空調服かファンジャケットか〜新季語を作りたい

 今日も今日とて俳句を作っています。今年の夏は12万5000年来最も暑いという暑さで、加えて昨今の光熱費高騰もあって、我が家ではエアコンに頼りすぎない涼感を追い求めて、様々工夫しています。その一環で、今年、ファンジャケットを導入しました。
 ファンジャケットとは、作業服の脇腹の部分に小さなファンを通し、外気を取り込んで涼感を得る作業服です。主に、室外での作業の多い建築、清掃、運送、農業などでの需要が多い商品です。高所作業や高温作業など、特殊作業に対応した服もあります。実際に買ったものは、半袖の服で、カタログには溶接対応とありました。基本的には作業服としての実用に耐えうるもので、一般的な現場作業の作業服と遜色ない仕様です。ファンジャケットは夏の季感が強いものですが、モバイルバッテリーを電源として用いるため、バッテリーを流用して、冬にはヒートベスト(電熱ベスト、ヒーターベスト)を導入することも可能です。その際は、別途ベストやヒーターを購入する必要があります。また、メーカーごとに規格が統一されていないために、ファンやバッテリーの流用が推奨されておらず、導入や管理には入念な下調べが必要です。
 ファンジャケットは別名空調服という言い方をしますが、ファンジャケットは一般名称で、空調服は商標登録された言葉のようです。
 裏取りとして、以下のデータベースで「空調服」と「ファンジャケット」を検索しました。「ファンジャケット」は該当なし、「空調服」については、2023年7月6日現在、特許・実用新案が76件、意匠が5件、商標が50件となっています。

(参照)

特許情報プラットフォーム|J-PlatPat [JPP]

 「空調服」というアイディアは上記データベースでは昭和46年に特許出願されたのが最初で、当初は「空調」(室内冷房の涼感)を携帯するアイディアだったことがうかがえます。多くの試行錯誤を経て、現在のファンジャケットの形式が確立したようです。現在、ファンジャケットを「空調服」として販売しているのは、株式会社セフト研究所・株式会社空調服で、周辺機器も含めていくつかの特許を持っています。

(参照)

株式会社セフト研究所


株式会社空調服

 類似品は多くありますが、特許回避のためか、統一的な商品規格を持たず、廉価品もある代わりに、導入に複雑な管理を要する原因になっているようです。販売シェアは「空調服」とマキタのファンジャケットが競っているようですが、マキタはバッテリーが他の製品から流用可能で、室外作業にマキタの何かしらの製品を使っていると、管理が楽なようです。いいなあ。
 ファンジャケットを俳句の題材として使いたいと考えているのですが、実際に使ってみると、感覚的なことがわかってきます。まず、モーターの音がうるさい。若い人がよく使っているハンディファンがお腹にずっとあるようなものです。室外では、周りの音がうるさい場面が多くて気にならないことが多いと思いますが、室内では、音の問題が出てきます。あと、空気を取り込むので、服の中が膨らみます。シルエットが美しくないです。あと、エアコンの効いた室内で使うと、涼しさがブーストします。エアコンの前に扇風機を置いて得る涼しさに似ています。今のところは気にならないですが、重さもあります。特にバッテリーは重いです。あと、他にも、荷物を持って歩くとファンの固定具が外れがちとか、水気は厳禁であるとか、他の人のファンジャケットが妙に気になるなど、あるあるも色々ありますが、いまのところ、こんな印象です。
 ファンジャケットを俳句にする際、結社や投稿先によっては、商標登録の絡みを気にするところもあると思います。新奇性のご参考になれば幸いです。どこかしらでいい句ができて、新季語になるといいなあ。

  交差点にファンジャケットのファン外れ
  涼風を吸つてファンジャケット涼し
  コンビニに行き交ふ人のファンジャケット
  ファンジャケットの風腕をすり抜ける

(追記)(2023/08/02)

 最近、ネットでは体温近くの気温を超えた猛暑の日には、サウナのようになって、かえって熱中症を誘発するという話が共有されています。5分ほど猛暑の中で使ってみたところ、熱風が体に入り込んで、熱がかき回される感覚を得ました。すぐ冷房の効いた部屋に入ると、より涼しい感覚を得ました。使い所が難しいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?