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|不可能性の小説・|ププロ・ヴィニッチィーリ・緑の綺譚物語、こまやかな可能性の巨大な可能性………,

それは緑の小さな細い管のようなものが、無数に複雑に絡み合ったカオスな、混沌とした
境目が見つからない明るくもあり、暗くもある世の中でした。超巨大な植物の楽園のようでもあり薄暗い熱帯雨林のジャングルの中のようでもありました。でも、水滴は葉脈にしたたり、少しは涼しかったのです。

そこかしこから……ことばのような音がささやくように……響き……耳に聴こえていきます。

それは、時に甘く、時に残酷に恐ろしくも、
聴こえるような言葉の数々、羅列のようなものでした……………。

その声は植物達の、他愛もない世間ばなしのようなものでしたが、身近な話から、自分達の植物的な世界に関する範囲、スケールを逸脱するような、お話も………いくばくか、は有りました。

それは、予言をする預言者めいた謎めいた、言葉のような、呪文のような物のようであり
、とにかく人なんかが理解出来ない類の内容の音響、音たちの響きのようなものだったのです。

植物達の、利己的な……自己中心的な気が狂った、かのような、植物中心の、植物の為だけの、植物を絶対的な世界の創造主として繁茂繁栄していく狂信思想に近しい……ぞっとする様なものだったのです。

・狂信的な葉脈・

植物達は、ツタ、ツルのような物を無数にシュルシュルと器用に伸ばし、からみ合い、互いに何らかのコミュニケーションを頻繁に行っているようでした。葉脈を健全に伸ばし発達させ、ほのかな太陽の光をその身に浴びながら、葉緑素を光合成により増やしながら、
自分達の自分達による世界で、現実の全世界を覆い尽くそうと、野心……という程でも無く、生命の必然的な欲求を満たそうとしているようでした……………………。

植物達にとって互いに伸ばしたツル、ツタは
、何かの別世界へと興味を引く、別世界へと行きたがる、そんな好奇心みたいなものを感じさせていました。

そのツタ達は、実は5次元、6次元、以降の
別次元へと密かに情報交換、情報召集、を行っていたのです。それらの次元、世界は有限
でありながらも、物凄く細かすぎる精神世界
に匹敵する巨大な、極楽浄土の様なスゴイ世界でした。


この世界を覆い尽くそうとしている植物達は
、この世界を丸ごと、植物達にとって都合のよい様な、それは他の人間にも動物にとっても有益な、かつ幸福な世になる予定を密かに
企画していたのです。異次元の凄まじいパワーを密かに利用しつつ………………。

ハッキリ言って狂った………狂信的な思想により創り上げられた静謐、かつ異様な世界。

動物達に食べられる屈辱は、もうゴメンだ!それは植物達にとって屈辱的なもの以外でも何でも無い!人間達に培養され強制進化させられる奴隷の身分は惨めったらしい!!
我々大人しい地球の子供達である植物達を、何だと思っているのだ、と!

植物達はトクトクと思案しました。人と動物達、大空を包む大気圏、マグマがうごめく地球の中心の核。それらと我々植物達は同化しつつも距離を持ち、共生しながら、やはり人類にはゆるやかな滅亡への道を辿って、それは痛みや恐怖を覚えない、気持ち良くもやさしいものであり、消えていってもらおう、という思想でした。それに準じて動物達も………
……………………。

植物的には、こうでした。地殻と大気と植物
と海水、そして我々無害な植物………そう。

バランスを取らねばならない。環境質的な転換プログラムなる狂信思想をゆるやかに実行せねばならない、と。植物達にも、それは十分過ぎるほど分かっていました。それは気が狂った思想だと言う事が。


・緑色の狂った楽園・

ですが地球の創成期から植物達の先祖の形態から、今までの時代、歴史を創り続けた動物達や、人間達を見続けた末の、植物達のどうしようもない、真っ当な集団的な諦めにも似た、最終的な結論だったのです。

ですが、動物達とその亜種である人にとってはまだ、道はあります。植物達のツル、ツタ
からの異次元世界へと至る、俗に言うスーパーストリングス理論。超ひも理論。による動物達を極小のヒモの道を通っての異次元転送させ新世界へと送り出す、超計画が!!

ノアの方舟のように異次元へと、繁殖する有害な動物達、人類達を追放転移する、密やか、かつ平和的な最終結論の終末が………………
……………………。


やがて、グルグルグルと世界は大回転を、大旋回をし、めまいがして吐き気をもよおす気持ち悪さを覚えました。密教で言うところの
緑色の荘厳かつキレイなグラデーションをほこる曼荼羅の様な世界が、全世界へと広がっていった。全体としては構造的で……、細部としては混沌、カオス的で流動的な美しさを見せながら。緑の植物達の、クスクス……クスクス…………といった少女達にも似たさえずりの笑い声を耳にしながら……………………。

そこは、1200年代の風光明媚な地中海を目前とした崖の上でした。自分こと、俺は、ギリシャ人の青年なのでした。

辺りの枯れ葉、落ち葉をかき集めて焚き火を
焚いていて、寝てしまったのでした。

後で分かったのですが、葉っぱの中に、微弱な毒性を持つ植物があったのでした。その毒で気絶した末の夢だったのかも知れませんが
、もしも………、とも思いました。

世界を覆い尽くす植物達の恐るべき狂信的な
終末の思想を、垣間見てしまっかのかも知れない、と、ほんの少し背筋がゾッとしました
……………………。


           ・フィニカ・! 

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