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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語③

新しい挑戦!

家族が出かけた後の静まり返った家でひとり、
考えて、考えて、考えて、
(今から思うとスマホもネットもPCもない中どうして考えついたのか不思議なのですが)
 
「そうだ!」
「大金を払って勉強するより、働いてお金を貰って、それでいろいろ勉強したほうが得じゃん!」とひらめいてしまった。
「そうだ!そうだ!」
「もう受験勉強しなくていいし!」
 
よーし!また挑戦だ!
 
えーっと、働くためには運転免許が必要だよね
運転免許証をとるためには自動車学校へ通わなければならない
でも、自分では通えない、
そういえばリハビリセンターで免許証を取らせてくれるらしいって聞いたことがあるぞ
リハビリセンターに行くには福祉事務所に相談すればいいんだとおもう!
 
かくして、また、費用のことは気にせずに(気にも留めずにが正しい)
母親に
「ねぇ、リハビリに入って車の免許取りたいんだけど、福祉事務所にきいてもらえる?」と言いました。
父は
「〇子一人くらい養っていけるから家でのんびりしていればいいよ」
と言っていたけれど。
両親の間で、この障がいのある、ちょっと身の程知らずな娘の将来について
どんな話し合いがあったのか、なかったのか、
どんな手続きが必要で、いくら費用がかかるのか、
などは全く何も考えず
本人は、これから始まる挑戦に心からワクワクしながら、
オープン間もないリハビリテーションセンターに
めでたく入所し、在宅障碍者の生活を卒業したのでした。
 
さあ!
普通に自動車運転免許証を取得して、普通に就職ができるのでしょうか?
新しい挑戦のはじまり、はじまり~
 
ところが、
すぐに自動車学校に通えるものと思っていたら、
そうはいきませんでした。
まずは、県の自動車運転試験場の適性試験が通らないと
自動車学校に通えないということでした。
適性検査とは、運転する適性があるかどうかということでしょうか?
県の自動車運転試験場へ連れていって頂くと、
試験場の部屋の隅にゲームセンターにあるような
運転シュミレーションの装置が置いてありました。

まず、その運転席に一人では乗り込めません。
抱えて頂いて、やっとこさ運転席におさまりました。
次に、左手でアクセルとブレーキのレバーを操作、
右手でハンドルを回します、
ハンドルにはフォークリフトのように旋回装置のノブがついていますが、
これをある程度の力で回せなくてはならないのです。
しかし、私の右手の握力は0に等しく全く操作できません。
ノブを握ることさえできないのです。
試験管の方にも
「こりゃ無理だね、少し練習してからまたきてください」
と言われてしまいました。
「え?」
「免許取れない?」
「どうする?」
 
試験場から帰る車の中で
「そんな、ばかな」
「なにか方法があるはず」
と思っていたような…
 
リハビリに戻ってから、なんとか適性試験に受かるよう挑戦が始まりまた。
握力のない右手をマジックテープで固定できる
特別な旋回装置を作っていただき、
腕の力をつける訓練を頑張って、
ちょうどそのころ車にも「パワーステアリング」という画期的なオプションが付き始め、それを使うことにして、再び適性検査に挑戦しました。
結果は
「総重量1.2t以下の車に限定」という条件付きで
合格!
「やったー!!!」
 
やっと普通に自動車学校へ通えることになりました。
車への乗り移りと、車椅子の積み込みの訓練もしました。
出来ることがどんどん増えていき、自身がどんどん戻ってきました!
ありがたいことに、自動車学校への送迎は
リハビリセンターの車でしていただけ、
費用は規定内の時間数は公費で出していただけるとのことで、
両親にあまり負担をかけずに済みました。
楽しかったですね。


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