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紫陽花

 梅雨になり毎日の空は灰色の曇り空。お日さまは灰色の雲の中で隠れんぼ。お日さまが隠れた分厚い灰色の雲の中には所々黒っぽい色が混じる。
地上ではお日さまが隠れんぼして光が届かない。伝わらない。お日さまの光がないと何だか人間も動物も植物もどこか空っぽでもの寂しげ。どんよりとする。
 みんなが空っぽでもの寂しげな中で紫陽花だけがいつも涼しげに過ごす。空が灰色の雲に覆われていても雨がしとしと降り注いでいても紫陽花は他の花に動じずに振る舞う。「天気なんかに左右されたくない」「梅雨入りしても私は私」「太陽の光があろうがなかろうがどこも変わらない」と言わんばかりに花を咲き誇らせる。紅みがかかった紫色の花弁。蒼みがかかった紫色の花弁を身に纏う。花弁を通して艶やかで大人の色気を漂わせる。近くにある虫喰いの葉っぱですら紫陽花を輝かせるための小道具に変化する。その紫陽花の堂々たる妖艶な姿に誰もが歩を止め見惚れる。

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