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【メンバーインタビュー】うちだりょーか

きゅーとぴあメンバーに、展示していた作品についてのインタビューをしていきます!(※五十音順)
今回はかわいい中にあるどこかアンニュイな雰囲気が魅力の作風を持つ
うちだりょーかさんにお話を聞いていきます!

1.普段はどういう作品を作っていますか?

私は暗いトーンの色や無彩色が苦手なので普段の制作から柔らかい色だとかポップな色、あまりくすんでない色をベースにイラストを制作しています。大学で制作するものも自分の好みにあった世界観や色を取り入れるように意識しています。
例えばInstagram上で見たときに、プロフィールの一覧を見たときに写真の色味や編集を揃えている方が見易いし、それを美大生以外も普段から何気なく意識して投稿している人が多いと思うんだけどそれって作品にも言えてるなって思っています。イラストの制作とプロダクトの制作で自分の雰囲気がなるべく揃う様にしたいのもそういったことが関係しているのかな。

ー普段使う色が揃うのは、“コンセプトなどを踏まえて吟味した結果色が偏っている”のか、“使う色を最初に固定させて寄せている”のかどちらですか?
極端な話、どっちもあります!
イラストを書くときは自然と好きな色を配色して偏ってしまうけど、学校の課題では色は全然統一しようとか全く思っていなくて作っていくうちに「この形ならこれとこの色が合いそうだな〜」とか「この色のものを制作するならプレゼンボードはこういう配色にしたいな〜」っていうのが頭の中で浮かび上がっていて。だから直感っていうのが根本にあるな。もちろん赤にしようって思ってもその中でより合う赤を吟味しているけど、作りたいものと自分の心地よい色を調合した結果偏っているのかな。

2.今回どのような作品を作りましたか?

実際の展示の様子

普段から気になったフレーズとか思いついたことをきっかけづくりの種としてメモをしておく癖があって、その共通点が“単語としてない組み合わせ=造語”です。他の人からしたら意味分からないって思う組み合わせでもそれが案外自分の中にスっと入ってくる言葉だなってしみじみ感じました。
話言葉とか考えたこととかと違って誰かに発信する時はラフな言葉じゃなく固くてきちんとした言葉で伝えるから、メモしてた文字とかもそのまま外に出すことはなくて、単なる思考途中の経過に出てきた言葉で。でも、よくよく考えてみたらその自分の中でためた言葉ってありのままで、一番自分らしくて愛すべきものだなって思った。私がアホに見える言葉とかが好きでそれもあるとは思うけど(笑)

日常の考え事って実は一番身近で可愛いんじゃないかなって感じたのがきっかけです。
作品としては説明がなくても伝わるものの方が好まれるだろうしそういった方がデザインされているとは思うけど、あえて文字を添えることによって完結されるものがあってもいいんじゃないかと思って制作しました。
展示のキャプションが、

「日常の中でふと考えたことはだいたいおぼつかない文で、でもその曖昧さが可愛かったりする。ごちゃごちゃしていて、あいまいな感じ。
それからちょっぴりかっこついてない言葉。
何気なく書きとめておいた、あたしの頭の中はゆるくてぬるい雰囲気にぴったりだ。」

です。
なるべく一発描きにしているんだけど、それも何回も書き直して作る綺麗な輪郭よりもパッと思いついた言葉に合うイラストって緩くて決まり切ってない線だなって思いこうしました。

文字もカッコつけた英語より、頭の中って感じするしちょっぴりダサい感じがまたかわいいからあえて日本語にしました。字も手書きなんだけどバランスの悪さを意識しています。
で、今回自分のかわいいを詰め込むって言う全体テーマだったから、私が無性に愛してしまうごちゃごちゃ感を展示方法に持ってきました。実際私の部屋の扉も自分が行った展示のフライヤーとか好きなイラスト、写真、美大でもらった名刺などをてきとうに貼り付けているんだけど、デスク周りとかに貼ったりするのって自分の好きなものしかやらないからこそ最強な空間だなって思って。だから柱を丸々埋め尽くして、天井にも貼っちゃいました。とにかく部屋の壁感を出したかったので、ステッカーとかも貼ってみたりマスキングテープでランダムに貼ったのもそう言う意図です。

3.今回制作するにあたって「かわいい」をどう解釈して表現しようと思ったのか、プロセスや経緯を教えてください。

先程の質問の答えと似てるけど普段から私が思う可愛いは日常に溶け込んでてそれを意識することすらないぐらいのもの
ちょっぴりださいフレーズとかなんか雰囲気可愛いけどシュールに見えるって言うかじわじわくるものが綺麗に纏まってる可愛いより、惹かれるからそう言うのを表現したかったです。
雑誌のコラムにありそうな、一見シュールに見えるけどどことなく可愛らしくも思えてきてでもやっぱりシュールさも残っているって言う雰囲気に持って行きたくてこう言う雰囲気にしました。

