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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㊽

「行くしかない!」

 
翌年5月、最後の手段
かの有名な求職サイトに障碍者専用の窓口があることを
ネットサーフィンをしていて見つけたのです
「へぇ、こんなの出来てるんだぁ」
「時代は変わったのねぇ」
「たぶん無理だろうけれど、まぁ、ダメもとで」
と、いつものようにとりあえず登録だけしてみました
そして、面談を申し込むと、
なんと面談場所は都内の、たしか板橋の方だったとおもいます
一人で都内まで行ったことはありませんでした
「どうしよう、行けるかなぁ」
しかし、行くしかない!
最寄りの駅の車いす用駐車場に車を停めて(ごめんなさい長時間駐車です)電車を乗り継ぎ都内のオフィスまで面接に行きました。
駅からも少し距離があり、当時は電動車いすではなかったので坂道や悪路に苦労しながら辿り着きました。
いくつかの面談用の個室が並んでいて、その中の一部屋に案内されました
担当の方は、頭のよさそうな若い男性でした
1時間ほどいろいろお話をして
「よろしくおねがいします」と頭を下げて帰りました
まぁ、無理っぽいなと思いながら
来た道を、また苦労しながら戻り
帰りの電車に乗っていると携帯電話に着信がありました
求職サイトからです
「あれ、忘れ物でもしたかな」と
駅を降りてすぐ折り返すと、先ほどの担当者から
「条件に合う会社が何件かあります、話を進めてよろしいですか」
とのことです
ものすごく早い対応にびっくり仰天しながら
駅ですぐに詳しくお話を伺いました
何件かのうちの1社が条件が良く、面接試験を受けられるということで
職種はPC関係のコールセンターでオペレーターでした。
話を進めて頂くことにして
「よろしくおねがいします」
と電話を切りました。
初めての求職サイトの対応に感心して、今までの就活は何だったんだろう
やっぱり、「専門家にお願いすることって大切だ」
と世界が広がった気がしました
 
物事が動き出すときは不思議と重なるもので
その数日後
ハローワークからも紹介がありました。
一緒に働いていた相談員さんから電話をいただき
「もしもし、元気?実はあなたにぴったりな求人があるんだけど」
「窓口に来られませんか」
「え、ありがとうございます、うかがいます」
 
紹介されたのは、高速道路のメンテナンスやサービスエリアの清掃などを
請け負っているNEXCOのグループ会社で
障がい者の事務員を探しているとのことでした。
この会社も業務内容的に障がい者雇用が難しく困っているということです。
 
100社近くもの求人に応募して、ことごとく不採用の通知を受け取ってきたのに、あきらめ悪く挑戦していたら奇跡が起こったと思いました
 
私はオペレーターの仕事が好きだったので
まずPC関係の会社の面接を受ける事にしました。
着なれないスーツを着て、いざ、出陣
大きな物流倉庫の一角にその会社のオフィスはありました。
今でいうベンチャービジネスだったと思いますが
若い男性が面接官でした、あまり慣れていない様子でしたが
ひと通りのお話をして、
「では、ちょっと別の部屋で適性試験を受けていただきます」
「え、聞いてませんけど」
とはいえず
「はい」
と別室へ
机の上にPC
「やば」
操作の仕方を教えて頂き、試験官は退室
一人取り残され、PCと格闘
何が何やらわからずに、いろいろ触っていたら画面がフリーズ
「え、どうしよう、止まっちゃった」
恐る恐る、部屋の外に向かって
「あのぉ、すみません」
「動かなくなっちゃったんですけど」
「あ、じゃあそこまでで結構です」
 
落ちた…
無理でした。
 
すごすごと、
でも表面は笑顔で
「ありがとうございました」
と明るく挨拶をして、車までちょっと雑談をしながら
若い面接官さんに送っていただきました
 
PCの試験は全くちんぷんかんぷんだったので
仕事にならないなぁ
試験があってよかった、知らずに就職してたら大変だったわ
と、残念というよりは、ほっとした帰り道でした。

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