日本に影響を受けすぎて現地風俗が描けない?――少女マンガにイスラムの戒律!? 急成長を遂げる海外マンガ事情

――すでに市民権を得ているアメコミやバンド・デシネではない、日本の影響を受けたと思われる、海外のマンガ作品が邦訳、販売され始めている。そこで、これからさらに輸入が増えていくであろう、これまであまりマンガのイメージがなかった国々の作品を紹介していこう。

「海外のマンガ」と聞いてあなたは何を思い浮かべるだろう? 個性的なスーパーヒーローたちが活躍するアメリカンコミック、もしくはフランス語圏の技巧を凝らした美しい絵と判型の大きさが特徴的なバンド・デシネだろうか?

 確かに、アメコミとバンド・デシネの市場は巨大だ。しかしながら、スマートフォンが普及した近年ではウェブマンガが発展したことで、韓国のウェブトゥーンをはじめ、これまであまり知られてこなかった国のマンガも目立つようになった。

 また、2012年には日本語に翻訳された海外マンガを対象にした「ガイマン賞(“海外マンガ、外国マンガ”の略)」が、研究者や翻訳家など海外マンガに関わる専門家たちによって設立され、そこではアメコミやバンド・デシネのメジャータイトルと並んでフィンランドやニュージーランド、インドネシアなど、これまでマンガのイメージが薄かった国々の作品もノミネートされている。

 本稿では、今まさに開花しようとしている欧米やアジアのマンガ新興国にフォーカスし、その作品や、業界の最新事情に迫っていきたい。

外国人作家を多数採用――「モーニング」の功績

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