ー緩い線とか抜けている感じを可愛いって感じるのはどういうところから来てますか?
自分でもなんで惹かれるのか曖昧です(笑)
ちょっと違うけど私自身汚れてるものが好きで、制作してる時洋服が汚れたくないとかもちろんあるけどでもそこにも汚れたかっこよさが個人的に居心地がいいなって思ってて。それも綺麗なものよりも崩れたものの方が魅力を感じているって言うのに繋がるのかな。なんて言えばいいのかわからないです(笑)
もっとちゃんと考えときます。

4.今回表現した自分にとってのかわいいはどんな作品に影響されて作られたものですか?

受験の時からその時期の感情とかに使う色とか左右されやすいんだけど、書いてる最中に音楽が頭の中に永遠に流れ続けるからそれをイメージしてるかもしれない。今回の作品はさとうもかさんって言う方の曲が流れてました。自分の中で特別意識してた訳でもないんだけど展示して観に来てくれた友達からすぐにさとうもかの雰囲気に似てるって言われました。個人的にはすごくポジティブに捉えてて、自分の考えてたこととかが絵に反映されてるのって人間味が出て面白いなって改めて思います。

ー作っている的に頭の中で曲が流れているのは普段からたくさん音楽を聴くのですか?
毎日のようには聴かないです。けど、毎日のように鼻歌を歌ったりはしてるので少なからず身近にあります。ものすごい音楽に詳しいわけでもないからこそ小さい頃に好きだった歌も流れてくるんだけど、例えば浪人時代はおジャ魔女どれみとかふたりはプリキュアの主題歌が永遠に流れてました。

ー作品を作る時に今回はこういう雰囲気にしたいかもって思って意識的にそれに近い曲を思い出したりすることもありますか?
あります!
それこそ受験時代の色彩の課題で、ブラックタイガーと幾何図形で構成しなさいって言う時があったんですけどその海老を見た瞬間何故かプリキュアにさせたくなっちゃって(笑)
幾何図形を使えば変身シーンも表現できるじゃんって歓喜してました。私の中ではもうその日はふたりはプリキュアの曲が流れてました。大満足した思い出です(笑)

ー音楽が割と作品に影響されるってことなんだけど、今までの人生の経験が作品に影響与えるってことはありますか?
自分の生きた人生を感情とかも合わせて事細かに言語化しちゃうと作品自体が暗くなりそうだなって思ってて。意外と私がネガティブだったり、割と辛い経験をしてて、そういうのを影響させちゃうとどうしても暗い雰囲気だったり悲観的になってしまうなって思ってて、なるべくその負の部分を表に出したくないとは考えてます。日常生活でもそうなんだけど暗くて悲観的な私を表に出すのが苦手だから、皆が私から感じ取ってくれる明るいイメージとか悩みがなさそうに見えてる部分を本当の自分にしたい。だからこそ、作品として出す時もどちらかと言えば自分がなりたい雰囲気とかっていう意味合いで影響されてるのかなって思います。
今回の展示作品にも「いいとししてフリルやリボンが好きなあたし。」っていうのがあったんだけど、小さい頃からフリフリしたものとか女の子らしいものが特に好きで。だけど今まで洋服とかでもそういうのが似合わないからって理由で避けてきてて、なるべく大人っぽいだとかカジュアルとかを着ようって小学生のころから思ってたけどハタチになる手前に本当に自分が着たかったものって25歳とかになった時に手を出せるのかって考えた時に難しいだろうなって感じちゃって、そこから自分の本当に身につけたかったものを自分の人生のために身につけようって意識を変え始めました。それが意外と、今まで作品に使ってた色とか雰囲気がだんだん自分が近づいていってるなって感じていてそれも影響を与えてる部分はあるのかなって思います。

ー作品と自分の一貫性を意識していますか?
自分がスマートでカッコ良い人間になりたかったら自分もそういう生き方をしそうだなって個人的には思ってて、そういうのを踏まえると思ってるんではないかな?改めて考えるとそうかなって感じであって意識したことはないけど。

5.自分のかわいいに関してここだけは譲れないというようなこだわりはありますか?

