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私の語学遍歴⑨モンゴル語

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モンゴル語との出会い〜学び

モンゴル語を初めて学んだのは大学2回生のとき。履修するならなんか珍しい言語をやりたいな、と思って軽い気持ちで選んだのが始まりだった。

学び始めてまず苦労したのが発音だった。なにせ「ありがとう」(Баярлалаа)が発音できない。初めて先生の発音を聞いたとき、「なんやこの音は⁉︎」と思った。最も特徴的なのはエル(л)の音だろう。英語のエルとはまったく違って、当時の私にはsの音に聞こえた。摩擦音っぽいのだ。
その授業では発音練習は重視されなかったので、一つの言葉も発音はできるようにならず、モンゴル語は難しい!話せない!という印象だけが残った。

数年後、音声学の授業を履修したことで、少しだけ謎が解けた。モンゴル語のエルは無声の側面摩擦音(あるいは、側面側近音?)らしい。舌先を上顎につけて発音する点は英語のエルと同様だが、そのときに舌の両脇にできる隙間から空気を漏らす感じで発音するそうだ。聴覚認知が優れている人は発音を聞いてすぐ真似できるけれど、私はそうではないので、理論的に音声学を学んだことで発音がやっと少しわかったのだった。

さて、モンゴル語の1年間の授業で身に付いたことといえば、キリル文字が読めるようになったことだろうか。モンゴルは縦書きの文字を使っていたが、社会主義時代にソ連の影響でキリル文字を採用している。モンゴルの20代の人に聞いたところ、学校で縦書きのモンゴル文字は習ったが、もう忘れたとのことだった。日本でいう古文のようなものなのだろうか。

モンゴル語は話せるようにはならなかったものの、担当の先生は社会主義時代にモンゴルへ留学した経験のある人で、毎回話してくれる体験談が面白かったのを覚えている。寮に暮らしていたときに、スパイと勘違いされて部屋に盗聴器が仕掛けられてた話とか。話すときの先生のテンションがとても高くて、モンゴル生活は楽しかったんだろうなと感じられた。

14年越しの再会

モンゴル語を学び、発音に挫折した14年後の今年、モンゴルを訪れる機会があった。世の中もVIVANT人気でモンゴルが話題になり、流行をあまり気にしない私にしては、意図せずして流行を先取りしたような形になった。

モンゴル旅行については別で書くが、約1週間の滞在で、「こんにちは」と「ありがとう」は発音できるようになった。生で何度も聴くこと、具体的な状況のなかで使われているのを聴いて真似ることは大事だと再認識した。

モンゴル語は日本語と語順がよく似ているので、単語さえ覚えて発音できれば、学習はしやすそうだ。最大のハードルだった発音の難しさが随分解消されたので、再度のモンゴル訪問を目指して勉強しようかと思う(といいつつ、買っただけでやっていないスペイン語のテキストを横目で見てしまう)。

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