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2019年4月ヨーロッパぶらぶら No4 ロンドン編「イングリッシュブレックファースト考?」

*この「ヨーロッパぶらぶら」は、元々2009年に作成した小冊誌の内容を、旧ブログで公開し、さらにそこから転載したものだ。現在とは、ユーロ円の相場も、物価もかなり違う。日本でのアイフォン発売が、2008年にはじまったばかりで、スマホもなかった。ガラケーも電源を切ったまま旅行中は使わなかった。現在の海外旅行事情とは、状況が異なることを、お知らせしておきたい。



ガイドブックに「ヨーロッパで最も豪勢なEnglish Breakfastを食べなくては、イギリスを訪れた意味がない」とあった。この形容がすでに過去のものであろうとも、確かめたくなるのが観光客の常である。 
              
例えばそれを、日本の事情に当てはめるなら、外国人の「FUTON」「TATAMI」に対する憧れがある。それらを私達日本人が、共感することは難しい。生まれたときからここにあるものであり、日常の延長だからである。両者の間には常に温度差が生じる。

ロンドンはパディントン駅から、400メートルほど歩いた所にあるロンドンのベッド・アンド・ブレックファースト 「Europa House Hotel」シングル、シャワートイレ付6900円、に3泊した。
*2009年3月の価格、日本の旅行会社で予約、円決済。
住所:151 SUSSEX GARDENS, PADDINGTON, LONDON

朝、地下一階に下りると

通路越しに朝食を取っている若者のグループ、家族連れ、イギリス人らしい老夫婦が見える。食堂に一歩足を踏み入れたとたん、一斉に視線がこちらに向けられる。

宿の娘が、老夫婦が座っているテーブルに着席するように促してくれる。
「グッド・モーニング」
と挨拶して四人がけのテーブルに座る。
「グッド・モーニング」
と老婦人が目を伏せたまま応じてくれた。

キッチンスペースではお父さん、お母さん、娘二人と、家族総出で、
朝食を準備している。会話は英語ではなくイタリア語だ。そこで二日目はコーヒーにしてみた。一人用のコーヒープレスでサービスされて濃くて美味しかった。紅茶はティーパックで味気ない。

ほどなくオレンジュースのコップが、ガツンと勢いよく目の前に置かれる。
これを合図に、三角形の薄切りトースト六枚、目玉焼き、カリカリベーコン、ハッシュドポテト、ベイクドビーンズの皿、バター、ジャム数種がテーブルにリズミカルに並ぶ。素早くカメラに収める。

その様子を観察していたヨーロッパ人らしい家族連れの男性もつられるようにトーストを撮影している。 ベイクドビーンズは缶詰、トーストも日本のサンドイッチ用トースト位の薄さで、夢に描いていた「薄いカリカリトースト」とは違っていた。

だが、ボリューム満点、トーストのお代わりも出来るらしい。朝から蛋白質、炭水化物、脂質ともに、たっぷり補給できて、満ち足りた暖かい気分になる。

ロンドンの街角では、ファミリーレストランのメニューのような、イングリッシュブレックファーストの看板を見かける。値段、カラー写真付で言葉の判らない人でも、指差せば注文出来るようになっている。試したことはないが、聞くところによると、一日中イングリッシュブレックファーストが食べられるらしい。

西洋の朝食マニアである私にとって、1日中朝食メニューがあるとは、夢がかなったね、と、言われそうである。

だが、朝日が差し込む、ほんの数時間の間に食べる、基本は飲み物とパンの朝食が、私にとって西欧文化の憧れの象徴であって、一日中あるなんて、興ざめ以外の何物でもない。

そういうわけで、一番思い入れの強かったロンドンにおけるイングリッシュブレックファーストの位置付けも、おぼろげながらわかると、後のことはどうでもよくなってしまった。

2日目は、駅の観光案内所でもらった地図を小さく折りたたんで、手の中に握り締めたまま、

ポートベロー・マーケット、

コヴェント・ガーデン、ピカデリーサーカス、リージェント・ストリート、オックスフォード・サーカスなどさまよい歩き、三日目は大英博物館とソーホーに行った。

だが、ロンドンにおけるわたしのテンションは、この時の朝食が最高潮で、
その他のことはあまりうまく思いだせないのだ。




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