の印象が強くどれほど議員活動が務まっていたのか。今回の細田氏も足取りは重く、声も弱弱しい印象だった。市川房枝氏のように晩年まで精力的な活動をしていた議員もいるが。

『国会議員は「低齢化」しているぞ』では当選回数の分析もしているが当時も現在もトップは小沢一郎で18回。小沢氏も立憲民主党内で泉代表に批判的な議員を集め、グループを立ち上げるなどまだまだ引退の気持ちはなさそうだ。比例復活の議員が党内で反旗を掲げることに批判もあるようだが。

麻生元首相の場合「岸田首相・麻生副総裁・茂木幹事長の三頭体制」によって政権運営がされているといい、未だに影響力が大きいようだ。

また引退した議員が議連に顔を出したり、現役の党幹部が重要局面で根回しに行ったりすることも恒例らしい。いざという時には老の長年の経験による洞察、深い知恵が求められると意義を強調しているが細田議長はじめ高齢議員の現状をみると疑問がある。長老政治が変わる日は来るのか。

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