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緊急手術から家に帰るまで、そしてその後

子どもの父親が病に倒れて(脳出血)身体に障害を負いました。
担当医に、必ず障害は残ると言われた通りに、夫は障害者となりました。
子ども達は、小学3年生と保育園年長と1歳児と小さく、
子育てもまだ大変な時期でした。

夫の緊急入院から13年目を迎え、改めて、思うことは
一番大変だったことは、急性期病院から次の入院先を探すこと。
そして、障害を負った家族を安全に家に迎えること。
身体的なことはもちろんですが、本人の障害と心の理解と
家族の心のケアも大切です。

入院期間全体を通して見ると、
緊急搬送・緊急手術を行い、命を救うのに一生懸命な時期(急性期)と
命の危険がなくなり、
今度は、住んできた家に、地域に、会社に戻していこうと
計画的にリハビリしていく時期(回復期)があります。

急性期の病院でリハビリ設備も整っているのに、ずっと入院はさせてもらえないのです。
夫は、医療の整った立派な病院に救急搬送され、手術をして、入院してもらっていても。
急性期の病院は、次の緊急患者を受け入れるため、ベッドを開ける必要があるのです。病状が安定した患者は、次に入院する病院を探さなければいけないのです。


わたしは、リハビリが出来る病院を探しますが…地域の大学病院に本人を
入院させたくても、断られてしまい、入院出来ても大部屋があくまで、個室で一日1万円とか2万円と費用が掛かると言われたこともありました。
入院するのにも一苦労です。

それでも、日本は健康保険制度が整っているから安心です。

夫の脳出血の緊急手術医療費に自己負担分で100万円の請求が来た時には驚きましたが、国の高額医療制度により8万円台で済んだ記憶があります。


健康保険組合に「限度額適用認定申請書」を提出し、健康保険組合から「限度額適用認定証」の交付を受けます。 それを病院に提示することによって、窓口での支払額は自己負担限度額である87,430円までにとどめる事ができました。

その他医療費の他に、食事代、パジャマ代、おむつ代、タオル代、シーツ代など諸々の諸費用は別に請求されます。

結局1ヶ月の入院費用は、高額医療費限度額分➕諸々の諸費用で20万円前後だったと覚えています。


さて、話しはリハビリ病院に戻しますね。
個室に入れてあげるだけのお金もないわたし達でしたが、
リハビリで評判のいい病院に入院させてあげたいと思い
何度も、何度も、病院のソーシャルケースワーカさんに掛け合いました。
最後は『まだ若いんです』と押してみましたが…。

本当はそれでは通らないのです。
奇跡なのか、偶然なのか、そばに居た先生が
『今度退院予定の患者さんが1人いるところに入れられないのか?』と
提案してくださいました。
入院予定は3週間ほど先になるけれど、入院をお願いすることが出来きました。

急性期の病院には事情を話し、次のリハビリ病院の受け入れまで入院させてもらえたことは、本当にありがたかです。

今思うと、こんなにフットワークよく、見舞いに、病院探しに、家事に、育児に、車の免許を取るために教習所にも通ってと出来たのは、
自分がまだ若かったから。
それでも、夫が病に倒れてから、パートの仕事は辞めました。

『夫をなんとか家に戻すことだけを考えて』

急性期の病院で3ヶ月、リハビリ病院では1年間、その次にリハビリ施設で
6ヶ月を過ごし。全期間で、約1年と9ヶ月の入院生活を送りました。

実は、急性期で入院中の主治医の先生に
『ご主人様は、退院しても、せいぜい家の周りをグルリと散歩するのが
精一杯です。就労は無理です。』言われました。
わたしは、お医者さんは、そうやって家族を脅かしてくるものだと思って、たかを括っていました。
毎日の見舞いでも『夫は、こちらが思っている以上に回復して来ている』と感じてもいました。けれど先生が言っていたことは、ほとんど当りました。


約1年と9ヶ月の入院生活を終えて自宅に帰って来ました。
リハビリのかいもあって杖歩行が出来るようになりましたが、
右片麻痺によるバランスの危うさ、
高次脳機能障害による危険回避の難しさがあります。

一緒に、散歩の準備を整えた後に
『わたしは忙しいから、家で待ってるね。一人でぐるりと周って来きてね』と玄関で送り出した後。
しばらくしても帰りが遅いので、玄関を出て探しに行こうと扉を開けると、直ぐそこに、夫は居ました。

夫は一人で、軽く転んだ様子。大事にはいたりませんでしたが
『自分がどう対処したら良いの判らない』と転んだままの姿勢で
うずくまっていました。

わたしは夫に『携帯電話を持っているでしょ。電話してくれたら、すぐ飛んでいくのに』と言うと
夫は『あっそっか』とやっと気づくのです。

やっぱり一人で散歩は、万が一を考えると怖いです(入院はもう嫌です。)
今は、出来る限りのサービスを使い、ヘルパーさんをお願いして、外出援助をしてもらっています。わたしも正規職員になり、フルタイムで働き出したので、本当に助かります。主人も外出することが出来て大変喜んでいます。

それでも主人を取り巻く障害はまだまだあります。

痙攣を抑えるために飲んでいる薬は頭がボーとするらしく
主治医にお願いして減らしたところ、自宅で2回痙攣しました。
男性が間近で白目を向いて痙攣をする姿は怖いです。
それでも脳の障害関係の書籍を読んでいて知識があったので
慌てずに済みましたが、かなりびっくりしました。
子ども達はかなり怖がりました。
そんなこともあったので痙攣止めの薬は減らすことが出来ません。

その後も、突発性難聴による激しいめまいで2回入院。
右側視野欠損で溝に落ちそうになる事、数えきれず。
自宅で転んで大腿骨骨折で入院、ボルトが入るなどなど色々あります。

出掛け先もバリアフリーならぬ、バリアリッチです。
それでも家族の助けでなんのその

夫には他にも、高次機能障害という悩ましいところはあります。
日々色々ありますが、夏川家は明るく元気です。




柴本礼さんの『日々コウジ中』
高次脳機能障害を後遺症をもつ家族と共に暮らす
家族のための情報も沢山載っていいます。



山田先生自身が脳出血による高次脳機能障害の当事者で
この障害がどなように身体に障害を及ぼすかを当事者目線で書いてます。
夫の障害を家族が理解するのに大変に役立ちました。







『僕の中に路瑠がいる』の作中では
夏川家の話しが載っています。

主人公路瑠の、青春、結婚、困難、出産、そして
病に倒れた夫のことが書かれています。

これは家族に恋した家族の恋愛小説だと思って投稿しました。


↓  『僕の中に路瑠がいる』 ↓











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