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天上の会話(てんじょうのかいわ) 加筆分 【ウミネコ文庫童話】

 

 知性体Aはいっしょうけんめい考えて理想の宇宙をつくるためにいろんな数値を入力していきます。
そしてすべての数値を入れ終わったら宇宙のたまごのスイッチをオンにしました。
すると1センチぐらいの大きさだった宇宙のたまごはまばゆい光を放って大爆発し、どんどんどんどん大きく膨らんでいきます。
そのとき時間もできました。
そしてそれから数億年がたち知性体Aが計算した通りいろんな物質のつぶつぶが集まってガスのかたまりとなり、それが凝縮(ぎょうしゅく)して最初のお星さまになりました。
ガスでできたそのお星さまは重力でおなかのなかが熱くなりぽっと火がついて明るく光りはじめました。
明るく光る星のことを恒星(こうせい)といいます。
 恒星(こうせい)はその後も次々誕生し、いっぱい集まって銀河となりました。
そしてその銀河も次々とできて銀河の集団となり、その銀河の集団も1000億個を越えました。
そして今から46億年前、とあるひとつの恒星(こうせい)の近くにお水がたくさんある惑星(わくせい)ができました。
惑星(わくせい)とは自ら光らないで恒星(こうせい)の回りを回っている星です。
ちょうどいい場所にできたその惑星(わくせい)を知性体Aは地球と名付け恒星(こうせい)は太陽と名付けました。
知性体Aは計算した通りに地球ができたので大喜びしました。
最初に設定した数値がうまくいったからです。
ただ惜しいことに地球はたっぷりと水があったのですが、塩分が足りなかったのでこっそりと介入することにしました。
生き物をつくるのには塩分が必要不可欠だからです。
遠くから遠隔操作で塩のかたまりの隕石(いんせき)を地球に落としました。
また地球は重力が不安定でふらふらと太陽の回りを回っていたので、遠くの銀河にあった地球の4分の1ほどの星を遠隔操作(えんかくそうさ)で地球の側(そば)に移動させ衛星(えいせい)としました。
衛星の名前は月と名付けました。
地球から見ると太陽と月がぴったり同じ大きさに見えるように絶妙な場所に置きました。
そのほうが美しいとおもったからです。
月のおかげで地球の軌道は安定します。
月には他にもいろいろな仕かけをほどこしました。
地球で生き物が誕生したら、知性を持った生き物に進化するようプログラムした遺伝子を隕石のなかに入れて、時間がきたら月から地球に向けて発射するようにタイマーをセットしました。
またその隕石を発射する片側だけを地球に見せるようにうまく軌道を調整しました。

 そして地球ができて35億年たったある日、海と名付けた塩水のなかで最初の生命が誕生しました。
それからタイマーによって月から遺伝子の入った隕石(いんせき)が落ちると、海のなかにいた小さな生き物たちにその遺伝子がくっついて、どんどんいろんな生き物に進化していきます。
それから10億年ぐらいたつとその小さな生き物の一部はお魚になりました。
そして4億年後、海で大繁栄したお魚は勇気を出して陸にあがりました。
お魚から両生類(りょうせいるい)に進化して海と陸と両方で暮らせるようになりました。
陸の上には一足先に藻(も)の一部があがって植物となり、すでに生い茂ってしました。
陸地で暮らすようになった両生類は遺伝子のプログラムによって大きなトカゲのはちゅう類に進化しました。
そしてはちゅう類は年々大きくなっていき、ついに恐竜に進化して地球上の陸地で大繁栄しました。
ついでにねずみなどの小さなほ乳類や小型の恐竜が進化した鳥類もできました。
恐竜はその後、長い間地球で繁栄して一部の小型肉食恐竜は、遺伝子によって知性を持った賢い恐竜になりました。
 しかしその賢い恐竜たちは知性体Aがおもったような愛を持つ生き物とはならず、ロボットのように感情のない生き物だったのでやむなくいったんリセットすることにしました。
そして6600万年前、隕石を地球に落として恐竜を絶滅させてしまいました。
しかし一部の賢い恐竜たちは高度な文明を発達させていたので隕石(いんせき)が落ちることを予知し、高い技術力を駆使して宇宙船を作り、それに乗って宇宙の彼方へ逃げてしまいました。
きっとどこかで地球のような惑星(わくせい)を見つけて暮らしているでしょう。

 さて隕石によって恐竜は絶滅しましたが、生き残ったねずみなどの小さなほ乳類は月から降ってくる隕石によってどんどん進化していきました。
そして恐竜に変わって大繁栄したのです。
そしてある日、とても賢く体の大きな猿が一匹月の光を浴びて遺伝子に組み込まれていたプログラムが活性化し、毛は抜け落ちて二足歩行になり、頭と脳が大きくなってちょうど知性体Aとそっくりな生き物になりました。
知性体Aはとても喜びその生き物をヒトと名付け、1人じゃさびしいからと体を分裂させてもう一体作りつがいとさせました。
その後2人は子供を作り、その子供の子孫はどんどん増えて地球上にあふれ、様々な技術を身につけて文明を発達させ、国や社会を作っていきました。
あの賢い恐竜と違ってヒトは愛を知っていたので互いに協力しあったり励ましあったりしてどんどん文明を発展させていきました。
もちろんヒトの中には戦争をしたり物を盗んだりだましたりする悪いヒトもいましたが、全体的にみれば愛をもった善良のヒトが多く、知性体Aが望んだようは世界になってきました。
きっとこれなら世界宇宙コンテストでベストデザイン賞をとれるかもしれないと知性体Aはワクワクしました。
そうこうしているうちに約束の140億年後になりました。


 



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