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曼殊沙華/宮部みゆき

まず、本書と出会えてよかった。
本書は、「おそろし 三島屋変調百物語事始め」に収録された「おちか」が変わり百物語の聞き役になるきっかけの話です。この話を底本に再編集された小説です。表紙のタイトルに「100分間で楽しむ名作小説」という冠が付いています。物語自体は「三島屋変調百物語事始め」に収録されていたものと同じですが、話し手「藤吉」と聞き手「おちか」の心の動きが詳細に描かれていて”なるほど”そうだったのかと思わされます。そして「藤吉」と「おちか」のその後の物語も書かれていて、読み終わりうすら寒い思いがしました。

いわば著者自身による暴露本です。

私は、本書に出会ったことで作家は出版されている小説を書きあげるまでにその枝葉が、出版された小説を読む以上に膨らんでいて幹も思いもよらない方向に延びているんだと思わされました。とても参考になり教えられた一冊です。