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寿命百年の鉄の釘が、古寺に使われるとなぜ千年もつのか?

                                                                                         薬師寺に使われた和釘
法隆寺や薬師寺の建造物は、木組みでつくられ、釘は使われていないと紹介されたりすることがありますが、それはありません。法隆寺や薬師寺の建造物にも、釘は使われています。
ヒノキは1000年もつが鉄は100年しか持たないと言われているのになぜ、法隆寺や薬師寺には寿命100年と言われる釘が使われながら1000年を超えてもっているのか・・・。
年輪が詰まったヒノキの脂が釘の酸化を防いでいるというお話は
「古寺が長持ちする秘密、玉鋼とヒノキの包容力」(https://note.com/cute_gnu255/n/n64b46d3f54dc)
の項でお伝えしましたが、それ以外にも、釘そのものにもさまざまな工夫があることがわかってきたそうです。

(1) 釘に使われている鉄の純度が高いこと
(2) 鉄が何層にもなっているので表面が錆びても芯までいかないこと
などです。

(1)純度が高い
鉄は錆びるというのが常識ですが、純度の高い鉄はさびにくいそうです。法隆寺や薬師寺に使われている鉄は砂金を、木炭とふいごで風を送って製錬する「たたら製鉄」で造られたものです。それを叩いて和釘に成型する過程で鍛造され、炭素分を排出することで鉄の純度を高くしているので、サビにくくなっているそうです。

(2)何層にもなっている
さらに、叩くことによって鉄が年輪のように何層もの縞になり、表面がさびても、次の層が隔壁になって芯にまでサビが到達することを防いでいるそうです。
それにしても、人生40年とかいう時代に、こんなに1000年も超えるノウハウと工夫を、誰が見つけたのでしょうか。感覚で処理しているのでしょうか。なぞです。
 

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