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エイプリルフール ㊹

子供のころは、エイプリルフールが楽しみだった。どんな嘘をついてやろうかと、ワクワクしながら考えたものだが、

いつからか虚しくなって、4月1日に嘘をつくのは止めてしまった。他人を騙しても、そんなに面白くないと感じるようになったのだろうか?口へんに虚しいで嘘だものね。

中島みゆきの昔の曲に『うそつきが好きよ』というのがあって好きだった。

ああ 月の夜は ああ 夢になれよ

夜露まじりの 酒に浮かれて
嘘がつけたら すてきだわ
裏切られた 思い出も
口に出せば わらいごと

耳に聞こえた 話はみんな
明日の朝には みずしらず
酒が胸の メモ帳を
破り捨てて くれるだろう

自慢話は嫌い 約束事は恐い
嘘を抱えた両手 そっと開けて口説いてよ

※叶えられない 願いを抱いて
ある日男は 夢になる
好きよ 好きよ 噓つきは
牙の折れた 手負い熊※


中島みゆき『うそつきが好きよ』

仏教では「噓も方便」と言い、人を救うためであれば丸っきり否定をしていないし、ある程度の嘘は世の中の潤滑油になるだろう。

嘘をつくのは、才能だと思う。
うん、紛れもなく才能だ。

『推しの子』星野アイは、アイドル(嘘つき)で、「キレイな嘘をつく」のが身上だ。

彼女が嘘をつく事で、彼女の魅力は倍化する。彼女は自分の為だけでなく、ファンの為にも嘘つきを続けるのだ。


明石家さんまは、笑いの為なら平気で嘘をつく。『明石家電視台』であったか、芸人の誰かが「話はどのくらい盛って良いのか?」という質問に、彼の答えは

「8割やな」だった。会場は大爆笑であったが、
でも、それで笑わせられるなら、誰も損はしない。

さんまにしてみれば、それが彼のスタイルであり、「腕の見せどころ」なのだし、この思いっきりの良さこそ彼が売れた一因であろうと思った。

逆に、面白い話を盛りもしないで素のまま語る奴は「腕がない芸人」となってしまう。それで6割くらい受けるくらいじゃダメなのだ「もっと盛らんかい!!」と叱咤しそうである。

ただ、ビートたけし嘘が嫌いである。直言不遜が彼の持ち味なのだ。芸人やアイドルも様々なのだ。どっちを選ぶかはあなた次第だが、

芸に嘘は付きものだ。俳優も女優も、老人が若者を演じたり、若者が老けたり、泣いたり笑ったり、男が女を演じるのが歌舞伎だし、女が男を演じるのが宝塚なのだから。


しかし、嘘には悪質なものもある。詐欺事件のような犯罪は憎むべき嘘だが、それを「芸だ」とうそぶく詐欺師が居ても不思議はない。

「偉大な嘘つきは、偉大な魔術師だ」と名言を吐いたのは、かのアドルフ・ヒトラーである。

彼は、目的のために言葉を巧みに操り、事実を歪めて伝えたり、嘘をついて人々を扇動した。↑上の発言からも、彼が意識して嘘をついていたのはあきらかなのだ。

恐ろしい。

間違った才能も、世の中にはある。


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