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音声×ドラマのマーケティング活用について‐企業活用・ビジネス展開-

皆さんこんにちは。デジタル系広告代理店D2C Rで音マーケティングを担当していますクリエイティブディレクターの郡(こおり)です。

数ある音声コンテンツの中でも、没入感No.1と筆者が思っている音声×ドラマ。前回の前編では実際のドラマのご紹介や形式分析を中心にお話しました。

<前回の記事>↓↓↓まだ読んでない方はこちらもぜひご覧ください。


今回は後編!マーケティング活用としての音声×ドラマの可能性についてお話していきます。

●ブランデッドオーディオドラマ

企業が自社商品サービスのブランディングや購買にむけてのアクションとして音声ドラマを使うマーケティング手法です。


早速事例をいくつか見ていきましょう。


■NISSAN「あ、安部礼司」

企業の音声ドラマで最も有名かもしれません。20年以上続くロングランです。この音声ドラマは理想的な展開のカタチで、音声ドラマ発信でリアルイベント・オンライン動画・書籍化へと多岐な展開をしています。

長きに渡る人気音声ドラマに育ったのは、主人公の親しみやすさ、どの話から聴いても楽しめる構成・・・など。飽きがこない要素がちりばめられています。


■日本コカ・コーラ「やかんの麦茶、冷えてるよ」

こちらは飲料のプロモーションとして展開されたもの。1分間のラジオドラマとして短時間でサクサク聴けるような設計もいいですね。


■松屋「劇団松屋」

こちらは牛丼の松屋さんの音声ドラマ!コメディタッチのラジオドラマ形式で、メニューを擬人化して劇団員として軽快に紹介しています。「肉汁たkっぷりの~」「ネギがたくさん乗った・・・」などメニューの魅力がつたわり、思わず食べたくなる欲が高まります。

ブランドリフト調査でも72%が「来店の意向」・76%が「食べたくなった」と回答しているように、商品への興味関心・利用意向へつながる結果となりました。


■Adobe「Experience Cloud」

こちらはAdobeの製品説明に音声ドラマが使われています。会社での困ったシーンのシチュエーションでその悩みを解決する、という構成で展開されています。ドラマ冒頭にPDFへの誘導も促し、コミュニケーション設計がきちんとされています。

音声ドラマというとブランディングの印象が強いかと思いますが、このようにクロージングに近いフェーズでの利用もできることを示してくれますね。


様々な企業音声ドラマがありますが、その良さって改めて何でしょう?

●マーケティング観点での企業音声ドラマの良さ

ざっとまとめると以下のようになります。

<いい点>

企業音声ドラマはまだ事例数が少ないのでユニークな施策として目立ちます。また、ドラマというストーリーに乗せるので聞き手もエンタメ的に聴いてもらえます。同じクオリティでも動画に比べコストが安いのも魅力です。

<気をつける点>

一方でこの音声ドラマで話題になる、再生数が爆発的に上がるというのはポッドキャストの特性上向いてはいません。長期的に考えるのも必要です。そして、直接のCVというよりブランドリフトやコミュニケーション設計を経て間接CVと考える方がベターです。

続いて、広告との関連性を考えてみます。

●音声ドラマだけか?さらなる広がりはあるか?

音声ドラマの利点を活かして、広告とのソリューションはできないでしょうか?少し仮定ベースで可能性のお話をしていきます。

■仮定①音声ドラマと一体感のある広告

音声ドラマの多くはポッドキャストで配信できるのですが、ポッドキャストで配信するコンテンツには広告を差し込むことができます。これをポッドキャスト広告といいます。

コンテンツ冒頭(プレロール)、そして中(ミッドロール)、終わり(ポストロール)がありますが、この枠の位置をうまく使って音声ドラマとの連動感を高めることができます。

音声ドラマは聞いた後の余韻が強く、聞き手は聴き終わった後のコンテンツの満足度が高い状態です。そのリスナー態度を活かしてドラマの内容と関連度の高いポストロールを流してみてはいかがでしょう?

例えばドラマ内で主人公がおいしそうにビールを飲む。そのシーンと連動感のあるビールのCMを流す、といったように。音声ドラマ(コンテンツ)を邪魔しないので、広告の印象も好意的に受け取っていただけるのではないでしょうか。

続いて、こんな可能性もあるかもしれません。


■仮定②音声ドラマ×広告連動

音声ドラマの世界と現実が広告でつながる、そんなコミュニケーションの仮定です。

TBSラジオのオーディオムービー『白村颯太に好かれたい』という音声ドラマがあるのですが、このドラマは実在する場所や店舗が舞台となっています。

例えばこの音声ドラマを聴いたリスナーが実際にドラマ内に登場する場所に近づくと・・・主人公の声でデジタル音声広告が流れ、近くの店舗への来店を促す仕組み。

「こんにちは白村颯太です!この前僕も立ち寄った〇〇カフェ近くにあるよ。寄ってみない?僕がいるかもよ!?」的に・・・

こうなると音声ドラマのリスナーもつい広告を聴くことが嬉しくなってしまいますよね。

実際にデジタル音声広告はジオターゲティングという特定エリアに来た人に当てて広告を流すという仕組みができます。またその店に来店した場合の来店計測も可能です。

これは絵空事ではなく、少し先の未来でできてしまうお話です。こうなるともっと音声×ドラマの可能性が広がっていきそうですよね。



最後にビジネスとしての音声ドラマの最近の流れをご紹介します。


●音声ドラマのビジネス潮流

株式会社KADOKAWAが「ボイスドラマ」の配信と販売ができる、声に特化したマーケットプレイス「mimicle(ミミクル)」を、2022年にサービス開始。

このプラットフォームは音声ドラマが聴けて、そして購入できるという音声ドラマのマネタイズスキームとなっています。

日本はアニメ文化が根付いているので、萌え系・オタク系の音声ドラマが気軽に購入できるマーケットが生まれるのは明るいニュースですね。

またZ世代の音声コンテンツ利用も増加しているので、こんな音声ドラマだと若年層も聴いてもらえそうですね。

以上、マーケティング活用としての音声×ドラマの可能性を感じていただけたでしょうか?今後ますます面白くなりそうな音声×ドラマの世界!みなさんもぜひ、気軽に聴いてみてください。

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投稿:株式会社D2C R 音マーケティング 郡 茜

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