見出し画像

3大おにぎりの具「シャケ」「梅」あと1つは?


みんなが自由に決めればいいと思う。


(おわり)


※ ※ ※ 


すみません。おにぎりの話がしたいんじゃないんです。

3大○○、「☓☓」「△△」あと1つは?

↑このフォーマット、完成度高すぎない? という話がしたかったんです。


インターネットが誕生し、アクセス数で収益を上げるビジネスモデルが確立して以降、「記事タイトルでいかに読者を釣るか」という問題は常にホットであり続けました。その結果生まれたのが「【悲報】」や「結果」などの釣りワードです。その中でも上記の「3大○○」は洗練ぶりが半端じゃないと感じます。

なぜか。


①読者を自発的に考えさせている

まず、問いの投げかけかたの巧妙さです。しかし、ただ疑問符をつければいいというものでもありません。表題でいえば、最初に「シャケ」「梅」という例を2つ挙げているところが巧み。もしも、

▼あなたにとっての「3大おにぎりの具」はなんですか?

というタイトルなら、ここまでの求心力はなかったはず。「シャケ」「梅」というホップ・ステップを先に用意しておくことによって、読者が自発的にジャンプできるようになっているのです。

また、「3大」「残り1つ」という制限があるのも効果的。「あなたにとって一番大事なものは?」と聞かれるより「無人島に一つだけ持っていくなら?」という質問だと想像力が働くのと同じで、差し迫った状況を想定すると思考するようになる習性を活かしています。


②意見に個人の好みを入れる余地がある

読者に考えさせるのがナンバー3にあたるモノであることも重要です。だいたいの分野において、ナンバー1、ナンバー2あたりまでは大方の意見は一致するものです。たとえば

▼偉大な漫画家ベスト1がついに決定しました

というようなタイトルの記事があったとしても、読む前から「まあ、手塚治虫とかだろ」と思われるのがわかりきっています。しかしここで

▼3大偉大な漫画家「手塚治虫」「鳥山明」あと1人は?

という形式になっていれば「うーん…」と考える余地が生まれます。予め鉄板の選択肢は外してやることで、単なる一般論で話が終わらないようになっているのです。お題に対してボケたがる大喜利体質の人も、安心して変化球を投げる環境が整っています。


③文句を言いやすい

そして、もっとも重要なこと。それは「あれこれ口を出したくなる仕組みになっている」ことです。記事内ではたいてい3つ目についての独断が下されるわけですが、それがすべての読者を納得させるのは難しいでしょう。

おにぎりの例でいえば「鮭」「梅」ときて、じゃあ3つ目は当然「ツナマヨ」だよな? という流れになっていたら「いやいや、昆布はどこ行ったんだよ」と言う人が現れることは想像に難くありません。それが思う壺なのです。人は文句を言っているとき一番イキイキとするものです。読者に文句を言わせる手法は、下手すると炎上して悪い拡散の仕方をするものですが、「3大〇〇」の形式ではそういうことも少ないでしょう。

また、最初の2つの選択肢に意図的に引っかかりを仕込むようなこともできます。

▼3大おにぎりの具「シャケ」「焼き肉」あと1つは?

こんなタイトルだったら「いやいやいや、そこに焼き肉が入ってくるのはおかしいだろ」とツッコミを入れる人が必ず現れます。

▼3大いらないおにぎりの具「昆布」「高菜」あと1つは?

主題をマイナスに設定すれば、より露骨に文句を誘発することが可能です。少なくとも昆布おにぎりや高菜おにぎりを愛好する人は捨て置けないことでしょう。これは、

▼私は昆布のおにぎりはいらないと思う

みたいなタイトルよりも強烈な煽りとして機能します。「昆布や高菜のおにぎりがいらないのは当然として…」という空気が醸し出されるので、より前のめりに文句を言いたくなるのです。ただし、やりすぎると炎上します。


思考はタイトルに誘導されている

おそらくこのテンプレートは匿名掲示板の雑談スレッドあたりで作られたものだと思います。しかし最近では個人ブログなどで目にすることも増えてきました。それだけ優れた求心力のあるタイトルだということでしょう。

私はみんなと同じでやっぱり気になってしまってこういうタイトルの記事はすぐクリックして開いちゃうんですが、最近はなんだか思惑通りでシャクだなと思うようになってきました。そこで、リンクを踏む前にリンク先でどんなやり取りが繰り広げられているか、想像するようにしています。

▼3大おにぎりの具「シャケ」「梅」あと1つは?

↑こんなページがあったら、どんなことが書いてあると思いますか?


月額の『ウーロン茶マガジン』か『黒ウーロン茶マガジン(50円高い)』を購読している人は、同日更新の日記で軽いあとがきを読むことができます。


スキを押すとランダムな褒め言葉や絵が表示されます。