やっぱり綺麗に整頓されたものよりごちゃごちゃすぎるものは可愛いなって思っちゃいます。多分もっと考えれば考えるほど譲れないことはあるんだと思うけど自分の考えてることを言語化するのが苦手で繰り返しになっちゃうけど。なんでも引き算するより足し算しちゃいたい派だからひとつの作品の中で物が溢れかえってるのも好きだし、たくさんのものを集めて溢れかえってるのも全部愛おしいです。

6.今回いただいた感想の中で嬉しかった感想や出来事はありますか?

今回一緒に展示したメンバーのお知り合いの方が私の作品をすごく気に入ってくれたそうでとてもうれしかったです。さっきも言ったんですけど雑誌のコラムのような雰囲気を目指してて、それは展示メンバーにも特に伝えもしてなかったんだけど、その方から雑誌とかに載ってそうな絵だよねとかこのまま編集部におくっちゃえばだとかそういう言葉が嬉しかったです。あとはなんか可愛いけどよく見たら可愛くなくてでも可愛くてのループにハマってくれたらしくて、私的にはそういう絵を描きたかったから本当に嬉しかったです。
自分の絵って他の人の作品と並べた時に埋もれれちゃうんじゃないかなって思ってたんだけど、初めて会った方に1番好きとか、可愛いとか色々お褒めいただいて普段友達から言われる褒めももちろん嬉しいけど、私を知らない人から貰えるともっともっと嬉しくて自信になりました。

ー知り合いじゃない人から褒められるっていうのは、どんな人が描いたかわからない状態でほめてくれるってことで、知り合いだから褒めているのではなく作品自体が力をもっていることの証明だから嬉しいのかもね!
それだ!!

7.制作する中でメンバー同士刺激になったことなどはありますか?

まずびっくりしたのがみんな手が早いということ。私は本当に時間にルーズすぎるから皆の作品を作り上げる過程をみれてよかったです。普段から課題の制作の話はしてるけどどこまで進んだかぐらいの話しかしていなかったので身近でみれたのは刺激を受けました。
個人的にめいちゃんは他のメンバーと違って普段からどういう作品を作っているのかをSNSで知っていてファンだったのでよく見ていました。いち早く新作を観れるのが本当に嬉しかったし感化されました。

8.純粋に好きな作家さんやデザイナーがいれば教えてください!

沢山いるのですが、なかじまみどりさんとmunyuさん、いといゆきさんが好きです。
なかじまみどりさんは先ほど言っていたさとうもかさんのグッズとかMVとかのイラストを担当していてそれから知りました。
munyuさんはわりと最近知ったのですがぬいぐるみが本当に可愛くて。フィギアとかもあるんですけどなんとも言えない形とかが本当に好きです。このまえあいみょんともお仕事でぬいぐるみを作っていました。
いといゆきさんは多摩美の卒業生なんです。chibiワールドが可愛くて可愛くて。色使いとか見て勉強しています。私は暗い色を使うのが苦手であまり使わないんですけど、いといゆきさんの作品はパステル調のもあればカラフルだったり、一色だけとか様々で、黒とかも使うのにも関わらずそれぞれの作品にちゃんと統一性があるのがすごいなって思っています。実際に個展に行ってお話ししたこともあるのですが、展示に使う台とかもご自身で作られたそうでさすが美大生だなと思わされました。本当に好きです。

9.最後にきゅーとぴあに参加しての感想を教えてください。

私は今回、2回目の展示だったんだけど、前回よりも今回の方が自分のやりたかった作品の雰囲気と展示方法により持っていけて満足してます。
ほとんどのメンバーが今回初めて喋ったんだけど、きゅーとぴあに参加しなかったらきっとこの先一緒に何かするってことがなかったんじゃないかなってしみじみしてます。同じ学校でも描く絵も好きなものも、もちろんその人がいる環境も違う中で一緒に展示したから今回足を運んで下さった中には、私が自分の仲の良い友達とだけで展示した時にはお会いできない方ももちろんいてそういう機会や巡り合わせってとても大切にしたいと感じました。一緒にいつか展示してみたいと思っていたメンバーもいたので、このきゅーとぴあに誘ってもらえて本当に嬉しかったです。

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▷次回のインタビューは、繊細で丁寧な作り込みが素敵な、かわいいアクセサリーを制作していたおふろのあひるさんです!お楽しみに!


うちだりょーか
 多摩美術大学 統合デザイン学科に所属。お洋服とフィルムカメラを愛してやまない。緩いイラストを中心に制作をしている。自分のスタイルを確立できるよう日々試行錯誤している。
Twitter:@tyku0822


インタビュアー、記事編集:岡野優子
Twitter:@okayudesign

インタビュー進行:つちのこ
Twitter:@noko1031

企画、記事編集:とみもとるな
Twitter:@tomimot0


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